ベッキーさんシリーズ③ 鷺と雪 北村薫
不在の父 花村英子の同級生・桐原道子は瓜生豹太と婚約していたが、瓜生寅之助氏が亡くなり瓜生家の力が無くなった。婚約は解消された。
道子の親戚筋の華族の滝沢家の弟に子爵を賜りっていた。弟・吉広子爵が居なくなって五年、子爵は息子が継いでいた。道子は家を訪ねるが教えてもらえない。英子は似た人を見たという、浅草公園に行く。吉広氏と話す。欲しくなかった子爵を貰い、上流階級の人といると、自分の居場所じゃないと思い、妻とも考えが違うことが判り家を出たと言う。その後、人望あった馬さんというルンペンが幼児を助け車に轢かれ死亡と新聞記事が出た。滝沢さんだった。
英子は銀座の教文館で陸軍少尉・若月と会う。二度目だった。探していた本が「聖三稜玻璃」だと教えてくれる。数日後詩集が届いた。
獅子と地下鉄 道子さんの姉・麗子様は宮様に輿入れした。道子は子爵だが、一流の会社に身を置き、重役ではなく、働く人たちに眼を向けられる部署を希望する相羽を愛した。反対はされず、順調に話しは進んでいるようだ。
室町の和菓子の老舗の小学生の息子・巧が、夜9時過ぎに上野で補導された。松子叔母が英子にどう思うと聞いてきた。英子はベッキーさんに車で走って貰い相談する。
巧は三越のライオンに誰も見ていない時に跨がると入学試験に合格すると聞いてきた父親と二人で跨がりに行った。父は気がついていないが自分が跨がって居る時、人と眼が合ってしまった。だから別のライオン・博物館のライオンに跨がろうと思ったと判った。
ベッキーさんが用意した獅子に乗った菩薩様の絵馬とお札を渡した。
鷺と雪 修学旅行で一緒になった同級生・千枝子さんに写真のことで相談を受けた。カメラを買った時には台湾に行っていた婚約者が写真に写っていた。千枝子さんの友達・八重子のいたずらだった。八重子も同じカメラを前に買い、婚約者の写真を撮って、千枝子のカメラとすり替えていた。
若月英明将校さんから本が送られてきた。処分しなければならなくなったのであなたに受け取って貰えたら嬉しいと手紙があった。お返しを考えて服部時計店に電話をすると、若月が出た。あなたの声が聞けてよかった。この世では何でも起こるものだ。武運長久を祈って下さいと電話が切れた。服部時計店と間違う電話は総理大臣官舎だった。
昭和十一年。二月二十六日
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