町奉行内与力奮闘記〈六〉 雌雄の決 上田秀人
北町奉行・曲淵甲斐守影漸に対する吟味方筆頭与力・竹林一栄の態度があからさまになる。竹林に付いていないのは、年番方与力・左中居作吾だけだった。
竹林は奉行を追い出すために、定町廻りの仕事をしないと決め、同心に何もするなと命じた。一人・石原参三郎は見廻りをした。同僚を説得しようとする。
商人は何もしてくれない奉行所に合力金を出すことを止めた。
竹林が闇の元締めだった陰蔵に頼んで播磨屋の姪・咲江を勾引かそうとして失敗したため、陰蔵は旗本屋敷の賭場に潜り込んでいた。曲淵は目付けに手を回し陰蔵が屋敷を出るようにする。江戸から出ようとした陰蔵を播磨屋の用心棒と内与力・城見亨は高輪で捕まえ、播磨屋の蔵に監禁する。曲淵が播磨屋にいる時を狙って竹林一党は播磨屋を襲う。同心を動かすために、何年にも渡り、陰蔵を使っていたことを伝える。何人かの同心は播磨屋襲撃に加わらなかった。播磨屋の蔵屋敷の門を破り、蔵の商品を飲み食いした者を盗人として斬捨てられた。一人、竹林は逃げた。
曲淵は奉行所に帰り、左中居を筆頭与力に付け、欠員の補充を命じた。
曲淵甲斐守は「これでようやく、思うように動ける」と言った。
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