2016年12月2日金曜日

喜連川の風2

喜連川の風2 忠義の架橋 稲葉稔
 喜連川藩の御所様・藩主・喜連川左馬頭熙氏26才は隣国烏山藩・大久保近江守の頼みで去年洪水で壊れた橋の架け替えをすることになった。
 家老・本間壱岐守主税が命を受け、中老・伊藤竹右衛門に命じる。竹右衛門は天野一角に長者川の川普請と橋普請の差配を任せた。一角は与七郎と一緒に掛かる。村人と相談し橋は同じ所にかけ、洪水が起きないように川上に用水口を五ケ所造ることになった。橋は作事方・浅沼内蔵太と大工方・小森伝十郎が指揮してくれる。一角には金額も日数も判らない。竹右衛門は何もしない壱岐守を飛び越し御所様に伺う。壱岐守は日にちを二月十日と区切る。日がない。出てくる人数が少ないと言う一角に田畑のことでしなければならないことがあるという百姓。
 普請のことで手がいっぱいの一角に商家に押し入った浪人の捕縛の手伝いを通達される。
見付けた四人の浪人のうち、三人を捕まえた。一人は逃げたままだが一角は普請場に戻る。人手が少なく、皆に呼び出しを掛けるがなかなか集まらない。逃げている浪人が怖くて家を出られないという。手伝いに来ている庄助の家に浪人が逃げ込んだ。一角は清兵衛を連て行き清兵衛は女房を連れ出している間に浪人捕まえようとした。清兵衛が斬る。
 清兵衛には病気で寝ている母親があった。母親を看病する妹の気疲れが出ていた。清兵衛一人が働き、清兵衛の役の組の者からいじめを受けていた。清兵衛は真面目に働き、気働きも出来、差配も出来る。一角がいろいろ用いるのも組仲間にすればいじめの対象にもなった。普請を手伝う間に母親が亡くなった。一角のお陰で清兵衛も強くなった。
 御所様の視察中、危険がないように欄干をつけるようにと言われる。十日までにでき上がらないという者に御所様は日限りはないという。人数が足りないと言っている時、村の者が安心して暮らせるようになった。恩返しをすると村人が集まった。十二日、五本の用水の土手が切られ、堰を閉め、橋も完成した。
 御所様から、一角には褒美・三両が出た。一角は清兵衛に持って行く。清兵衛の組を変える。何もしなかった壱岐守は御所様からお叱りを受ける。

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