素浪人半四郎百鬼夜行(六) 孤闘の寂 芝村凉也
田沼意次の父・意行と意次の用人井上の父は昔奇妙な穴に入ったことがあった。入ったのは紀州だが出てきたのは富士の裾野だった。そして富士が噴火した。息子たちに話は受け継がれていた。そのため平賀源内が話す龍穴はあの穴の話だと思い、源内が騒ぐことを防ぐために殺された。
半四郎は際野聊異斎と捨吉がいなくなってから、自分一人では何も出来ないと言いながらおかしな話を調べている。三十年前に死んだ娘の骨を集め生き返らそうとした男がいた。半四郎を付け回す火盗改の中原も一緒に見ることになった。畎翁が生を吹き込んだ清姫は人の世では生きて行けなかった。畎翁が死んだ。半四郎は人の居らぬところで生きよ。と言い逃がしてやる。何も悪さはしないし、命はもう長くない。
中原は半四郎と話がしたく、長屋に来るが、半四郎のところに田沼家から迎えの駕籠が来た。
田沼家から七十石で仕官の誘いがあった。半四郎は断わる。東雲藩からも誘いがあった。東雲藩から半四郎を田沼家に出し、老中との繋がりが欲しいためだった。
半四郎は服部半蔵にも声を掛けられる。
際野聊異斎と捨吉の過去 聊異斎の名は玄斎 川田班常村家の若当主が山中で癪を起こし、山の民玄斎が腹痛を治したため陣屋の側に住むようになった。玄斎の娘・百合が側室になった。百合は子を産んだが難産で死ぬ。玄斎は歯が生えて産まれた赤児を抱いて逃亡した。
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