2018年1月31日水曜日

赤穂浪士の実像

赤穂浪士の実像 谷口眞子
 歴史文化ライブラリー214

2018年1月28日日曜日

浪人奉行 三ノ巻

浪人奉行 三ノ巻 稲葉稔
 川越往還に繋がる池袋村で行商人が襲われ、十六人が殺されている。岩城升屋に頼まれ八雲兼四郎は定次と官兵衛と一緒に捕まえに行く。
 花形弥之助と竹駒の三郎が怪しいと思われた。二人を追う。
 追い剥ぎにあい所持金を奪われた老夫婦に会う。二人を襲った者から金を取り返す。
 弥之助と三郎は仲間を増やし王子村の大百姓一家を皆殺しにしていた。兼四郎たちは二人を殺した。捕まえた者から話しを聞く。村役に渡す。行商人を襲った者ではなかった。
 板橋で種物商・六兵衛一家が殺されていた。殺したのは堅気の商売をしようとした力蔵たちだった。種物商の株を買うつもりが上手くいかなかったので六兵衛を脅し証文を書かせ殺していた。力蔵の子分の中に追い剥ぎも、行商人を殺した犯人もいた。力蔵は仲間に殺され、捕まった者から話しを聞く。
領地の旗本高田家に連絡する事。奪われた金は取り返し村名主に預けた。襲われた奉公人たちの店に連絡すれば良いと帰って行く。
 兼四郎は二十両を受け取り三人で分ける。
 
  


2018年1月27日土曜日

鍼灸日和

鍼灸日和 未上夕二 
 西川道隆 永和陶器という陶磁器メーカーに勤めて二年目。量販店廻の営業二課。新入社員との連携が上手くいかず問題が起きる。膝が痛く歩けなくなって駅前の「祖問鍼治療院」に行く。「ストレス解消に脂っこいものバカみたいに食べて、ロクに運動しないから太って、重さに耐えきれなくて膝が悲鳴を上げた。」と言われる。言う事を聞かない新入社員をぶっとばしたいと言う道隆に、先生は「ちゃんと仕事していないでしょう。ちゃんとしていたら後輩は言う事を聞くものだ。」ともいう。帰って見積もりを出し、会社では後輩に言うべき事は言う。上手くいった。足も痛くない。
 西川道瑠 道隆の姉。子どもも頃から身体の弱かった母に代わり家事を任されている。家族のための食事を作り、掃除と洗濯をする便利な存在。二年前から母はメニエール病と診断された。機嫌によって些細な事で爆発する。怒鳴り、叩き、逆上が終わるまで身をすくめて待つ。僅かに残る命が消えてしまいそうなほど体力を消耗し、部屋に閉じこもる。
 短大時代の同級生に会う。道瑠これからどうするの。このままでいいの。
 咳が止まらない。弟の紹介の鍼院に行く。「人生お先真っ暗って感じ。肺は、憂鬱とか悲しいとかの感情が積み重なると病む。咳が出て背中が痛む。」母の事、父の事、弟のこと仕事の事、将来の事話していた。「そんなに嫌なら、家を出ればいい。アルバイトをすればいい」と言われた。
 西川大輔 家族のために二十五年前に家を買い、家族のために働いてきた。今は単身赴任中だ。家に帰った。一人で社宅で弁当を食べる方が疲れがとれるかも。同僚や部下と酒をのんでバカ話をしている方が有意義ではないかと思う。
 妻・知子がストレス原因のメニエール病だという。専業主婦の知子にどんなストレスが有るのか。知子は母親から暴力を受けていた。知子を守るつもりで結婚した。
 会社のごたごたで部下がごたごたしている。二人を誘い、話し合える場を作った。話しは付かず喧嘩別れのようになったが、あの時のお陰で腹を割って話しが出来るようになったと礼を言われる。
 家に帰って、ぎっくり腰になる。鍼灸師が来た。「ぐじぐじ悩んでいると、脾が病む。それが進んで腎も病み腰にきた」家族に抱いている違和感のことを話す。「ぶちゃけちゃえばいい」
 鍼灸を受けた知子はいびきをかいて寝ていた。知子は熟睡することが無かったのかもしれない。
 長谷部愛理 西川家の次女。高校を出て社員寮のある自動車部品メーカーの事務員になった。翌年五才年上の一年先輩の弘樹と結婚した。弘樹が半月の出張中、子ども・郁美4才と二人でいるのが怖くてはじめて実家に帰る。母親て損よね。お父さんは甘やかすいい役で、お母さんは怒ってばかりの悪い役。知子と愛理は意見が合う。
 耳鳴りがする愛理も鍼灸師の治療を受ける。「びびり過ぎると身体が病む。」子どもを叩くことを話す。「お母さんに相談すれば?根は同じだから」
 西川家 テレビのしつけと虐待の話しを聞いているうちに、道隆はあんなのしつけじゃないよ。ただの暴力だと言ってしまった。道瑠姉さんもそう思っていただろう。愛理姉さんもだから高校卒業して直ぐ家を出た。ずっとやりたいようにやってきた母さんが嫌いだったからだろう?と言った。思い通りにしたかった。怒鳴って叩いて。道隆の頬を叩いたのは愛理だった。道隆は愛理に郁美を虐待しているのか?問う。道瑠が、愛理はお母さんに似ているから気を付けたほうが良いと言ったでしょう。結局はおかあさんと同じ事してるんだ。いいたい事を言い始める。言いたいことを言ってそれぞれに出て行く。
 次の日、窓の割れたお通夜みたいな西川家に祖間が来る。「みんなすっきりした顔している」
 父は解散すると言い、父と母は単身赴任先へ二人で行った。道隆と道瑠は家賃を入れてそのまま住む。道瑠は予備校の事務のパートをしながら公認会計士の勉強をしている。道隆は会社が休みの日は家事当番しながら一年過ぎた。

