2022年6月2日木曜日

東京バンドワゴン

 東京バンドワゴン 小路幸也

 堀田勘一79才 古本屋「東京バンドワゴン」の3代目店主
 堀田サチ7   勘一の妻 二年前76才で死去 堀田家を見守っている。
 堀田我南人60才 勘一の一人息子。伝説のロッカー。根無し草のようふわふわしている。
 堀田藍子35才 我南人と長女 画家 未婚の母 亜美と「東京バンドワゴン」のカフェを切り盛りする。
 堀田花陽12才 藍子の娘
 堀田紺 34才 我南人の長男 元大学講師 フリーライターをしながら古本屋を手伝う。
 堀田亜美34才 紺の妻 元スチュワーデス カフェで働く
 堀田研人10才 紺と亜美の一人息子
 堀田青 26才 我南人の愛人の子 堀田家次男としてくらしている。旅行添乗員
 堀田すずみ  12月青と結婚 花陽の腹違いの姉

 春 百科事典はなぜきえる 棚の百科事典があったり無くなったりすることに気付いた。小学一年の女の子が学校に行く時に置いて行き、帰りに持って帰っていることが分かった。花陽と研人が女子・奈美子ちゃんに聞く。自動ドアが体重が軽いために開かない。管理人さんが、奈美子を抱っこしてふんで開けてくれる。毎日待っているのが変だなと思って考えたようだ。
 我南人たちは管理人・ケンさんにはなしを聞く。ケンは二十年前事業に失敗して離婚届を置いて家を出、浮浪者のような生活をしていた。3年前、家族の消息を聞き、普通の生活を始めた。妻は亡くなっていた。娘家族がマンションで生活していた。ちょうど管理人を募集していたので管理人になった。奈美子ちゃんは孫だった。
 我南人はマンションの屋上でロックライブをした。マンションの住人一戸一戸に藍子と亜美がお詫びに廻る。奈美子ちゃんのところへは我南人も行き、ケンちゃんのことを話す。
 奈美子の父親が、ケンさんに妻のお父さんですかと聞きに来たらしい。妻も気付いているが何も言わない。しばらくこのまま見守ってくださいと言った。

 夏 お嫁さんはなぜ泣くの 牧原みすずが、青と結婚すると家に乗り込んできた。青は嫁というのは早過ぎるとして面倒みてやってと言う。彼女は古本屋で働くのが夢だったんだって。バイト代もいらないししばらく置いてやってと言う。
 みすずは接客も料理も本の知識も充分だった。住み込むことになった。
 亜美は結婚に反対され家を飛び出して結婚していた。以後実家に帰ったことがない。我南人は金髪を切り正装する。母親が入院したと聞いた勘一は、家族に一張羅を着させる。勘一は紋付き袴。みすずも行くことを課す。亜美の実家脇坂家に頭下げに行くという。用意の最中、脇坂家の亜美の父と弟が訪れた。我南人は立派な口上をのべ頭を下げる。両家のお互いの意地っ張りを謝り、これからの末長いお付き合いを願った。
 青とみすずが元気がない。今まで誰も知らなかった花陽の父親の話になる。藍子の大学の教授だった。教授が3週間前に亡くなった。その一人娘は牧原みすずと名乗ってわが家にいる牧原すずみだった。父親が亡くなる前に妹がいるかもしれないと藍子の名前を告白した。青との付き合いは一年前からで弟だったのは偶然だった。
 花陽は姉を受け入れ、すずみは一旦家に帰ったが、住み込みで古本屋修業と花嫁修業をするようだ。

 秋 犬とネズミとブローチと 四匹の猫に二匹の犬が加わった。名前はアキとサチ、勘一が付けた。我南人の亡き妻・秋実と勘一の妻・サチの名前かな。
 紺が、岐阜の廃業した旅館の蔵書の値付けに行った。夜中に値付けが終わり朝起きると本も人も何も無くなっていた。紺は不思議な面持ちで帰ってきた。その日、百個口の荷物が届き全ての本が入っていた。昔セドリ師に本を盗まれた。お詫びだった。
 本を貸しているホームの松谷さんが行方不明になっていると連絡が入る。松谷さんは知りあいの作家のエッセイを読み自分が大切にしていたブローチのことが書かれてあることに気付いた。今もブローチがそこにあるかも知れないと探しに行った。本に書かれていた神社は町内の佑円さんの神社だった。研人と花陽は木に登りブローチを探そうとして怪我をしていた。まだブローチは見つかっていない。その本は五十年前の本だが、今もあるのだろうか。
 紺は、サチにあるか見てきてよと頼んだ。紺は仏間で、祖母・サチと話ができる。研人もサチが見える時があるようだ。
 すずみは青の婚約者として一緒に住んでいる。勘一が仏間に移り、離れを二人が使うことになった。本を片づければ二間になる。

 冬 愛こそすべて 青とすずみの結婚式は佑円さんの神社で12月20日と決まった。佑円さんは引退しているので息子・康円さんが行う。
 青の母親に結婚の事を知らせないのかという藍を、我南人は連れ出し、ロケ現場で青の母親だと教える。見えたのは日本を代表する女優・池沢百合枝さんだった。彼女は自分の人生を演じている。我南人とのことは別の池沢百合枝だった。母親にはなれない。母親としてはいきられないけれどわすれては行けないものとして一年に一枚、青の写真をおくっていると言う。
 青とすずみの結婚式の日、映画のロケが入った。池沢百合枝が親族席に座り、神前結婚式の様子をカメラで撮影した。記念写真には勘一の要望で何枚も撮る一枚だからと我南人の隣に池沢さんが座り写真を撮った。青も気がついたでしょうかね。
 近所に住み、藍を好きなイギリス人のマードックさんが、イギリスで二人展を開かないかと藍を誘っている。藍はまだ応えを出していない。
 

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