2022年3月13日日曜日

江戸は浅草〈4〉 冬青灯籠

江戸は浅草〈4〉 冬青灯籠 知野みさき

 冬青灯籠 身請けが決まった吉原の遊女・冬青は笛師・大介の幼馴染。調べると申し分のない嫁ぎ相手に安心する。冬青は嫁ぐ前に大介に会いたい。
 そんな時、身重の遊女・八重昌の足抜けが起こる。冬青は真一郎に無事に連れ戻すことを頼まれる。八重昌は宝生尼 に手引きされていた。八重昌は殺された。宝生尼は双子の弟・琴哉が殺したと話す。次の日、宝生尼は毒で殺された。琴哉は、宝生尼が毒饅頭で殺そうとしたところすり替えて自分が食べて死んだんだという。そしていつもみんなは姉の言うことを信じる。とも言う。琴哉は自分が殺したと自白し、死罪になった。
 冬青の願いを聞き、舟箪笥に冬青を入れ長屋に運んだ。おいて屋で一晩すごし帰った。女将も儀十郎も承知だった。真一郎と多香は大介の願いは、どこにいようと達者でいること。と伝える。

 座敷わらし 真一郎は松永屋に、家の中にいる座敷わらしか猿か確かめて、猿なら飼い主に返したいという。
 猿が見付かる。松永屋の後妻・芹の元夫・竹春の使っていた猿だった。竹春は嫉妬心が強く人を殺した。芹は満徳寺に逃げ込み離縁した。江戸に出て再婚し、竹春は芹を見付けた。芹は逃げた。松永屋の娘・登代が、言った通りだった。登代は座敷わらしが言ったと言う。
 松永屋の屋敷には、元座敷牢だった隠し部屋があった。地袋に今では隠し戸になっている通り抜けの出来る戸があった。出てきたのは子供だった。叔父だと言う男が子供を連れて行こうとするが、子供・悠太郎は、こいつは盗人だ。妹を殺した人殺しだと訴える。
 悠太郎は盗みを強要されていた。妹は亡くなり、長屋の床下に埋められていた。
 悠太郎は、芹が竹春に脅されているのを目撃した。登代に竹春の居場所を教えた。
 悠太郎の叔父夫婦は死罪になった。悠太郎は五十敲きになり、口入れ屋の奉公人になる。
 竹春は江戸追放になり、信濃に殺人のことを知らせる意向で今後死罪も有りうる。
 芹は松永屋に帰る。

 浅草勝吉伝 伊吹屋の彦太郎の弟・彦次郎が近江から江戸にやってきた。真一郎はゆっくりするという彦次郎の江戸の案内を頼まれた。錠前師の忠也から話を聞いている彦次郎は、鈴の胡弓、多香の楊弓、守藏の錠前、大介の笛、何でもしっていて要求した。
 彦次郎は同じ宿に泊まる、奈津に興味を持つ。真一郎は奈津のことを調べる。人気のある料理屋の女将だったが、夫が亡くなり、息子が亡くなり、嫁の代になり嫁の親兄弟が店に入り、乗っ取られる形で離れに追いやられていた。三百両を持ち出し、奈津を支えてくれていた昔からの奉公人に七十五両づつ分け両替商に託すつもりだった。
 奈津が病人でやくざに追われている・勝吉を助けた。勝吉は病気で長くはない。別れた女房と子供のため十両を手品を使って博打場から盗んだ。奈津のため彦太郎は廻船で江戸から勝吉を逃がす。いつまで生きられるか分からない。勝吉から預かった十両を上手くごまかし両替屋の為替を渡した。
 彦次郎は奈津を誘って近江に帰った。
 真一郎は多香にぞっこんだが、真剣に誘うと元忍びの多香は痛い目みるよという。
 戯作者・天音は勝吉伝を書くらしい。

 矢馳舟 刀匠の行平が、真一郎に会いに来た。刀を頼まれ出来た上がり持って来ると依頼主はもっと前に亡くなっていた。依頼主を探して欲しいというものだった。
 行平の刀を狙って偽物の依頼主が現れる。
 真一郎の友人・弓士・友部や浅木は旗本天野家に仕えている。辻斬りの事件で天野家から暇を出された長崎が、天野銀之丞を目の敵にする大沢家に仕官するため行平の刀を狙っていた。大沢は邪魔者を消し去ることが出来るなら喜んで迎えようと言った。
 行平に刀を頼んだのは天野家の用人・後藤だった。息子と娘を亡くした後藤は浅木に刀を授けたくなり頼んだ。病で倒れている間に約束の日が訪れてしまった。友部から行平の話を聞き、屋敷に行平を呼んだ。
 殿の楽しみのために、矢馳舟で真一郎と友部が勝負することになった。五射見事な引き分けだった。屋形舟に襲われる。矢と剣で取り押さえる。襲って来たのは長崎だったが、大沢は何も関係がないで通した。
 偽依頼主は行平を仇と狙う大橋だった。長崎と一緒にいたが死んだ。
 行平は、多香に一緒になるかと問いかけたが、多香は断る。真一郎が良いか。行平は王子に帰った。
 

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