2018年1月26日金曜日

リンカーン・ライムシリーズ⑫ 

リンカーン・ライムシリーズ⑫ スティール・キス ジェフリー・ディーヴァー
 殺人犯を追跡中のアメリア・サックスの目の前で、エスカレーターが通行人を巻き込んだ。アメリアの救助活動もむなしく男は死亡する。殺人犯・未詳40号も逃走してしまう。
 リンカーン・ライムは自分が細かいところまで調べ追い詰めて暴力的重罪犯棟に入れられ獄死した男が、それほど凶悪犯ではなかったかもしれないことが判明した。ライムはニュウヨーク市警の顧問を辞任した。エスカレーターで死亡した男の妻からの依頼で民事訴訟のために事故を捜査する。ライムの弟子として車椅子の元疫学研究者・ジュリエット・アーチャーが参加した。
 エスカレーターは何故不具合を起こしたか。いろんな物に内蔵されているコントローラーを遠隔操作で誤作動させることが出来る。それを告発した男が、スマートコントローラー内蔵の商品、商品を買った人のデーターを手に入れてから未詳40号に殺されていたことが判った。エスカレーターは誤作動を起こすようにコントロールされ男を巻き込んでいた。
アメリアとリンカーンは一緒に調べ始める。未詳40号はヴァーノン・グリフィス35才と判った。ミニチュア家具やドールハウスを作り販売していた。
 アメリアの調べを阻止するためにヴァーノンはアメリアの母親を狙った。母親の殺害は阻止したが周りの車が誤作動を起こし追いかけることが出来なくなった。
 ヴァーノンは付き合いのあったアリシア・モーガンと一緒に逃げようと誘ったが断られ殺そうとした。
 エレベーター事件、ガスコンロ事件、電子レンジ事件の被害者と温水器の被害者候補の共通点を探る。燃料系統の欠陥があることを知りながら欠陥車の製造、宣伝、販売に関係した人物と彼らを法廷で守った弁護士だった。アリシアがこの事件の被害者だと判明した時アリシアがリンカーン宅を訪れた。リンカーンとアーチャーの二人しかいなかった。アリシアはヴァーノン宅から押収した証拠品を無くすことと、二人を殺しヴァーノンの仕業に見せかけるために訪れた。アリシアがリンカーンに向かって行った時、後ろからアーチャーが花瓶でアリシアを殴り助かった。アリシアはもうすぐ立てなくなり、病が進むとリンカーンと同じような症状になるため車椅子機器の使用訓練をしていた。
 アリシアは亡くなった夫、自分も身体に火傷をし家族を壊した者に復讐したかった。ヴァーノンが人を殺す所を見たことで犯人にしようと思い、脅迫と誘惑で思い通りに動かしていた。
 ヴァーノンは弟の墓でアメリアに捕まった。アリシアに頼まれて殺したことと、弟の日記に出てくる高校時代の友達たちを殺したことを告白した。ヴァーノン兄弟はマルファン症候群・背が高く、釣り合わない体重、細長い手や足のために苛められていた。ヴァーノンはアメリアに「未解決殺人事件のミニチュア演習」という本をプレゼントしたがった。警察規則で受け取りは出来なかった。
 アメリアの元恋人・ニック・カレッソが刑務所から出てきた。ニックは商品や処方薬を輸送中のトラックを襲い強奪するグループの首謀者だった。逮捕される直前の事件ではトラックの運転手を拳銃で殴打し大怪我を負わせていた。ニックは弟・ドニーがやった事でドニーや母親のために罪を被った。ドニーも母親も亡くなり、罪を被る必要がなくなったので無実を証明しようと思うと言う。サックスは捜査資料を取り寄せ渡す。ニックは捜査資料を読み込み自分たちが強奪した物を横取りした人物を探した。百万ドルの融資契約書、返済免除の合意書、強奪事件の犯人はドニーと噂を流す事、売りに出ているヴィトーリオの店を掲示額の半額でニックに売るように圧力をかける事、友達フレディの始末を要求した。
 ニックはアメリアに捕まった。アメリアはニックの携帯に追跡アプリをインストールしていた。フレディを始末をしようとした男・セヴィルを捕まえた。セヴィルが強奪はニックだったと証言した。アメリアはニックをフレッド・デルレイ・FBIのベテラン操作官に預けた。デルレイの秘密情報提供者になった。
 ブラスキーはリンカーンが拘っている人物が危険人物であったことを証明しようと一人で非公式に潜入捜査をしていた。しかし判った事は、ドラック依存症の新しい治療薬を売り出そうとしていたクリニックの後援者だったということだった。しかし、リンカーンは、追求すべき事を追求しないということは出来ないという結論に達し、刑事事件の顧問に戻っていた。
 アメリアは発砲したために三ヶ月の休職になった。母親の看病が出来る。そしてリンカーンに頼まれ、エレベーターで亡くなった男の家族の民事裁判の手助け・資料提供をしただろうと思う。

2018年1月23日火曜日

草紙屋薬楽堂ふしぎ始末③ 

草紙屋薬楽堂ふしぎ始末③ 唐紅色の約束 平谷美樹
 盂蘭盆会 無念の推当 金魚の長屋に年寄の幽霊が出る。金魚が妾をしていた時の下働きの老夫婦が金魚が旦那の墓参りに行かないため脅していた。金魚は旦那の本妻にしれてはいけないので墓参りに行っていなかった。無念と一緒に夫婦者に見せて行く事になった。
 薮入り 薬楽堂の奉公人・竹吉と松吉は薮入りに帰りたくない。松吉は家の納屋で一晩寝る。竹吉の家には別の人が住んでいた。野宿をしている。二人とも話しをしていない、ただ泣いた。極楽へ帰った。
 唐紅 気早の紅葉狩り 表紙仕立屋播磨屋伊三郎宅で、金魚の本の表紙のために置いていた先代虎次郎に染めてもらった紙が百枚盗まれた。金魚が犯人を突き止める。薬楽堂の主・短右衛門の長女・けい7才だった。播磨屋に遊びに行っていた。短右衛門の妻・きさはけいをどう扱っていいのか分からないでいた。いらいらし短右衛門とぶつかり別居していた。金魚はけいの部屋で紙紅葉を見た。話しをする。紅葉狩に行く約束をして、金魚は紙紅葉を表紙に使うために切ることを頼む。きさにはけいに順序だてて確かめながら話すことを奨める。理屈に合っていればやっちゃいけないことの抽斗の中に納める子です。短右衛門にはきささんを慮る余裕を持て、金を使うんではなく気を仕えと怒鳴る。
 名月を盃に映して 読売屋をやっている北野勘兵衛を狙う者が現れた。元弟子・薊だった。薊は抱え主・上杉幸三郎に妾になれと言われ、お庭番を抜け逃げようとしていた。勘兵衛は薊を好きだった。薊もそうなのだが判っていない。勘兵衛に付いている又蔵には判っているが女も不器用、男も不器用。見てる方がやきもきすると言い残し二人になる。その後どうなったか?
 無念無惨 師走のお施餓鬼 毎年師走に様子がおかしくなる無念を心配して金魚は無念のことを調べる。無念は進藤又右衛門の三男として生まれたが、すぐ油問屋・菱形屋の養子になった。十五才の時、実家の跡取りがいなくなり親戚が迎えにきた。進藤家の家族が餓死か凍死にだった。困っていたことを知っていた親戚も知らん顔の挙げ句だった。菱形屋は子どもを渡さなかった。養子だと知った無念は弟がいる菱形屋を出ていた。無念は餓死した家族の弔いをしていた。死んだ家族が餓鬼道に落ちているとか怨霊が憑いているとか嘘を言って金を巻き上げる慈念坊というのがいる事が分かった。破れ寺で餓鬼にひもじい、ひもじいといわれている無念を見付ける。慈念坊を捕まえ、今回で家族が成仏したと言わせる。慈念坊は本物の羽黒修験者に預けられる。

