〈文化文明に関する些事諸問題なら、如何なる事でも万事解決〉
〈本は収まるところに収まる〉
〈煙草の火は一時でも目を離すべからず〉
〈食事は家族揃って賑やかに行うべし〉・・・・・・
明治に新聞社を興そうとしたものの、当局の弾圧で志半ばで家業を継いだ勘一の父・堀田草平の家訓です。
秋 あなたのおなまえなんてぇの 明日、藍子とマードックが帰ってきます。紺はみんなの住む部屋に頭を悩ませています。マードックは元の家に住んでもらう予定です。
藤島29才が、前に借りた本のレポートを書いて持ってきました。また三冊借りて行きます。一冊から花陽の家庭教師をしてもらうようになり三冊に増えました。藤島は六本木ヒルズにIT関連の会社を構える社長さんです。勘一は会社のきれいな秘書・永坂杏里さんと藤島を結婚させようと思っています。
この頃、古本の棚の本が入れ変わっています。すずみが気がつきました。おばあちゃんが入れ替えています。
「ほったこんひとごろし」と書かれた古本を売りに来た娘さんがいました。アナグラムを解き、紺は気がつきました。高校時代の同級生・三迫貴恵さん。紺が告白され交際を断ったため、遺書を残して行方不明になった人です。自殺は未遂に終わりました。こういう話は、「はる」でします。飛び降りようとした彼女を、我南人が、息子を好いてくれてありがとう。でも好きになることは好きになってもらえることじゃないよ。死んだらもう誰も好きに慣れないよと言って『ヘイ・ジュード』を歌って収めたということがあった。
池沢さんと女優の折原美世さんが、我南人といっしょに訪れる。折原美世、本名・三迫佳奈。池沢さんに紹介された堀田家を訪れ、事件後、暗くなった自分の家族と比べて明るい堀田家が憎く思えた。昔、書き込みをした本を思い出しテーブルに置いてしまった。ごめんなさいという。紺は自分は何も出来ないけれど、彼女のことは覚えていようと思っているという。勘一は遊びに来てと誘う。
棚の本を入れ替えていたのは、かずみ。大山かずみだった。戦災孤児だったかずみは十三年間堀田家で暮した。父親の仕事を継ぎ女医になり、無医村を渡り歩いた。現役を引退しここに帰ってきた。
マードックと藍子が帰ってきた。
紺はみんなでどうやって住むか考え中。サチと話す。
冬 冬に稲妻春遠からじ 十二月、障子の張り替え、蔵の大掃除は順番に部分的に。畳の張り替えも順番に。
終戦後、堀田家にいたジョーの孫から十箱の段ボール箱が届いた。ジョーが亡くなって十年、大量の古本と祖父の手紙が出てきた。手紙と一緒に送ります。ということだった。
うさんくさい客が、二百万円で段ボール全てを買い取ると言う。暴力に出ようとした男を、茅野が流れるような動きで押さえつけた。
ブックエージェントのハリー・リードが、CIA長官にもなったロスコーの日記がある。それを売って欲しいと交渉に来た。無かった。いろいろ調べっ判ったのは、我南人がジョーから貰ったストラトキャスターのエレキギターのボディに埋め込まれているらしい。我南人はキースにギターを売っていた。
コウさん52才が勘一に相談にくる。真奈美さん35才に求婚されたが年の差がある上に大恩ある人を傷つけ人生を終わらせた自分が、真奈美さんを幸せに出来るはずがない。店を辞めようと思うと相談した。真奈美さんは藍子に相談します。嫌いと言われたわけではない。京都で何かあったのだろうということだった。店が開けられない。
クリスマスの日、こっそり逃げ出そうとしたコウさんを茅野が連れてきた。我南人が、京都の板長の久本さんを連れてきていた。コウさんは妻を病気で亡くし、育てた娘は自殺した。娘の友だちが、娘はDVで悩んでいたと教えてくれた。自殺から半年で、ある会社の重役のご令嬢と再婚していた。店に来た元娘婿の言動に怒りが噴き上がり、包丁の持ち方が変わった。振り上げようとしたコウさんに気がついた久本さんが、自分の手で押さえて止めた。久本さんは手術をし、コウさんは店を辞めた。久本さんが、リハビリに時間が掛かったが元通りになったと話す。私は恨んではいない。おまえはこの土地で素晴らしい人々に会っている。みんなの気持ちを大事にしろと諭す。
真奈美ちゃんが一人で待ってるぞ。
研人の同級生の平本芽莉依ちゃんは、「羊男のクリスマス」を選んでもらって買って行った。すずみが選んで可愛く包装していました。
脇坂さんはたくさんのプレゼントを持って来ました。
藍子に真奈美さんからありがとうとメールがありました。
春 研人とメリーちゃんの羊が笑う 四月 〈六波羅探書〉の誘いが来ました。
メリーちゃんは羊が後をついてくると言う。勘一は研人に相談する。
堀田家の隣の空き地を、藤島が買った。家を建てるのに紺に相談する。
すずみと青が六波羅探書の会合に行った。古書界の京都のボス乱麻堂の阿曾さんが現れる。すずみはテストされたようだ。「ペーターソン中世植物彩色図」が出てくる。稀覯本の中でのトップクラスの本です。値をつけてと言われて十二万円とつけた。そしてこの本は偽物だと言う。素晴らしい技術で偽書を作り上げた職人の技に対しての値段だという。東京に持ち帰って処分すると言う。儲けるために作られた偽物は許さないと啖呵をきる。古本屋に対する考え方覚悟若いのにたいしたもんやと褒められる。みんなで示し合わせた試しだった。古書や修復の技術向上のための教科書だった。出産祝いや、持って行きなはれと言われた。
研人はメリーちゃんの後を歩いた。研人は写真を撮る。特殊メイクの羊男でした。黒いスーツの羊が庭にいます。我南人です。メリーちゃんは両親が離婚して隣町のおばちゃんの所に引っ越すと研人と離れてしまうことを心配していた。何か変な者がメリーちゃんに着いていても研人の所へ行けば大丈夫となれば研人と離れないで済むかもしれないと考えた結果だった。
夏 スタンド・バイ・ミー 七月 松ノ湯が、アートギャラリーになりました。ライブとか演劇ができる場所です。
青のことを調べて廻っている人がいるようです。青は自分の生みの親は池沢さんだろうと我南人に聞いた。池沢さんが産んでくれたから、こうして幸せでいる。産んでくれてありがとうと言っといてという青に、我南人は自分で直接言ってやったほうがいいねと返した。
花陽は中学の美術部のみんなと、藤島の会社の別荘を借りて合宿です。
同じ頃、脇坂の親戚の旅館がある葉山で海水浴です。メリーちゃんも参加しました。
木島という記者が、池沢と我南人と青のことを記事にするらしい。確証をつかんだ手段が、浅羽を脅したことだった。弱みにつけこんだ。昔の記事にはLOVEがあったね。今の君にはLOVUがないね。我南人が言った。
藤島が木島の所属する出版社を買収した。我南人と池沢さんのスキャンダルを書いた雑誌の出版は差し止めになった。記者魂を一番大切なものを地に落としてどうするのですか?
木島は口止め料を請求する。我南人のギターを一本頂けませんか。木島は我南人の大ファンなのだから。
隣に和洋折衷のアパートが出来た。藤島の別荘だと言う。二階の半分が藤島の部屋で、かずみとマードック家のが住むことになった。勘一の妹・淑子は体のために今のまま、葉山に住む。
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