2018年5月27日日曜日

料理人季蔵捕物控㉟ 牡丹ずし

料理人季蔵捕物控㉟ 牡丹ずし 和田はつ子
 上方の義賊・疾風小僧翔太が江戸に現れる。北町奉行・烏谷椋十郎の命を受け、季蔵や、先代の娘のき玖の夫・南町同心・井沢蔵之進、北町同心田端宗太郎、松次等は疾風小僧を捕まえるために探索する。
 疾風小僧は評判の悪医者・稲村広海宅に入り二千両と裏帳簿を盗む。裏帳簿を烏谷に送り、烏谷は稲村を自死に追い込む。疾風小僧の思うままに動いたことを気に病む。
 口入れ屋・遠田屋近兵衛宅に疾風小僧が現れるという情報で内部に入り張り込むが、近兵衛は殺され、大番頭・佐平がいなくなる。後日、佐平は殺されて見付かる。
 佐平と稲村は繋がり、佐平は遠田屋の儲けを稲村に渡し、阿芙蓉を買い込んでいた。稲村は阿芙蓉を鉄箱に入れ埋め、自死したと見せかけ火事の焼け跡に別人の遺体を置いていた。佐平は稲村から盗んだ鉄箱の鍵を隠し、稲村に殺された。季蔵は佐平の隠した鍵を見付け出し、稲村が生きていると考え、稲村の隠れ場所を見付ける。稲村が、佐平が疾風小僧が納屋に押込んでいた近兵衛を店を乗っ取るために殺したことを認めた。
 最高の牡丹ずしにするために頭を悩ましていた季蔵の前に「諸国美味いもの競べ」を出版している篠原裕一郎が現れる。牡丹ずしを取材し、肉醤を持ってくる。牡丹ずしはうりぼう肉をたれに漬け込み石窯で焼きすし飯に置いた物。肉醤は猪の肉を塩漬けにし、どろどろに溶けたはらわたの中に塩漬けの肉を漬け込んで作る。肉醤を使い、最高の牡丹ずしを作った。篠原は一時、疾風小僧と思われ牢に入れられたが、その間に疾風小僧が何度も現れたため、解き放たれる。
 篠原も疾風小僧の一味だった。
 疾風小僧というのは何人もの団体で、盗んだ金をばらまくのが仕事と言う。今回は遠田屋に成りすますもの、料理好きになる者が現れた。
 季蔵は瑠璃と楽しく話す、自分を見た。堀田季之助と名乗り、今は季蔵と言うのだよと瑠璃に話す侍。疾風小僧翔太だった。素顔で季蔵に似ているのだそうな。瑠璃の回復には楽しい思い出を振り返る必要があるのでわとの助言も。井沢蔵之進にも石工頭にもなって現れていた。人殺しをしないために"なりすまし"が得意なのだそうな。後日文が届く。
 肉醤は翔太が作ったものだった。
 疾風小僧たちは江戸を去った。
 三吉は、慈照寺の季之助だった時の主家の鷲尾影親の奥方・瑞千院に教えてもらいパンを焼いた。もともと石窯は瑞千院のものだった。
 き玖は懐妊した。

1 件のコメント:

  1. 初めまして。和田はつ子「料理人季蔵」シリーズのファンです。今回の牡丹ずしも面白く読めましたね。ただすこし、最終版のあたり、あわただしく結末に結びつけたようにも思えますね。法眼稲村広海の名前にすこし心当たりがあって、検索してこちらのサイトにたどりつきました。おじゃましましたあ

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