2018年1月22日月曜日

でんでら国 

でんでら国 平谷美樹
 幕末 陸奥国八戸藩と南部藩に挟まれた小さな国・外舘藩西根通大平村には、六十才になると御山参りに行く習わしがあった。近隣の村では姥捨ての村と言われ疎遠になっていた。代官所は飢饉になってもきちんと年貢を納める大平村に隠田があるのではないかと疑り、別段廻役・船越平太郎を隠田探しに送り込んだ。
 大平村のでんでら野の奥に隠田があり、薬草を育て馬を育てていた。砂金が取れた。年寄だけが住んでいる村・でんでら国を作っていた。「守ってやるから米を出せ」と言われた昔々に作られた。六十になれば山に行くという認可状もあった。
 平太郎は、代掻きによって濁る川を伝って隠田を探した。山奥に入り崖から落ち足を骨折し助けられでんでら国に運ばれ養生した。でんでら国では年寄が助け合って個々暮らしていた。平太郎には認知症が始まった父親がいた。
 代官・田代が足軽五十人、狼獲り三人、横目数名で、でんでら野に陣を張り隠田と平太郎探しを始めた。でんでら国の善兵衛たちは田代を捕まえ、田代と平太郎を連れ亡者の野辺送りと称し、外舘宗満公の約定書を前に出し、城へ乗り込む。藩主・外舘師直と会う。南部藩にふっかけられ払わなくてはならない五千両を肩代わりし、これからもいろいろ役に立つからこのまま放って置くことで話しを付ける。五千両は奥州金・金の含有量が多い贋金で払われた。平太郎は密偵・三造と弥五郎に善兵衛たちに見付からないように後を付けさせた。
 五千両は南部藩から幕府に渡され、でんでら国に金山があるとされ天領にするという達しがきた。でんでら国の老人を追い出すつもりで大平村に行くと、村人もでんでら国の老人も秋に税を納めたあと和尚を残してみんないなくなっていた。
 でんでら国に新しい住民が住み着いた。
 平太郎の父親が自分の認知症を自覚した。平太郎は三造と弥五郎に手伝ってもらい善兵衛たちの新しいでんでら国に父親を連れて行った。平太郎は切腹という形で覚悟を確かめられた。善兵衛は預かると言ってくれた。父親は迎えにきた老人と一緒に行く。
 平太郎は自分も六十になれば受け入れてもらえるかと言うが断られる。自分で作れと。

2018年1月21日日曜日

うわん③ 九九九番目の妖

うわん③ 九九九番目の妖 第一部  小松エメル
 九百九十九匹の妖を捕まえる期日が一ヶ月を切った。
 太一の父母だと名乗る者が現れた。糸が産んだ男児は死産だった。糸には誰かに連れ去られたと言った。小三郎は響明寺に埋めていた。
 母・凛には好きな人・卯之助がいた。元同僚の罠に嵌まり、火事で身体が焼け爛れて生きていた。凛は卯之助の治療するために清庵のところで働いた。卯之助はいなくなった。凛は清庵と一緒になった。
 真葛は響明寺の墓で起こったことを見せられた。
 うわんが卯之助に入り込んだ。それを見た凛がいた。
 小三郎が布包みを埋めた。妖たちが言う。何年も前に取り込んだ人間・卯之助を御しきれていない。新しい王を立てよう。布に包まれた太一に王の魂を入れようとする。凛が現れた。うわんが妖を呑み込んでゆく。太一を呑み込もうとするのを凛が阻止する。うわんの鋭い爪で傷つけられた。卯之助になったうわんは凛にこの子を助けてと言われ、太一に息を吹きかけ生かした。現れた真葛に凛と太一は助けられ帰る。
 一年前の墓場、うわんが墓を掘っていた。妖は新しい王だと言う。
 期日が来た。一匹足りない。太一を連れて行くと言ううわんに真葛は私が行くと言う。
 真葛がいなくなった。

2018年1月20日土曜日

小説NON 9 10 11 12月号

小説NON 9 10 11 12月号 地に滾る あさのあつこ
 「天を灼」続編
 天羽藩の藩政に関わる書類を恩師・御蔭八十雄に託した伊吹籐士郎と兄・柘植左京は囮になって脱藩した。国境で刺客に襲われ、江戸で会おうと言い、二人は別れた。
 籐士郎は江戸の裏長屋で暮らしていた。
 姉・美鶴は村の子どもたちに手習いを教えることにした。
 籐士郎は大家の紹介で讃岐屋で炭俵運びをする。讃岐屋に人夫集めの差配をして欲しいと頼まれるが断る。
 長屋に左京と思われる侍が来た。

2018年1月19日金曜日

小説NON 7 8 9 10 11 12月号

小説NON 7 8 9 10 11 12月号 浮世絵惣次日月抄 血闘 門田泰明
  浮世絵師惣次と祝言が決まった美雪が離縁された駿河国多賀藩の中老・廣澤和之進は恩師・加室又次郎徳継に惣次を美雪を誑かす「女誑し」として報告し、打貫流剣法発祥地・伊豆の天城で修行する。
 惣次は打ち倒した式部蔵人光芳が小屋敷と呼べないような屋敷に追いやられていることを知った。
 湯島の茶屋の前で老中堀田備中守を襲撃者の捕縛を助けた。長七郎に知らせた後、若衆髷の兄弟に襲われる。一人の右腕を斬り落とした。
 大番頭八千石西条山城守貞頼の娘・美雪と祖母・曽雅田鶴が三味線掘り付近で深編み笠の着流しの侍に待ち伏せされた。

