2018年3月19日月曜日

紅雲町紅緋屋こよみ③

紅雲町紅緋屋こよみ③ 名もなき花の 吉永南央
 小蔵屋がコーヒー豆を仕入れている有限会社ミトモ珈琲商会の社長が替わる。紅雲町にミトモの直営店が出来るという噂がある。新社長は会長の娘。会長と話し、井さんと話し、最後に紅雲町の視察に来ていた新社長と話す。草の言っていることが社長に伝わっていない。会長の話しが社長に伝わっていない。草は親子の仲だもの直接伝えたらと伝言する。社長は紅雲町には出さないことにした。草の店・小蔵屋より紅雲町にぴったりな店は出来ないと判ったから。
 二で由紀乃は九州に行ったと思っていたが、そんなそぶりもなく普通に同じ状態でいる。由紀乃の夫の従兄弟に勅使河原という郷土史家がいる。郷土史家の弟子たちの中に、藤田と萩尾がいる。草は新聞記者・萩尾の高校生の頃から知っている。勅使河原の娘・ミナホは草や由紀乃の通っている美容院の経営者。
 勅使河原は円空仏を見付けたことで有名だったが、蟠りがあった。本当のことが判った。
十五年前、高校生のミナホは萩尾が見付けるように藤田に頼み円空仏の贋物を研究していた寺に置いた。見付けた萩尾は喜んで勅使河原に見せた。萩尾の捏造と思った勅使河原は論文にまとめた。届けるはずがないと思っていた論文を、本物と信じる萩尾は研究者の元へ届けてしまった。萩尾は自分の発見を先生の発見とされてしまったことだけが残った。研究者には止めてくれと言ったが新聞社に送られてしまった。恩師の顔を潰せないで今まで来てしまっていた。円空仏は科学鑑定される前に盗まれていた。それが草の手元に現れた。隠したのはミナホだった。恩師が亡くなり、勅使河原は発表した。草は萩尾の今後に道筋を付けと欲しいと頼んだ。
 萩尾は日本文化関係の研究センターに入った。ミナホと会うつもりだった。

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