吉原裏同心㊱ 陰の人 佐伯泰英
会所頭取り四郎兵衛が殺され、全てを乗っ取ろうと着々と勢力を固める一味。周到な計画に、残された面々は苦境に耐えるばかり。
京で四郎兵衛の話しを聞いた神守幹次郎は、京から姿を消した。
幹次郎は会所、石榴の家に姿を現さない。誰にも顔を見せることなく、三浦屋の四郎左衛門を助け、柳生新陰流の遣い手・板倉無向斎を斬り、丸裸の御側御用取り次ぎの朝日奈義稙と二人の女が、酒と阿片の刺激で絡みあって官能に狂っている姿で朝日奈と遣手の沙世を斬った。遊女は気絶していた。
澄乃と新之助は惨劇そのまま、遊女を連れて行き、八丁堀の桑平に知らせた。南北両奉行が駆けつけ、調べた。九郎助稲荷から沙世の文箱が見付かった。
公方方に朝日奈なる御側ご用取り次ぎは存在しない。吉原で死んだ人物は公儀とは無関係の輩ということになった。荒海金左衛門は公儀んぽお認めた妓楼を騙し取った罪で死罪、私財没収になった。
幹次郎は東山から北山、西山とひたすら歩いて修業していたということにした。
京の人々への別れの挨拶が始まった。
三十石舟で大阪に出、札差伊勢亀の持ち船で江戸へ向かう。
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