八州廻り桑山十兵衛8 私闘なり、敵討ちにあらず 佐藤雅美
関八州はおれが縄張り 蕨宿 見沼通船 次々と騙し、国学者におさまり差配の裏で糸を引く。腹が立つが何も出来ない。元の船頭を首にして集めたいい加減な船頭を故郷に帰し、村方百姓から掠め取った増船賃を返させる。これぐらいしか出来ない。
怨讐ははるか彼方に 上尾宿 宿場で倒れた旅人・九蔵を泊めている。実家に連絡するが引き取らない。十兵衛が栃木に連れて行く。三十年前に裏切った親分・辰五郎が島から帰って来るので討たれに帰るという九蔵。帰って来た辰五郎は弱りきった九蔵を見て討つ気がなくなった。十兵衛が顔役三人と話を付け縄張りの一部を辰五郎に譲ってもらった。
私闘なり、敵討ちにあらず 鳥居丹波守忠挙三万石の城下町・壬生 十兵衛の知り人吉村兵太左衛門がいる。三年前、兵太左衛門が町奉行に任じられ、悪行の壬生清四郎を永牢にするつもりだったが、上役たちに反対にあい、清士郎は三年の江戸暮らしになっていた。清四郎が壬生に帰り、兵太左衛門を呼び出し斬った。清四郎はお咎め無し、斬られた吉村家は改易。十兵衛は清四郎を呼び出し私闘として清四郎を斬る。十兵衛は兵太左衛門の遺言により息子・小太郎を江戸へ連れて帰り、三年間は八重の夫の学塾に入れ、直心影流の道場にかよわすことにした。
公方様の手抜かり 境河岸 悪態を付く女房を殺しても夫は罪にはならない。と言う吉宗の指図があった。嘉兵衛がきちを殺したが罪にならないと言う。十兵衛が調べる。きちが貯めていた百両を自分の物にするため嘉兵衛が友蔵にきちを殺させていた。友蔵に五十両とられたことが判り、友蔵と嘉兵衛は死罪になった。
長命寺当住女犯の後始末 冷山村 かよの夫・又五郎は木更津で働いている。長命寺の当住・昌哲は宗判を付かないと脅し、かよを情婦にする。そのことを又五郎が知り、かよは離縁された。村民は本寺に訴えていた。木更津 又五郎は仲間と湊で質屋を襲い、皆殺しにしていたが、お金が無かった。又五郎は長命寺を襲うことにした。十兵衛は又五郎は冷山に行くだろうと追いかけた。長命寺に村民が集まっている所に押し込み又五郎は殺され、みんな捕まった。
笹倉村、手柄の横取り安房勝浦 笹倉 笹倉出身の平吉が心学講釈師・柴田織部と名乗り、寺に寄進をし、村人に大盤振る舞いをする。火盗改役の樋口新三郎は調べに江戸へ行った。隠れた平吉は盗賊だった。十兵衛が捕らえた。
篝火に浮かぶ顔 岩殿村 岩殿村の小屋掛けを撤去させるため十兵衛は岩殿に来た。松山で岩殿の定吉が殺され、松山に行く。五年前に取り逃がした巳之助を捕まえる。白州のため庭先を借りた家の女中頭と言った女が樋口新三郎とそっくりだった。
足掛け二十六年の絶望 松山 樋口が松山に来ている事を知った十兵衛はこっそり見ていた。
樋口は五才の時、一緒に遊んでいた妹・千代3才がいなくなり、新三郎は探した。14才から16才毎日江戸中を歩いた。17才賂方 御春屋御蔵役に付いた。外回りをするため加役方本役の組下同心と株の交換をした。22才新しい頭の組下同心に話を付けた。26才在をまわるようになった。29才新しい頭の下に入った。30才になっていた。
樋口が来た。女中頭ではなく、主の娘が応対した。樋口は千代だと判った。千代は何も知らず名前を変えて養女になっていた。女中頭・登喜が出てきた。新三郎は全て解った。26年千代を探し回った。どうして連れて行くと一言言ってくれなかったのか。惨い。離縁された母が娘を連れ出していたのだ。
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