2016年12月4日日曜日

知らぬが半兵衛手控帖1

知らぬが半兵衛手控帖1 姿見橋 藤井邦夫
 寒椿 足抜けした遊女・さよを半兵衛が助けた。労咳のようで養生所に預けた。養生所から抜け出し、姿見橋で男を待っていた。十年前、大沢竜之進が長崎へ医学を学ぶ為のお金のためにさよは身を売った。「十年後姿見橋で会おう」と言う約束の為にさよは足抜けしていた。半兵衛は大沢竜之進を探す。小沢竜之進は奥医師片山白道の婿養子になり、表御番医になっていた。大沢竜之進か判らない為、「半兵衛はこんな娘がいる」とだけ告げる。養生所に診察にきた竜之進はこっそり毒薬をさよに渡す。さよは毒を飲んで死ぬ。半兵衛は遊女屋の主に毒薬を竜之進に届けて貰い、身代金三十両を強請って貰う。三十両と薬の交換場所に半兵衛は現れる。江戸中の女郎に竜白のやったことを聞かせる。
 古傷 岡っ引きの彦造が十年前の亭主殺しの犯人・すずに似た女がいると言いに来た。京扇堂の内儀だった。半兵衛は十年前の事件を調べる。二十年前、すずの父母が殺されていた。父母を殺したのが、亭主・富吉だと知ったすずが、富吉を殺して、川に身投げした。たまたま通りかかった京扇堂の主に助けられ内儀になっていた。彦造がすずを強請にかかったのを見て、彦造を捕まえ、十手を取り上げる。すずは死んだことにした。
 波紋 花見客の中で、刀にしがみつかれて尻餅を付いた若い武士は、五才の子を斬り殺した。子供の父親・松井又八郎は自死し損なった妻を養生所に預け、長年離れていた剣道場に通い始めた。半兵衛は若い武士を探す。家紋の入った笄を落としていた。半兵衛は神明の平七の舎弟半次に調べてもらう。三千石の旗本矢部家の庶子で七十俵二人扶持・清水家に養子に入った清水祐之輔だと判った。表に出てこない祐之輔が出てくるように、笄があることを知らせ、祐之輔が清水家から矢部家に移るために屋敷を出る時を作った。半兵衛は松井に誰が犯人かを教えないが周り髪結いの房吉に聞くように言う。清水家から矢部家に移る時、松井は祐之輔を斬り、切腹した。半兵衛は半次に手札を渡した。
 汚名 片平慎之介は友達の袋物司「栄美堂」の主・徳右衛門を斬り、金を奪ったとされた。手代・幸助の言だった。栄美堂は徳右衛門の弟・徳次郎が後を継いだ。幸助が行方不明になり、徳次郎は内密に済ませようとしたが、番頭が半兵衛に相談した。幸助は死体で見付かり、片平慎之介が犯人とされた。徳右衛門を殺したのは徳次郎に頼まれた浪人者たちだった。その時、片平慎之介も殺したと思っていた。幸助が殺されたことで徳次郎が慌てた。片平は斬られて川に落ち助けられたが、二日後に亡くなっていた。所帯を持つつもりだった女・雪が医者に運び片平から聞き、生きているように見せる為幸助を殺した。雪は片平の名を使い百両持ってくるように強請る。雪が危なくなった時半兵衛が現れる。弥平次と手先に助けられ徳次郎は捕まり、逃げた浪人は南町の秋山久蔵にたたき伏せられた。北の知らぬ顔の半兵衛と南の剃刀久蔵の初めての出逢いだった。

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