さわらびの譜 葉室麟
扇野藩勘定奉行・有川将左衛門は父子相伝の日置流雪荷派弓術の印可を娘・伊也に与えた。伊也は大和流の樋口清四郎を知り、好感を持つ。樋口清四郎と妹の初音に縁談が整い、許嫁に二年後に婚儀を行なうことになった。初音は伊也が清四郎を清四郎も伊也を思い合っていることを知る。
有川将左衛門は藩主・千賀谷晴家の江戸での吉原通いを戒めていた。そのために江戸から殿の腹違いの兄・新納左近を呼んでいた。殿の腹違いの兄であることは内緒だ。そのため殿の側に付き将左衛門の家中の人気を疎ましく思う次席家老・渡辺兵部と側用人・三浦靭負は主席家老の老齢をいいことに、弓術指南・磯貝八十郎や鉄砲衆・井口泰蔵を使い、有川家を窮地に追い込む。将左衛門を江戸に送り、伊也は桟敷牢に入れられ、清四郎は謹慎、新納は弓で狙われ、有川家は火を付けられる。鉄砲衆に狙われた伊也を清四郎と磯貝が守る。
晴家の心を入れ替えるため、伊也は千射祈願をすることになった。補佐に清四郎が就く。伊也は千射が成せたら、京へ行こうと決めた。初音と清四郎を見ていられないと思う。
千射祈願成就した。渡辺兵部は家老職を辞し、隠退した。三浦靭負は大阪屋敷勤番になった。将左衛門は次席家老になった。新納左近は千賀谷姓になり所領をもらい、執政のひとりになった。左近は初音を妻に迎えたいと望んだ。晴家からお声がかりで樋口家との縁談は解消された。子が生まれたら日置流雪荷派を継ぐことになった。
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