2022年3月7日月曜日

鬼役伝〈一〉 番士

鬼役伝〈一〉 番士 坂岡真 

 江戸城門番を務める持組同心・伊吹求馬は剣術の修業に余念がない。

 老中直々び命で剣の技量のみで使えるものを選ぶことになった。求馬は剣の師である星雲寺の慈雲の所に行く。慈雲は、さまざまな流派の奥深い剣理をたたき込んでくれた。身にしみ込ませることが求馬に課された修業だった。求馬は力量を知らなかった。修羅の道を進むのならもう山門をくぐるのではないと言われた。

 助っ人で加わった盗賊捕縛で、盗賊の頭からこの野郎、約束を違えるな。と言う言葉と隠し蔵の鍵と辞世の句を託される。

 求馬は持組随一の使い手になった。
 襲われた商人・飛騨甚と襲った盗賊・籐兵衛と火盗改・荒山勘解由の三者は裏で通じていると言った修也が殺された。公人朝夕人・土田伝右衛門と、命を救い適切な手当てをしてくれた志乃が現れる。
 鬼役の見習いになる。室井作兵衛から課された密命は、上様に毒を盛ったとされる奥医師・栗橋玄以を勾引かすことだった。伝右衛門と二人で行く。怪我を負えば市ケ谷御納戸町の矢背家に行けと言われる。駕籠を襲った。玄以は殺されていた。伝右衛門は短刀で刺された。伝右衛門を背負って矢背家に走る。黒幕は尾張家老の成瀬家中老・姫野監物と考えた。
 母から、父は御所に仕えた番士、母は近衛家に仕えた女官だったことを聞いた。

 浪人を使い、町中を荒らし、事件を大きくして火盗改・荒山勘解由が赴く。火盗改が全て解決すると計画した。事件で寺子屋の子供たちが全て殺された事は隠された。手助けに赴かなかった秋元老中は、謹慎させられた。荒山の乱暴なやり方に付いて行けなかったためか石動が自裁した。

 盗賊・籐兵衛から預かった辞世の句の謎解きをした志乃と求馬は飛騨甚が大名に貸している借用書の束を見つける。秋元但馬守の右腕・吉倉河内守の三万両の借用書があった。綱吉を殺し、尾張の殿様を担ぎ出し第二の柳沢になろうとしたようだ。

 求馬の母・多恵が、お役目を果たしなされの言葉を残し亡くなった。
 飛騨甚と荒山勘解由、姫野監物を始末する密命が出た。求馬も行くが、やはり殺せなかった。
 吉倉の命を受けたはぐれ忍びが秋元を殺しにくる。求馬は秋元の身代わりに褥に入る。やってきた猪狩兵庫之助を殺した。求馬の愛刀・国光は飾るだけの刀ではなくなった。

 幼馴染で初恋の人だろう咲希は持筒組の屋敷から組紐屋へ嫁いだ。兄・丈太郎も侍を辞めた。
 吉倉は病死とされ切腹した。秋元は謹慎が解けた。

 

 

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