2018年1月18日木曜日

恋道行

恋道行 岡本さとる
 絵草紙屋こむろやの店の奥に住み、店番をしている千七22才は、二年前まで博打打ちの小回りの用を務めて小遣い銭にありついていた。やくざ者三人と博打打ちとの喧嘩に巻き込まれ止めに入った千七が荒れ狂い、正気を失った千七を山下官兵衛が止めた。官兵衛は自分が出した絵草紙屋の店番に千七を雇った。千七は片っ端から様々な書を読むうち、読み書きがしっかりしてきた。事の善悪が身に付いた。官兵衛から小太刀を習った。伊曽保物語が大のお気に入りになった。
 千七は官兵衛に奨められ、水茶屋に行き、伊曽保物語を面白く聞いてくれるゆきが好きになった。官兵衛が身請けしてくれるというのでゆきのところに行くと、森岡久蔵が無理に落籍して連れて行った後だった。住み家を探し、久蔵と仲間の勘六を殺した。仲間割れしたように細工をし、ゆきと逃げた。品川に行き、昔馴染みの落とし屋をしている深川の金次24才を頼る。木更津の廻船問屋が夫婦者の奉公人として引き受けてくれることになった。
 金次は孤児の千七を拾って育ててくれた盗賊石動の惣五郎のところで一緒だった。長崎出身で父親は水夫だった。十二で父親が亡くなり船に潜り込んで江戸へ来た。惣五郎が捕まり長崎へ帰ったが抜荷に関わり得た金で船宿を構えていた。
 北町奉行所定町廻り同心・桑野伝八は久蔵と勘六の事件を仲間割れで処理した。政五郎の伝令役・夏川半四郎に情報を流していた。
 官兵衛は千七が好きな女を取られて傷心で旅に出たことにしていた。官兵衛には何も判らなかった。
 久蔵は幽鬼の政五郎の命令で動いていた。政五郎は盗賊むささびの万蔵の逃亡を助けていた。万蔵は逃亡の術を覚え、政五郎を関係を破棄し盗みを働いた。五千両の仕事だった。政五郎は久蔵に万蔵の手下・捨三を引き入れ金の在処を聞き出し始末するように命令していた。そんな時、久蔵が殺された。捨三も消えた。久蔵が在処を聞き出していると考えていた。ゆきが何かを知っていると考え探していた。
 政五郎の情婦・久蔵の妹・辰が千七とゆきの居場所を突き止め向嶋の寮の土蔵に監禁された。
 伝十郎に与力・松村十郎が近付く。むささびの万蔵の手下捨三の死体が見付かったこと、薬種問屋の盗みが万蔵の仕業と思われる事。逃げるのに政五郎の手を借りてない事、久蔵と勘六が殺された事、ゆきが見付かっていない事。を話し二人でむささびの奪った金を見付けようという話しになった。十郎は元松平定信の家中の者で、与力の養子に入っていた。
 官兵衛は大名小堀和泉守政方に仕えていた。田沼の引きがあったため田沼意次が失脚すると粛正を断行する松平定信によって所領を没収され小堀家は改易となった。政方が家臣に分けた用心金で官兵衛は小梅村に百姓屋を借り住まいとし、小太刀の師範として出稽古を務め絵草紙屋を開いていた。千七を住み込みで雇い、心根が真面目で純真な千七の成長を見守ることは楽しみとなっていた。
 金次が千七の話しを持ってきた。政五郎に連れて行かれたことを話す。二人で千七を助け出すために官兵衛は町方・伝八をつける。その時に与力・松村を目にする。昔の松平定信が送り込んだ隠密を思い出した。
 千七とゆきは辰のいない時を見計らって手下を殺し逃げた。ゆきが助かったのはお守りのお陰だと取り出すと 瀬戸の弁財天 松崎 と書かれた紙が現れた。二人で行ってみる事にした。

続きが有るや無しや

2018年1月16日火曜日

QED⑳ 白山の頻闇 

QED⑳ 白山の頻闇 高田崇史
 棚旗奈々は桑原崇と結婚二年目の妹沙織の夫・白岡隆宏31が出張の日に金沢に行く。
 加賀国一の宮・白山比咩神社に行き金沢に行く前に沙織からの電話で事件を知る。
 手取川で首のない日影修平48の死体が見付かる。上流で大量の血痕が見付かり、その横で頭を打ち付け倒れている隆宏の兄・白岡喬雄44が見付かった。修平の婚約者・黒沼百合31才が首を吊って亡くなっていた。病院で気がついた喬雄は逃げ出し「隆宏シロを守れ」と言い残して手取川へ飛び込む。
 タタルは白山信仰、再生儀礼に関係があると言う。シロを守れとは白を守れ、切り落とした髑髏を守れと言うことでしょう。聞いていた隆宏は、前から崇のことを聞いていたので嫌な予感がしていたと話し始めた。崇はガソリンメーターから出張は嘘だと思っていた。
 修平はすい臓ガンで余命幾ばくもないと知った。修平の希望通り喬雄は病魔に命を奪われる前に殺し、首を落とし白骨化を待つために埋めることにした。隆宏は首を預かり埋めに行った。隆宏は恐ろしくなり警察に捕まった方が良いのではないかと思い電話をしていた。百合は修平からの最後の電話の連絡で駆け付け、全てが終わってから現場に到着し喬雄と揉めたのではないかと思う。百合に突き飛ばされ倒れた喬雄をみて殺害したと思い自殺したのだと思う、と隆宏は自白した。
 崇は証拠隠滅罪は確実だろう。自白と強要されていることで減刑されるだろう。
 奈々は沙織が妊娠していると思った。
 
QED江戸の弥生 
 明邦大学一年生棚橋奈々は、中島晴美とオカルト同好会に入ることになった。三輪の浄閑寺へ行った。晴美と小澤宏樹と桑原崇。崇の吉原の蘊蓄を聞く。宏樹は二年ほど前に自殺した人の話しをした。神谷バーに行く。勝山太夫の話しから、明暦三年の大火の話、犯人は有賀藤五郎になっていることを話す。
 宏樹と崇二人になってから宏樹が自殺したことになっている国会議員の愛人だった姉の話をした。本当は自殺じゃなかったかも知れない。国会議員の名前は有賀寛司だった。
 十数年後、有賀寛司は汚職事件の首謀者として逮捕された。奔走した若いジャーナリストいた。

