2016年2月7日日曜日

髪結い伊三次捕物余話10

髪結い伊三次捕物余話10 心に吹く風 宇江佐真理
 読むのは二度目 2013年4月21日 単行本で読んだ。今度は文庫で。「文庫のためのあとがき」を読むために。
 気をつけてお帰り 父親が火事場で亡くなり母が置き去りにした小平太とたけ16。たらい回しになった後、小平太は奉行所役人・笹岡清十郎の養子になり、姉・たけは龍之進に恋するが大伝馬町の兼吉の家に帰される。龍之進が裏店にきて妻になってほしいと言われたたけは不破家の人間になった。不破友之進がきい(祖母の名)と変名した。九月三日祝言を挙げた。二人は前夜捕物で遅くなったため居眠りしていた。
きいの辛さを乗り越える秘訣は柳原の土手を息が切れるまで走ること。
 雁が渡る 伊与太が絵師のところから兄弟子と喧嘩をして帰って来た。
きいが焼き芋をあげて話しをした若い娘が品川で義父を殺し、岡っ引きを殺した娘・おしょうだった。きいの説明で伊与太が似顔絵を描き、手配される。火の見櫓のてっぺんに追い込まれたおしょうをきいが焼き芋を持って説得に行く。おしょうは長い打ち明け話をする。きいはおしょうを逃がしてやりたかったがおしょうはあんたのためにお縄になってやると言った。
 あだ心 悩む伊与太に手習い師匠・松之丞はまめ心とあだ心の話しをする。伊与太は不破家の中間をしながら、奉行所で人相書きを描いている。
不破家の中間だった松助と伊三次の家の女中・房が所帯を持った。松助は十手を持ち、自身番に詰めた。
 かけそき月明かり お文は迷子・さと6を連れて帰って来た。銚子の寺から逃げたことが分かった。松助はさとを自分の子にするという。
 凍て蝶 さとは佐登里と名付けられた。房の実家が銚子の寺と話しを付け、正式に松助と房の息子になった。
奉行所は五人の盗賊を追っている。伊与太は仲間の中の一人だけ人相書きがないことを不信に思った。闇夜の政吉は絵師だった。人相書きを書いた代官所の手代が絵を教わった人だったため人相書きを書かなかった。政吉は捕まる。政吉が佐登里の父親のようだ。佐登里は父親は絵師だったと聞かされている。伊三次夫婦、松助夫婦ははっきりしないことと心に閉まった。
 心に吹く風 茜16に同門の土佐藩藩士の縁談が起こる。茜は事あるごとに毒のある言葉を投げつけてくるため、一切無視してきた清水久保からの縁談が解せないから断わる。
二十四、五まではお務めしなければならないと言われた大名家への女中奉公に上がることにした。
伊与太は師匠のところに戻る。
茜はお前が他の娘を女房にするなど、いや!と言う。伊与太はおいらが一流の絵師になれたらお嬢を女房にできるかも知れませんね。今までは絶対無理だと思っていました。お嬢のために努力する。という。
茜は伊与太の描いた不破家の庭の絵と茜の絵を持って、松前藩の上屋敷に黒塗りの四人の陸尺の輿で行った。
 文庫本のためのあとがき 2013年 乳癌から骨、リンパ節に転移している進行癌が見付かる。食事の用意、洗濯、掃除、ゴミ出し、執筆を続ける。
 平成二十五年 六十四歳の誕生日の後で 

 
 

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