花咲小路 二丁目の花乃子さん 小路幸也
井筒めい16才は、母の姉の娘・花乃子29才の店で働くことになった。高校でいじめに遭い、戦っためいは、先生や教育委員会を巻き込む戦いになり、味方がお父さんとお母さんだけになって学校を辞めることにした。花乃子さんの店は〈花の店にらやま〉。花咲商店街の二丁目の北側の一番端の角。十年前、交通事故で父と母を亡くし、柾と柊という25才の双子の兄弟が一緒に働いている。
フランス料理のラ・フランセの同い年の息子・海斗くんが落ち着いたら勉強を見てくれることになった。高校卒業資格を取るつもり。海斗くんは姉さん・美海21才は柊さんを好きなんだよと言う。柊は対人恐怖症かと思うほど、他人と話しが出来ない。元気さは全部柾兄が持って生まれたみたいだ。二人の顔はめちゃくちゃ整ったイケメンだ。
男の人・滝川が一万円の花束の配達を頼んだ。花乃子さんの瞳にガーベラが咲いた。一瞬だったが、めいは見た。花乃子さんは贈る花に込めた思いがわかるらしい。
仕事で観桜寺へ行く。柾兄の様子が変わる。信哉というお坊さん。親父とおふくろが、居眠り運転の車にぶつけられ事故死した時、家の車を運転していたのは信哉さんだった。と柾兄は話した。
滝川30才と贈られた側・新島佐代子35才のことをミケさんが調べていた。滝川は、亡くなった先輩の奥さんを愛したが、一緒に海外赴任して自分が運転するはずだったのに、体調が悪く休んだために先輩が運転し、事故に巻き込まれ亡くなったことを悔やんでいた。申し訳なさ。佐代子も滝川を愛したが、五才も年上で、七才の子供がいることで甘えてはいけないと思っていた。花乃子はあの庭に菩提樹を植えれば上手く行くと言う。めいは命日のお参りをする信哉に話し、菩提樹を植えるように進め二人がうまくいくように話してほしいと頼み、菩提樹を持って行く。二人はうまく行きそうだ。
ミケさんが、いろいろ話しを聞けたのは、花乃子さんが花束の中に心開いて何でも話してくれる花を仕込んでいたからだった。
めいはミケから信哉が花乃子の婚約者だったことを知る。今でも婚約者だと思っている。
海斗が夏休みになり、勉強を始めた。海斗から柊兄の気持ちを確かめてほしいと頼まれた。花乃子さんに相談していいかと聞くと、花乃子さんって不思議な力がありそうだと言う。瞳のガーベラとか花言葉の魔法を使うことは知らないようだが、海斗は勘が鋭い。
榛学園の卒業生が、恩師の退職に花束を贈る。花束を注文に来た。先生を囲む会。花乃子さんの瞳にガーベラ。
誰かが誰かに恨みを持っている。
誰かが調査会社を使って美海さんのことを調べているらしい。柊兄も美海さんが安心の右側にいても落ち着く人だと思っている。めいは美海と柊をお見合いさせることを考えた。花乃子さんと柾兄の了解はとった。柊兄と美海さんに内緒で、二宮の夫婦と海斗、花乃子さんとめいちゃんが、あかさかで会った。両家供二人の結婚には賛成している。柾兄は段取りはすべて自分がすると言った。めいには花乃子さんにも決心してもらいたいと思っている。
セイさんの段取りで、めいと花乃子は綾乃先生に会えることになった。花乃子は花束を持って行く。話しが悔恨になった。一人の少女のアドバイスのおかげでみんなの絵が輝いた。アドバイスをした少女の個性はみんなの絵の中に埋没し、画家になれなかった。少女はそうさせた先生を恨んでいた。話しが終わると先生は、そんな話しをしたことも忘れたようだった。先生を囲む会の花は忘却、勇気、尊敬の花を飾る。
今日は、お見合いだと柊をラ・フランセに連れて行く。二宮の家族と韮山の家族と信哉さんがいた。柾は、明日、イギリスに行く。本場のガーデニングや園芸を学んでくると言う。美海さんラ・フランセと花のニラヤマを守り立ててください。信哉さん、姉さんと結婚してニラヤマを守って下さい。イギリスの生活はセイさんにお願いした。
食事をしながら話しあい、二組の結婚は決まった。
先生を囲む会の先生スピーチは先生のお詫びとお礼だった。終わった後、涙を流しながら嬉しそうに、楽しそうに、幸せそうに話していた。
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