2018年5月8日火曜日

うずら大名

うずら大名 畠中恵
 吉也は、江戸に近い東豊島村の名主の家に生まれたが、三男だった。居場所が無く剣術道場に通った。みんな次男三男だった。時が経ち、父が亡くなり、名主だった長男が亡くなり、兄は養子に行っていたので吉也が名主・高田吉之助になった。
 うずら大名 吉之助は辻斬りに遭った。助けてくれたのは同じ道場にいた有月だった。有月は佐久夜と呼ぶうずらを巾着に入れて腰から吊るしていた。吉之助は馬の飼葉を納めていた大名家の契約を切られた。有月は多々良木藩の先代殿様で大名貸をし、中屋敷に出入するようになった。
 御吉兆聞こえず 有月の飼っているシャモを大きくするため、道場へ大きなシャモを求めに行く。
 江戸近郊の名主が何人も殺されていた。有月は誰かの命令で犯人探しをしていた。吉之助は囮にされ犯人が出てくるのを待つ。襲った相手を斬る。道場の師範代・榎本だった。後ろで操っているのが誰かは判らなかった。
 大根一万本 隣村・小牧村の名主・平十郎・吉之助の姪の奈々の嫁ぎ先が相談に来る。新宮城村の豪農・三津尾儀右衛門が病のため、田畑に使う肥が手に入らなくなったのでこちらから回してほしいという。大根を漬物にして江戸に売りに行く予定で注文を取っていた。吉之助が有月に相談に行くと、有月は老中に殺された三津尾儀右衛門を調べるように言われていた。調べてくれれば下肥のことはどこかの大名に口を利いてやるという。
 大名貸の兄・六之川の店が焼け家族が亡くなり、弟・三津尾が殺され、お金が残っていなかった。大根の話を聞いた有月は三津尾家の関係した村々を回る。両家で川北村にお金をつぎ込み養蚕を始めていた。織り機まで買い込みお金を使っていた。村の者は黙っていれば両家のつぎ込んだ資材が自分たちの物になると思った。つぎ込んだことを知っている番頭だった男は、六之川が焼ける前に江戸に出ていた。三津尾儀右衛門を殺し、村を牛耳るつもりだった。有月が暴き、阻止した。
 書き付けの数字 奈々の友達・喜多は旗本へ奉公に行き、数字の書き付けを見た。菊岡九兵衛に相談し逃げ、吉之助と出会った二人は、多々良木藩に匿われる。数字は武家も身分を売る金額だった。大名や家老まであった。
 佐久夜の初泳ぎ 豪農の金持ちの娘が大名や旗本に奉公に出ることが流行っていた。殿様のお手が付いて側室になり、娘の子どもを大名にする目的だった。書き付けの黒幕が誰かを暴くため、老中・加賀守の手を借り黒幕を引きずり出すため松平家を借り網を張るが失敗する。事が漏れている。
 江戸の合戦 有月は佐久夜を吉之助に貸す。吉之助は知らないうちに囮に使われ、黒幕たちに捕まる。佐久夜は黒幕を見た。みんなが揃った時、佐久夜に訪ねる。多津川だった。道場の面々が仲間だった。多津川は武士を捨て名主の養子になっていた。老中宅に行く。多津川たちは大名の簒奪を計画していた。
 有月は兄の藩主が若く病気で亡くなる前に藩主の座を譲った有月と、側室・清心院との関係が気になって、加賀守に二人の不義を訴える書状を出していた。加賀守が有月を隠居させ、幕府親藩の姫を母に持つ今の藩主を据えた。有月は隠居大名だった。

0 件のコメント:

コメントを投稿