2015年8月22日土曜日

ベトナムの桜 

ベトナムの桜 平岩弓枝
 瀬戸内海の島・高取島には名家が二軒ある。国司に代わり政務を執る目代の家柄の高取家と小野家だ。当主は京の九条家の用人の家来で用人の姪と結婚していた。
 高取の長男・大介28才 次男・次介23才父も母も亡くなっていた。小野家の長女・奈美19才 次女・比奈 比奈14才は大介がすきだった。
 大介が行くつもりだった茶屋船での航海に次介が乗り込んで行ってしまった。大介は奈美との婚礼の日、花嫁奈美は九条家の若君と逃げた。目代を母方の親戚宮野覚兵衛に乗っ取られ、家を追い出された。大介は長崎に行く。
 長崎で騙され毒を盛られた大介を孝慶和尚と長崎奉行所配下、谷文四郎が助けてくれる。仏弟子修行と剣の修行と二年が経ち大介は逞しくなる。
 大介はイスパニア船で次介を探しに広東へ旅立つ。ホイアンの日本人町で次介に会う。一年が経ち、二人で日本に帰る日、次介が世話になった日本人が亡くなる。次介は後で帰ることにし、大介だけが船に乗った。日本は海外から帰った者を日本の中に入れない政策に変わっていた。大介は長崎近くの島に降ろされ長崎の孝慶和尚を訪ねる。両親の法事の為に島に帰る。
 大阪で大介が持って来た積み荷を売り代金が入った。
 小野家は姉妹二人になっていた。船遊女になっていた。奈美は大介に会った日、自殺した。比奈と大介は高取島に帰った。大介は京で官許を得、目代になった。比奈と結婚した。二年後男子が生まれ、次介と一緒にいた良吉が次介の便りを持ち帰った。ホイアンの日本人町で暮らす、別れの手紙だった。布で作った桜の花びらを本物の花びらと一緒に撒いてほしいという手紙。
 谷文四郎は幕府の日本人を海外に置き去りにする方針に腹を立てキリシタンになった。昔、筒井筒の許嫁が、親の都合で村上水軍の村上家に養女に出され別れていたが、村上淳姫となった許嫁は父親を探し、文四郎を探していた。長崎で大介が手紙を届け二人は会えた。二人は心中した。

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