2018年1月15日月曜日

御用船捕物帖〈四〉 黎明の剣

御用船捕物帖〈四〉 黎明の剣 小杉健治
 船宿「ひふみ屋」の船頭・多吉が川開きに乗せていた客の一人が殺された。多吉の屋根船に乗り移った浪人がいた。多吉は南町定町廻り同心・続木音之進と幼い頃からの水練大会の競争相手で、今は音之進の御用船の船頭をしている。不審な動きをする猪牙船と屋根船を追いかける。浪人は多吉の前に姿を現す。
 多吉が探していた船頭が殺され、見ていた芸人船の芸人が殺された。一緒に乗っていた商人がもう一人殺される。七人組の仲間のうち事故で亡くなった商人と今回の二人が亡くなり、七人組みの商人が狙われているように思えた。
 七人組の呉服問屋上州屋の主が妾の兄・剣術道場主・粕谷庫之助に白河屋と三桝屋を殺すように頼んでいた。白河屋と三桝屋が共同で産地直取引の呉服屋を上州屋の近所に出そうとしていた。浪人は門弟の死神の半九郎という殺し屋だった。
 多吉には一目惚れの人がいた。七年前、音之進が続木家に養子に入いり、美鈴を紹介され一目惚れの人が美鈴だったと知った。多吉は誰にも言わず、でも美鈴を思い切れなかった。文が半九郎に連れ去られた時、多吉ははじめて自分の気持ちに気がついた。仲人は音之進夫婦がする。

2018年1月13日土曜日

奈良町あやかし万葉茶房

奈良町あやかし万葉茶房 遠藤遼
 神様やあやかしが見える高校生・草壁彰良は父親が亡くなり母方の親戚・額田真奈歌に引き取られ奈良に住むことになった。真奈歌が営む喫茶店「万葉茶房」で働き始める。人間だけでなくあやかしの憩いの場だった。彰良は万葉集の歌をそらんじると光の玉になってあやかしに吸い込まれあやかしが元気になる。
 万葉茶房のイケメンシェフは吉野の大天狗・吉野広常。大和野菜を中心に使っておいしく作る。
 英気が無くなった砂かけ婆を助け小学生の孫・阿砂子が手伝いにくる。砂かけ婆は元々は狸。阿砂子はシェフ吉野の娘ということになった。
 クラス委員の春日めぐみは幼い頃住んでいた吉野で天狗に会っていた。崖から落ちるのを助けてもらい天狗が怪我をした。薬を運び一緒に遊んだ思い出があった。直ぐ引っ越したためそれ以後会っていなかった。めぐみはもう一度天狗・ミヤマに会いたいという。めぐみの廻りで不可思議の事件が起こる。めぐみに意地悪を言う者は怪我をする。吉野のおかげでめぐみの前に姿を現したミヤマとめぐみは話しをする。ミヤマは吉野に帰った。
 陸上部の滝川美幸は毎日走り高飛びの練習をしていた。練習熱心なのは力の調整のためセーブして本気に見せるための練習をしている。美幸は龍神の娘だった。ふたりであやかしが見える人間の苦労を話す。
 彰良は母親を知らない。
 「なら燈花会」祭りが始まった。万葉茶房も出店を出す。
 吉野に勾玉を貰いミヤマが訪れる。めぐみと一緒にまわる。この祭りに行かないと母親に小遣いを止められるという美幸が来る。彰良と一緒にまわる。迷子になった子狐が彰良から離れない。子狐の母親から龍神の話を聞く。美幸と言う名前、神の力を持った美しく幸せなれという言霊、龍神様の祈りの言葉、お嬢様の人生を龍神様ご自身の力で護っていると言う。祭りの最後に雨が降る。龍神様がいらっしゃった。美幸さんを見に来たのかな。
狐は人間と恋に落ちたあやかしの話をする。男の子を授かった時の話し、食べ物を作る話し、彰良が父親から聞かされていたはなしだった。そのあやかしは九尾の狐。
 僕の母さんは九尾の狐?と聞いた真奈歌は、九尾の狐はきみのお母さんであり私のお母さんでもある。と言った。きみと私は父親違いの姉弟。彰良は独りぼっちじゃない。
 若い書生風のあやかしと浴衣姿の美女・玉藻が子どものことを話していた。祭りの初日に彰良の前に現れたふたりだった。龍神と九尾の狐

2018年1月12日金曜日

うわん② 走れ医師と黒魔の影

うわん② 走れ医師と黒魔の影 小松エメル
 享保八年 1723年 一月下旬 あと三百八十八残っている。
 真葛は小石川養生所に呼び出され、青年医師・影山春之と会う。
 寝たきりの人の夢の世界に鏡から入り込む。本音の世界?出てきた時に鏡が割れる。左兵衛は気がついていた。
 死んだ男・駒造に取り憑いているのが何の付喪神かを考える。言い当てないと身体から出られない。奥様の懐刀だった。駒造の処置をするが駒造は死んだ。
 春之には死んだ医者友達・安世の霊がついていた。春之の藩で流行った病気の薬を考え出した。病に罹った安世に飲ませると安世が亡くなった。春之が罹り死ぬつもりで飲むと春之は助かった。春之は友達を殺してしまったことで藩を出、流れ医者をしていた。春之は影を連れていた。
 小石川養生所に黒い煙が立ちこめる。うわんは根源を探す。病魔だった。病魔を吸い込む。後に春之の影が残った。春之を守ってくれてありがとうと言い残しきえそうになる。心はいつも共にある。皆を助けて・・・と言い消えていく。
 春之はあんたみたいな優秀な相棒がいたらもっと助けられるといいながら流れ医師に戻る。

2018年1月11日木曜日

うわん① 七つまでは神のうち

うわん① 七つまでは神のうち 小松エメル
 桂木真葛16 清庵の娘 
 太一6才 身体が弱く、特に日光が苦手
 太一は墓の結界の封印を解き、墓を暴き、墓の下の世にいる者をこちらの世に出してしまった。うわんは死にたくなければ、太一が七才になるまでに九百九十九のあやかしを墓に戻すように言う。うわんは太一身体を乗っ取る。見付ければうわんが吸い込み墓に戻す。
 変わった病人を探す。
 父親が家族を思うがゆえに亡くなっても成仏できず、娘に取り憑いたようになり、娘の身体が魚のようになっていた。
 鼠が若旦那に入り込み、巣穴に毒団子を仕掛けられ、店の者が順に病気に罹る。
 母親に捨てられたと思い込み母親のいた見世の遊女に呪いの掛かった口紅を売る。口紅から身体に入ると赤ちゃんになる。
 清庵の友達・岡っ引きの弥吉に助けられた蛇が弥吉の愚痴を聞き弥吉のために人を自死に見せかけ殺す。弥吉の女房・小夜も殺されていた。蛇は恩返しのつもりだった。
 閻魔堂で采女姉弟があった火事を見た。太一が勾引かされたと思った真葛だったが、火事から助け出され家に帰ると太一は弥吉に連れられ帰えってきた。清庵とも話が出来た。

