2018年3月4日日曜日

仕立屋・琥珀と着物の迷宮〈2〉 

仕立屋・琥珀と着物の迷宮〈2〉 旧暦屋、始めました 春坂咲月
 奈良町の端っこに琥珀の仕立屋「旧暦屋」はある。
 何屋か判らない。和風小物が売れる。前の喫茶店に人形がいっぱい。その人形の小物があるのが旧暦屋だった。離れに表具師・銀次と由依が住み、琥珀の仕事部屋と佐山祭文が反物を広げる部屋、箪笥を並べディスプレーの部屋。二階は琥珀の住み家。
 今日の料理は?、セルジュの仲間をさがしてきたら。
 今日の料理は鰹。セルジュの仲間を探して着たらで海老茶のウール着物と浅葱色の襦袢すててこを用意し着せる。
 アルバイトを辞めると言い出す八重に琥珀は「琥珀色の風が次のように娘に伝えて参りました。旧暦屋にない密とはなにか」このなぞなぞが解ければ辞めても良いと言った。
 誕生日のお祝いプレゼント、桜色で牡丹柄の繻珍の吾妻袋。牡丹の簪を貰う。
 八重は旧暦屋の拘りについて、嫌味なくスマートに美しく、手水鉢を使いおしぼりを出し、手袋をはかないで呉服物を扱う。
 〈きぬ、よして〉のイベントの二部にファッションショーを行うことになった。八重は琥珀の質問の答えを探すために表向きは着付けを習うため、琥珀の仕事ぶりを確かめるために毎日旧暦屋に通う。ファッションショウが終わった時、すべてが解き明かされる。
 ファッションショウで使われたのは琥珀が持っている人間国宝の着物だった。着物を盗みに来た僧がいた。罠を仕掛けて捕まえた。彼は結婚詐欺師でもあった。詐欺にかかった娘が亡くなっていた。僧を預けられた人形供養をする和尚は怖がらせ震え上がらせ悔い改めさせたかった。現場を見た八重に10年後位に娘の両親に話して欲しいと言う。お礼に東京でホームページ作成会社に務めていた和尚に琥珀は旧暦屋のホームページ作成をお願いする。
 八重に出されたなぞなぞは、琥珀がレンタル着物やをやって欲しいと頼んでいる雛菊さんの問いに対する答えでもあった。
 琥珀の雛菊に対する答えは自分はまだ真の花ではない。己は時分の花であると承知しています。ということだった。八重が見付けたのは旧暦屋には休みが無いことだった。
 持ち帰りが出来るレンタル屋を出してもらえることになった。雛菊さんは和裁教室オーナーだった。〈箪笥の肥やしを増やそう〉プロジェクト。
 琥珀が八重に言う。この路地の土地と建物は、東雲という資産家の夫人の持ち物だった。それがいつの間にか琥珀の祖母の持ち物になっていた。人間国宝の着物も同じ、雛菊さんは何かを知っているだろう。
 雛菊の後ろに誰かがいる。

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