鬼役〈三十二〉 継承 坂岡真
久しぶりに行った楓の間で阿部伊勢守から目安箱に入っていた書状を見せられる。血文字で書かれた薩摩藩家老・調所笑左衛門を悪とし、薩摩藩の抜け荷の疑いを書いたものだった。切腹した伊藤家の柴原甚右衛門が書き残したのだった。
調所と柴原は友人だった。血文字の書状は偽物だった。老中阿部伊勢守からは調べの中止を言われたが調所のために調べを続け、御用取次ぎと商家の主の悪巧みを知った。御用取次ぎを暗殺した。柴原の名誉は回復され、家族は藩邸に戻った。
矢背蔵人介は御膳奉行の任を解かれ、小姓頭取格奥勤見習いとなる。元炭置き部屋に座っている。初仕事の卯三郎の毒味の相棒が毒殺される。怪しいと思えた者を尾けると忍びの者に殺された。
上様のお毒味に粗相があると困るので、毒味が終わった食事を囲炉裏の間で再度毒味をする役を与えられる。
毒味が殺された事件を調べると勘定役の帳簿の改竄、改竄させたのは御典医卜部了意。了意の何人もの毒殺が浮上する。了意に毒殺を命じる者。了意と大奥の姉小路を暗殺した。姉小路が操っていた抜け忍・富樫無間斎を殺した。
土田伝右衛門は亡くなり、養子の伝蔵が後を継いだ。
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