2018年1月10日水曜日

鳳雛の夢 上中下 

鳳雛の夢 上中下  上田秀人 
 上・独の章 中・眼の章 下・竜の章

2018年1月7日日曜日

のっぺら巻の二 ひょうたん

のっぺら巻の二 ひょうたん 霜島ケイ
 ひょうたん 南町奉行所定町廻り同心・のっぺらぼうの柏木千太郎の口であり内蔵であるひょうたんを盗まれる。盗んだのは盗賊に押し入られ皆殺しにあった小間物屋多賀屋の赤ん坊を助けた天の邪鬼の小太だった。助けたものの何も食べないで元気が無くなる赤ん坊のためにひょうたんを盗み食べされば赤ん坊が元気になると思ったのだった。赤ん坊の子守・民の霊と一緒に頑張っていた。
 多賀屋で千太郎のひょうたんが見付かり赤ん坊のことがみんなに伝わった。主の弟・亀之介が赤ん坊と多賀屋の庭にあった天の邪鬼の石像を引き取った。亀之介は昔、小太と遊んでいた。石像を背負って小田原に帰った。
 丑の刻参り 千太郎の岡っ引き見習いの伊助の許嫁・由良の友達・文が二股を掛けられて振られた。文は丑の刻参りをしようと丑の刻参りのされることで有名な花の咲かない桜の木を探す。桜の木に人の血を掛け花を咲かせた植木職人に恋した桜の精が何十年も職人を待っていた。そのため若い人が精を吸われ老人の遺体で見付かる。三十年前、十六年前、そんな事件があったことを兵衛が話す。文と由良が狙われる。子どもが出来屋敷から追い出され静かに暮らす女から子どもを取り上げ殺した者がいた。女は恨み花が咲かない桜の木に丑の刻参りをする。その女に桜の木霊が取り憑いた。女は千太郎等に追い木に取り込まれる。桜の木を切った。
 由良は何かあった時いつも隣にいたのは伊助だったことに気がついた。

2018年1月6日土曜日

剣客同心親子舟② 菊太郎あやうし

剣客同心親子舟② 菊太郎あやうし 鳥羽亮
 柳原通りの土手で呉服屋松沢屋の主・庄兵衛と手代・留次郎が殺された。同じように左袖を斬られ、首を刎ねられた事件が一ヶ月前にも起こっていた。大川端で料理茶屋藤木屋の主・鶴蔵が殺されていた。松沢屋は人気急上昇の呉服屋だった。藤木屋は評判のいい料理茶屋だったがこの頃嫌がらせを受けていた。藤木屋を買い取ろうとしている浜京を調べていた御用聞き・守助が同じ太刀筋で殺された。松沢屋の影響を受け商売が上手くいかなくなった大野屋を探っていた磯吉が殺された。
 浜京の主・桑右衛門は殺し屋の元締めだった。藤木屋の店、離れ屋に目を付け手に入れようと主を殺していた。大野屋に頼まれ松沢屋を殺していた。殺し屋は調べている同心が邪魔で始めは命を狙うが、失敗し、菊太郎を人質にとり、手を引くように脅す。
 菊太郎が閉じこめられている小屋を見付け、菊太郎を助け出してから隠れ家に踏み込むが、腕のたつ浪人・左島は逃げ、桑右衛門はいなかった。藤木屋の離れに踏み込み桑右衛門は捕まった。左島は逃げるが隠れ家で長月隼人に殺される。

2018年1月5日金曜日

あやかし同心捕物控① のっぺら

あやかし同心捕物控① のっぺら 霜島ケイ
 柏木千太郎30 のっぺらぼう 南町奉行所定町廻り同心
 柏木兵衛    元同心、千太郎の父親
 艶    兵衛の妻・千太郎の母親 王子稲荷の尾っぽが三本の妖狐
 初23  千太郎の妻 実家は損料屋駒屋 初の一目惚れで16才で嫁いできた
 小春5才   千太郎と初の娘5才
 片桐正悟27     千太郎の朋輩
 伊助21    岡っ引き見習い
 あやかし同心 2017年 12月22日のあやかしの中
 ばらばら 大川で人の胴が見付かった。死体ではない生きているという。医者の家で預かってもらう。腕が見付かる。商家の内儀で行方不明の者はいないか調べる。湯治に行ったことにしているが油屋佐田屋の内儀・絹だろうと思われた。千太郎は何か物を壊さなかったかという質問をする。先代・文右衛門が大事にしていた茶碗を壊していた。足が見付かりだんだん揃っていくが顔が見付からない。焼接ぎに出していた茶碗が戻ってくるが破片が足りない。伊助に墓磨き(あやかし)が近付き破片の在処を教えてくれる。茶碗が直った時、絹の顔が見付かり全部揃って気がつく。茶碗を割ったことも覚えていなかった。文右衛門が死のうとした時に茶碗を預けた者が、また次の者に預けるからと取りにきた。次の福の神を必要とする者の手に渡すのだ。
 へのへのもへじ 小春は爺様に字を教わった。退屈していたらじゃあ遊ぼうとへのへのもへじを書いた。小春は壁やら障子やらに書いた。千太郎の顔にも目や鼻や口が出来ていいだろうと思って書いた。千太郎は上機嫌でそのまま奉行所に行った。町廻りもする。そんな千太郎にりんという少女がおとうちゃんだーと駆け寄る。母親・ようはりんが物心つかないうちに居なくなった父親の顔を聞かれてへのへのもへじと書いてごまかしていた。りんは千太郎をみて父親だと思ったのだった。ようは三ヶ月前に武蔵から出てきて、五年前に江戸に行くと出て行った夫・十郎を探していた。通り雨が降り顔をふいてしまい千太郎の顔が消えた。
 正悟はようの夫を探す手伝いをする。縫い物や洗い張りで生活しているように縫い物を持って行く。千太郎は正悟がように惚れるのはまずいと思う。今さら言えないしと悩んでいる。りんと小春は仲良しになる。りんの頭にふくふくと毛が生えた動物の耳が出てきた。艶が女の子なのに赤トラとは珍しいねと言う。お母ちゃんは白いの。さて正悟はどうするかね。艶の言葉。
 ようは夫の声がすると正悟についてきてもらう。ようは三味線の師匠に三味線を見せてもらい音を鳴らして貰う。ようは気が済んだ。十郎はすまないとたった一言言ったという。ようは親切にしてくれる正悟に正体を明した。化け猫だった。武蔵に帰ると言うように江戸にいろと言う正悟だった。

