おれは一万石③ 紫の夢 千野隆司
井上正紀18才が世子の一万石高岡藩の国家老・園田頼母が切腹し妻子は実家・戸川屋に帰った。戸川屋は藩のために頼母に都合していた百二十七両と他の店の借金を買い取った四十両余りを請求してきた。
一族の茶会で顔を合わせた播磨龍野藩五万一千石脇坂家の当主・安董から、大松屋が奪われた龍野藩から仕入れた七十石の淡口醤油を期限までに見付けられれば、追加に注文された七十石の醤油を高岡藩に廻すと言われた。始めて仕入れられた淡口醤油だった。
大松屋の醤油を運んでいた水夫の遺体の事件を調べていた山野辺蔵之介と協力する。
津久井屋が安く龍野醤油を売ろうとしている事を掴み、戸川屋と組んだ事を調べ出し、醤油を隠している納屋を突止める。運び出しを狙い、醤油を奪い返し、津久井屋と戸川屋を捕まえる。津久井屋の醤油が大松屋の醤油と証明され、津久井屋と戸川屋の共犯が証明され、津久井屋と戸川屋は闕所になった。高岡河岸の戸川屋の納屋と土地は高岡藩の物となった。四十両余りの借用証文は、高岡藩の植村の手にあった。正紀は戸川屋に身を寄せていた頼母の妻子を下妻藩の正広に頼んだ。
手に入れた淡口醤油の売り方を桜井屋長兵衛と話し合う。
尾張徳川家付家老・兄・竹腰睦群に会い、尾張藩の楽々園を借りる事にした。母・乃里の口添えがあった。叔父・宗睦・藩主に許可を貰う。醤油を売ろうとしている地域の大名、知行地を持つ旗本を茶会に招待し、淡口醤油を使った懐石料理を出す。料理は正紀の妻・京が何度も試作した。味わってもらい大名や旗本のお墨付きを貰った。
高岡河岸に醤油が入る日、正紀と京は見に行った。
京が懐妊した。
0 件のコメント:
コメントを投稿