QED⑤ 式の密室 高田崇史
桑原崇・タタルと小松崎良平・熊ツ崎との出合いの事件を三人の新年会で棚橋奈々が聞いている。S61年、崇・大学一年、小松崎留年し一年
「陰陽師の末裔」弓削和哉が、安倍晴明「簠簋内伝金烏玉兎集」を読んでいる崇に、部活勧誘中の小松崎を連れて話しかけてきた。弓削家で起こった三十年前の祖父と祖母の事件の話をする。事件の担当刑事は小松崎の祖父だった。密室で和哉の祖父・柘植清隆が首に短刀を突き立て亡くなっていた。警察は自殺で終わらせていた。
和哉は清隆の弟子志願・木津川が式神を使って殺したと言う。崇は、現代生きている木津川に話しを聞き、殺したのは執事の片桐だと言う。暴行されたお手伝い・時枝が逃げ去り、部屋に入った陽子と片桐、片桐が清隆を刺し、斧を取りに行き、部屋に入る時に戸を壊して入った。密室が出来上がった。弓削のお嬢様・陽子は汚れた者・人以外は見ない、見えない。
式神とは、貴族以外の身分の低い者たち。有位、無位、官人、公民、雑色人は良民、私有の奴隷という身分。中世の賎民の中でも、流浪の漂白の呪術的芸能者、唱問師、猿楽、白拍子、巫女等は人ではなかった。貴族たちには見えない人では無い者とされた。
朝廷に奪われた、たたら場を追い出され、闘った者は鬼、土蜘蛛、天狗といわれ追われた者は被差別民となった。
安倍晴明は人と鬼の間に身を置き、人では無い人を使っていた。式神とは人と認められない人のこと。
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