2018年1月4日木曜日

幕末まらそん侍

幕末まらそん侍 土橋章宏
 遠足 安中藩藩主・板倉勝明が城から熊野権現社まで七里七町(二十八・三キロメートル)を走るという命令を出した。
 一組目は片桐裕吾と黒木弥四郎。真面目な黒木はなんば走り、いい加減な片桐は馬や駕籠を使う。到達した神社には誰もいない、何もない。受け入れ準備が出来なくて、どちらが勝ったか見守る人もいない。もう一度やり直しが決まった。
 逢引き 石井政継は、剣術修行を名目として江戸へ行き、藩費で練兵館に留学した。道場で勝てなかった政継は美鈴という女に溺れた。黒船が来て政継は脱藩しようとしたが、見付かり国許に送り返された。幼馴染みの香代と妻帯させられた。先の自由もない。不味い飯を食わされた。美鈴が松井田宿に来ている。美鈴に会いたい一心だ。香代が握り飯を持たせてくれた。今日は六人で走る。松井田で美鈴に会う。握り飯が美味い!美鈴と江戸へ行こう。香代に告げに帰る。香代はお腹に子が出来たことを言う。もう一度美鈴のもとに行き、一緒に江戸に行けない。縁がなかったと言い、刀を与えて、遠足に戻る。夜、香代は十両で江戸から美鈴を呼び、上手く別れてやると美鈴が言ったことを日記に書いていた。幼い頃から好きだった政継が一緒になっても江戸の女を恋しがっていることが判り、香代が企んだことだった。
 隠密 唐沢陣内は安中城に潜み会談を盗み聞きをする。陣内は公儀の草だった。目立たぬように生活し、藩のことを知らせる。何事もなし と書いて送る年が続いた。本当に誰かがこれを読んでいるのだろうか、何か書けばどこからか反応があるのだろうか。と考えた陣内は 乱心のおそれあり と書いて送った。遠足の時に坂本宿で会う連絡が入った。乱心ではなかった。と言い直すと斬捨てい!気合いが迸り刀を抜かれた。「隠密、唐橋陣内は今死んだ」殿様と石井政継だった。唐沢家のことは先代の時から知っていた。乱心の手紙は握りつぶされていた。何故乱心ではなかったと言ったのかとの質問に、安中藩の家中の者であったら良かったのにと思うようになり、藩が潰れ、仲間が路頭に迷うのは嫌だと思ったためと答えると、殿は今、井伊直弼に睨まれ隠密が安中藩へ放たれたようだ。本当の部下になれ。と言われた。陣内は引き受けた。遠足んい戻った。みんなは待ってくれていた。
 賭け 松井田宿に近い古寺で百姓や町人、浪人や中間が賭けをしていた。誰が遠足で一番になるか。上杉広之進が一番人気のようだ。広之進は足軽で貧しい。妻の妹が祝言を挙げるという。しかし一番になった所であの殿がお金を賞金にするとは思えない。夜、広之進に負けてくれたら十両出すと耳打ちする者が現れた。十両を貰ってしまった。
 下の者には威張り散らし、上役には媚びへつらう百田や上島は上杉が前に行くことを許さない。引っ込んでおれ足軽がと言う辻村、家老にもなろうという家柄。辻村の家臣に林の中に引き込まれ木刀で足を殴られる。膝が腫れ上がりくるぶしから血が流れる。辻村に追いつく。息子・豊太郎と嫁が応援している。豊太郎に本当の姿を見せてやろう。上杉は勝った。十両を失った。殿様がいた。怪我をさせてすまなかった。ゆっくり治療せよと包みを貰った。十両入っていた。褒美に御共番になった。十二石四人扶持。百田は足軽になった。
辻村の家臣たちは石井に髷を落とされた。
 風車の槍 栗田又衛門は四十九才で役目を辞し、郷士となった。まわりに住む百姓の惨状を見、助けた。農民が次々くる。蓄えが無くなった。妻が病に倒れ薬も買えず亡くなった。そんな時、槍の好敵手だった福本勘兵衛の一子・伊助9に会う。将来は右筆になりたい伊助は武道が得意ではない。遠足の練習をしていた。栗田が教えることになる。体術を教える。早く来て農作業を手伝う。
 最終日、二時から始まった。又兵衛も走った。初日に記録されなかった片岡と黒田が二度めを走った。
 途中で又兵衛は吐血する。先に行けと言う又兵衛。知った伊助は一緒に行こうとする。日が暮れたが伊助が支え神社に着いた。松明が並び明るい中に殿様がいた。刺客が現れる。殿の前に又兵衛と伊助が立つ。逃げた刺客を追う黒木と先回りする片桐。新しい一団が殿を襲う。又兵衛が初めて実践で槍の五段突きを使う。石井が倒し、終わった。

