2018年3月29日木曜日

紅雲町珈琲屋こよみ⑤

紅雲町珈琲屋こよみ⑤ まひるまの星 吉永南央
 コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」の敷地に、山車蔵を移転する話が持ち上がった。もともとは草が引退する頃に移転する話しだったが、山車蔵のある山上の孫が病気で大変なお金がいるため土地を売らなくてはならなくなった。小蔵屋の駐車場二台分だが五メールトルの高さがいる。小蔵屋の風情にも合わなかった。
 もう一ヶ所丁度良い場所がある。鰻屋や支那そば屋等の前だった。鰻屋の清子と草の母・瑞とはすごい仲良しだったがある日を境に行き来が無くなった。理由を探るうちに町全体に関わる重大事に気付く。
 山車蔵を建てようとしている土地は二十年の内に転売が重なった。二十年の間にドラム缶が並べられドラム缶から液体が流れ、地面にしみ込んでいた。地下水汚染が心配された。今の持ち主は手放した紅雲町の住民だった人が買い戻し、蔵を建てることにも賛成してくれているので、草は水質調査をし、土の入れ替えをすることを相談してから町議会に掛けた。山車蔵の移転が決まった。
 水質汚染を公にしようとする瑞と水質汚染が発表されると営業に差し障ると思った青子との仲違いだった。発表されることなく今まで過ぎてきたのだった。
 

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