入り婿侍商い帖 大目付御用〈三〉 大目付御用完 千野隆司
大黒屋の角次郎は、大目付・中川忠英に呼ばれ、下総結城藩当主・水野勝愛を紹介される。千種屋が結城藩に手を延ばしてきたようだ。と言う話しだった。結城藩の結城紬の御用達は丸茂屋と豊後屋だが、丸茂屋に肩入れしている。豊後屋を潰す企みがあるようだ。豊後屋の跡取り・藤太郎が遊び人・次吉を刺した疑いで身柄を拘束された。真実を探って欲しいという頼みだった。
十六年前、角次郎は大黒屋の婿になったばかりだった。大黒屋の土地を手に入れようと左柄木屋は大黒屋に嫌がらせをした。万季の命を狙うこともあった。左柄木屋は関宿藩の藩米を重臣と謀って横流しをしていることが明らかになって闕所になり、主人・利七左衛門と跡取り・利兵衛は死罪、次男・利之助は八丈島に送られた。横流しを暴いたのは角次郎だった。御赦免で利之助が江戸に帰った。大黒屋に憎しみだけを持っていた。
大黒屋の善兵衛が襲われ亡くなった。
利之助と一緒に島から帰った者を探し、利之助の居場所を探した。仲間三人と、江戸所払いになった房川屋猪三郎が会い、猪三郎と丸茂屋幣左衛門、吉田藩の能代半左衛門、千種屋与次右衛門が密会を見、いね、とうたろう、だいこく、ねこと聞こえた。
大黒屋と家族のように付き合いのある羽前屋の娘・稲が勾引かされた。五百両を角次郎の体に付けてあちらこちらに運ばされる。疲れた角次郎に襲いかかった者を捕まえ、稲の居場所を利き出し、稲を助け出した。稲は千種屋の寮にいた。
能代は切腹した。千種屋は闕所、利之助は崖から飛び降りた。
藤太郎を犯人だと言った男が犯人だった。利之助の仲間だった。島にいる時から持っていたねこの根付けを次吉が握りしめていた。
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