2018年1月3日水曜日

南都あやかし帖

南都あやかし帖 君よ知るやファールスの地 仲町六絵
 天竺ムスル 応永二十一年 1414年 足利将軍四代目 
 奈良は大寺院興福寺が中心になって繁栄していた。
 天竺ムスル20才 興福寺の塔頭・大乗院に庇護されている食客。父がペルシャから渡来し義満に仕えた天竺ヒジリと呼ばれた商人の息子。
 葉月15才 立野の郷を治める武士・立野戌亥の末娘。立野の関の税の取り立てに失敗したため困窮しムスルに借金した。借金を減らすために仕え女として娘を差し出した。妾腹、母親とふたりくらしだった。
 タラサという喋る鳥がいる。
 ムスルの元に持ち主が病になるという太刀が来た。ムスルがきれいと憑いている者を妖術で眠らせておこうと考えていたが、葉月が興味で太刀を抜いてしまった。葉月は熱を出しす。太刀から女が現れる。女と話しをする。女は太刀の魂だという。うちの財物になって欲しいというムスルに戦い好きの者の物になりたい。戦いのために作った物だからという。葉月が細波幸近と名付け、畠山満家の三男の元服の祝いにすることになった。
 天竺ムスルは楠葉天次と名前を変えた。仏門に入る時、西忍とし92才で大往生する。
 立野氏の娘との間に五人の子をもうける。
 墓所の法理 ムスルが庭で人の魂と生きたムカデが組み合わされたムカデを捕まえた。ムカデの言いたいことを聞く。一条院に仕える末端の者だから、僧から末阿弥と呼ばれていた。末阿弥は一条院の僧に立野に連れて行かれ殺された。ここで一条院の僧が死ねば僧の供養をするために墓所としてこの土地を召し上げると教えてくれた。殺された時ムカデが通り魂をくっつけた。僧をかみ殺したと言う。一乗院へ行き、院主もかみ殺してやるから解き放てと言う。立野の郷はどうなるのか葉月は心配する。
 道阿弥が来た。立野で一乗院の僧の死体が四つも見付かり立野の全ての領地を要求している。龍田の関も含めて。
 ムスルは立野の領地を守る代わりに関所をムスルのものにする計画をたてる。
 葉月は明の衣装をきて、龍田大神になりすまし、「立野の穢れはすでに祓われた」と言い放つ。玉薬を投げる。玉は破裂し強い緑の光りと音を発する。視界が真っ赤になる。葉月は牛車に戻る。成功した。立野の関はムスル所有となる。
 末阿弥はムスルによってムカデから離れ昇天していった。
 海とシャルバート 京からムスルの昔馴染み・与次郎・婆沙羅者がやってきた。奉公人・芙蓉の肩から胸にかけて鱗に覆われて困っていた。船から落ちた童の話を聞き、芙蓉が可哀想に思って干し杏を船に投げてやった。童の魂が芙蓉にすがりついたのだろう。夜、葉月も手伝って現れた少年と話す。海が大好きな少年にムスルは指南魚を見せて指南魚に取りついて明へ行かないかと誘う。指南魚に宿り、航海の守り神になって欲しいと言う。行ってやっても良いと言う少年。亡魂は芙蓉から離れ、指南魚に宿った。

2018年1月2日火曜日

よろずのことに気をつけよ

よろずのことに気をつけよ 川瀬七緒
 中澤大輔35才 大学の非常勤講師、呪術、因習を専門にしている文化人類学者。
 砂倉真由18才 美術大学一年息子の嫁の連れ子だった。嫁は真由を置いて家を出、父親は真由に暴力を振るったていた。それを知り養子縁組みをして育ててくれたのは砂倉の祖父母。祖母は五年前に亡くなり、一ヶ月前に祖父は殺された。昨日床下で見付けたという呪術府を持ってきた。祖父の死との関係を知りたい。
 不離怨願 あたご様 五郎子   昭和二十年から三十年の手すきの和紙 和紙には人骨と髪がすき込まれている。墨は酒と血で磨ったもの人骨も混ざる。呪いの基礎をしっかり理解している。三つの血判が重ねてある。真由は祖父の死の事実を知りたいという。中澤は特殊な札が何なのか調べる。
 祖父・砂倉健一郎の殺されていた部屋に行く。殺された日、死体の向き、すべて陰陽道に背く、イザナギ流祈祷師の気配がする。警察に行く。警部補・森居浩孝、菊田
 健一郎の部屋から神の人形が出てきた。健一郎はのろわれていることを知っていたようだ。真由の名前が書かれた形代があった。健一郎は真由を巻き込みたくなかったようだ。何百枚もあったらしい。部屋からタンチョウ鶴の血液が混ざった粗塩が出ていた。舌を切断され、変わった刃物で心臓を突かれていた。
 七十六才の老婆が健一郎と同じ殺され方をした。彼女は元大臣の娘だった。
 イザナギ流祈祷師を訪ね、鶴の血液から山形へ行く。健一郎の隠されていたアルバムの写真から福島へ行く。写真を警察に届ける。
 不離怨願 あたご様
 登りてやしろを拝すれば、一間四面のお堂ある
 扇垂木に茅の屋根・・・・
 
 師走の月に雪なくば、よろずのことに気をつけよ
念仏と地図を照らし合わせながら地区を特定する。出会った青年が持っていた鉈は鷹鉈、健一郎の心臓を刺したのと同じ形状の鉈だった。なかなか電話が繋がらない状態で森居の留守番電話に「南郷村に形状の似た重大な物証」とだけ入れた。
 村人に捕まり閉じこめられる。念仏の場所、祈祷師たちの住んだ村だった。
 昭和二十六年、三人の子どもがいなくなった。春になって雪追橋の下でばらばらの身体が見付かった。遊び仲間四人が車で子どもをはねた。四人の中の娘が警察長官にどうしようと電話した。死体が見付からないように始末して帰って来いといわれて橋から三人を落としていた。捜査は中止させた。三人は脅されていた。帰った四人の内二人は失踪した。健一郎は娘の思い人だったために助けられた。条件は結婚して名字を変え目立たないように生きること。村人は何年もかかって宿泊施設を調べやっと見付けた。が住所を変え名前を変え探して探して、四十九年も経ってやっと見付けたのだった。呪いで殺せなかったため手を下した。
 真由を橋から落とそうとする。中澤を人質に真由を殺そうとする。村人の中にもう止めようという者がいた。真由を引っぱり上げる。森居刑事が来た。村人は逃亡した。
 大物政治家に手を出せない。五十九年前にひき逃げがあったかも分からない。
 元鳥類学者だがホームレスになっている健一郎の知り合い、野呂は刑事と一緒に駆け付け逃げた村人と一緒にいる。野呂は彼らの最後を見届けると言った。
 真由も彼らには逃げてもらうと言った。

 

2018年1月1日月曜日

手のひらの京

手のひらの京 綿屋りさ
 綾香、羽依、凛の奥沢三姉妹
 綾香31才 図書館勤務。羽依の会社の39才独身・宮尾。羽依の紹介で会い、結婚にはなしが進む。
 羽依 一般事務 指導役の上司・女性に人気の前原智也と付き合うが、連絡がなくなり、内川とつき合い始める。女性のいけずな意地悪に啖呵を切る。真剣に梅川と付き合っていたが、前川が付きまとうようになる。梅川の前で啖呵をきってしまった。羽依は恋の終わりを予感した。半年で終わった。
 凛 大学院から親の反対に会いながらも会社の組織のほとんどが関東に集中する菓子会社に就職する。東京へ送り出してからは優しい理解を示してくれる。父親がガンだと聞く。会いたい。「自分で選んだ道や」