渡り辻番人情帖 吉田雄亮
御家人の三男・浅井源三郎は商人の娘・千賀と所帯を持ち、辻番人となった。辻番請負人組合の辻番人の口入れ業〈吾妻屋〉の文蔵に年三十両で、もめ事の多い辻番所へ派遣されることになった。文蔵が辻番所の近くに休憩所がわりに裏長屋を借りてくれ、千賀が着替え等を届けて来る生活が二年になる。福役として為吉と一緒に。
本所三ツ目橋 三ツ目通りに露店が並び、客引きが付きまとい無理やり買わせることが問題になっていた。辻番所の前の露天商を捕まえ、請け人を呼んだ。客引きをしなければ露店をだしてもかまわないことを伝えた。引き取りに来た六右衛門は、亀高新田の土地を借り、長屋を作り、青物を作り、露天商で働き稼いだ金を分け合って暮らしていた。一部は積み立てて病気に供える。百人近い人数がいる、六割が無宿ものだという。
押し売りがために六右衛門が大番屋に入れられた。辻番所のお頭さんに相談しろという六右衛門のいうとおりお勝は相談に来る。深川番屋預けになった。源三郎の言う通りに動く、半月め、六右衛門は放免された。
入江町の鐘 稲という老婆が店の前で腹痛を装って上がり込み、深更まで居座り駕籠賃・百文をせしめるということが五件起こった。店の主人に相談される。稲を見付けた。病気の娘と孫のためにやっていた。稲に働き場所を紹介するが来ない、そして店で百文せびる。源三郎は稲を捕まえ辻番所に捕まえておく。罰として十日間住み込みで働かせる。娘と孫世話は千賀がみていた。稲は働く気になった。
花町賭場屋敷 源三郎は若い娘・久を数人の人相の悪い男たちから救った。屋敷で賭場を開いている、家禄四百石の旗本・乙部小七郎が久を見初め、自分の物にしようと、久の兄・友吉を捕まえ久を誘き出して捕まえようとした。友吉が庇い、久は逃げていた。辻番所を襲ってきた男を捕らえ、乙部の悪業を書き付けにしたが、その男は殺される。
火盗改役配下与力の天真正伝神道流浦辺道場の兄弟子・和田隆太郎に助けを求め、久を連れて友吉を取り返しに行く。火盗が賭場開帳の咎で踏み込み、和田は乙部を切腹に見せかけた。友吉と久を助けた。
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