2022年3月28日月曜日

警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官

警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官 梶永正史

 渋谷の銀行で立てこもり事件が発生した。捜査二課主任代理、郷間彩香警部補が呼ばれ現場の指揮および交渉役を任命するよう名指しされた。

 指揮車にはSITの特殊犯捜査第一係の後藤警部がいた。警察庁長官の要請で警察庁の吉田警視長がいた。SATの如月巡査部長・狙撃手を連れていた。 
 野呂刑事部長は、郷間彩香のためバックアップしたかったが、警察庁へ呼び出され、警察庁次官・百瀬と官房長・佐伯と一緒にいた。
 この事案はただの立てこもり事件ではないと思えた。

 犯人からの要求はない。応答もない。犯人の目的も分からない。人質は客四人、行員六人、犯人は三人。犯人・國井から電話があった。犯行直前、長官と次長宛に犯行予告メールがあった。國井は元二課の刑事だった。國井は捜査を上層部の圧力に妨害され辞職に追い込まれた。

 銀行から爆発音がした後、人質が八人解放された。
 野呂は携帯で郷間と連絡し、携帯を通話のままトイレに行った。百瀬と佐伯の話が聞こえた。射殺してでも流出を止めると言う。モノの確保は吉田にやらせましょうと言っている。

 郷間は國井と話をした。
 國井は人質の丸山の携帯を110番に通話にし、丸山に話しかける。敗戦を予期し私服を肥やした陸軍士官が二人いた。戦後資産を増やし、一人は政治家になり、一人は銀行を設立した。主要な官庁に息のかかった者を送り込み陰で権力を掌握しようとした。真面目に仕事をし、人脈を作り出世する。法案を出し決定する。最終的に二人の利益につながる。警察組織にも紛れ込む。救民党の伊藤、新世界銀行の寺内、寺内の息子・現会長を、父親の野望を達成するために育てた。その時、取り巻きとして育てられたのが警察庁の百瀬と佐伯だ。
 指揮車内で、今聞いたことは機密扱いにすると郷間は言った。

 吉田が食料と水を差し入れる。國井が出てきた。國井は撃たれた。吉田が國井の胸を抑え、救急車に乗る。吉田も乗った。吉田から連絡があり國井は心肺停止だった。
 二人の人質は助けられた。犯人はいなかった。一ヶ所破壊されたが元々故障で人に貸していなかったところだった。犯人の目的が分からない。國井は、郷間に「私を追え」と丸山に伝言していた。

 國井はどこにも運ばれていなかった。吉田にも連絡が取れない。逃げた犯人は救急隊員になっていた。郷間は長官に呼び出される。手を引けと言われる。吉田の捜査から手を引かないと言い切る。如月の後をつける。

 如月は羽田空港のホテルに行った。吉田がいた。部屋には二人の犯人と最後まで残っていた奥様風の人質だった。そして國井がいた。
 新世界銀行を追っていた國井と、救民党の伊藤を追っていた吉田。朝鮮王朝の王のもつ国璽が伊藤と寺内に奪われていた。それがあの銀行にあった。取り返した。銀行にあった国璽と手帳を奪っていた。昔彩香の父も関わっていた。
 百瀬と佐伯は更迭された。野呂は次長になった。

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