2018年5月19日土曜日

江戸家老塩谷隼人〈三〉

江戸家老塩谷隼人〈三〉 恋敵は公方様 牧秀彦
 尼崎藩江戸家老・塩谷隼人は船宿「海ねこ」の琴と隠居後は余生を過ごすつもりだ。家斉がお忍びで出掛け、琴を見初め、小納戸頭取・中野播磨守清茂に養女にし大奥へ入れることを命じた。琴は大奥へ入れられる。
 琴は家斉から肘鉄で逃げるが、塩谷を人質にされ逃げることが出来ない。塩谷の味方・御庭番・多美が家斉に眠り薬を飲ませ日を稼ぐ。
 播磨守が後ろ盾になっている裏家業の権六が隼人を狙う。裏家業の日下丈之介に助けられる。隼人は根岸の大蔵永常の屋敷に誘き出そうとする。権六を倒そうとする蒼二郎等と隼人を助けようとする日比野左内等も集まる。権六等は根絶やしにされる。御咎めは播磨守にまでは届かなかった。
 塩谷は辞職願を出し、琴の取り替えしを狙う。播磨守を脅し家斉に琴を返すように言っても家斉は承知しない。隼人は松平信一郎を通じて柳生俊則に願う。俊則は忍びで招いた家斉の他流試合を認める。引き出物は琴。相手は隼人だった。家斉が打ち込め無いことに業を煮やし、鞭打と呼ばれる馬上での竹刀打ちとなった。小兎馬に乗った隼人に家斉の愛馬は後ずさりし、家斉は引き下がった。次の日、琴は大奥を去る。
 一年後 文化九年 1812年四月
条太郎は日比野左内に手伝ってもらって用人をこなしていた。尼崎藩の農村で隼人と琴が畑を耕している。隼人の家の離れに作左衛門と千代が住んでいた。
 

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