草紙屋薬楽堂ふしぎ始末① 平谷美樹
鉢野金魚(きんとと)
本能寺無念 戯作者
春爛漫 桜下の捕物 薬楽堂の小僧・松吉が亡霊を見たという。興味を持った金魚は書いた物を見せに来たついでに大旦那・長右衛門と調べることにした。金魚は足跡を見付け、五尺二、三寸の侍が版木を盗みに来たという。夜、やってきた所を捕まえる。上杉家は藩の内状を書いた出版物の版木を書いた本人・北野貫兵衛に出すように言った。貫兵衛は売った薬楽堂に盗みに来た。上杉家から二十両を貰って燃やした。貫兵衛は薬楽堂で働くようになった。
尾張屋敷 強請りの裏 戯作者・織田野武長は強請られていた。本名・加藤権三郎
尾張藩士で尾張藩上屋敷侍長屋にすんでいる。犯人は尾張藩の中間だった。が、最初は武長の父親が、戯作者を辞めさせる為に脅しのつもりで強請り、動いたのが中間だった。同じことを中間が真似したということが真相だった。武長は迷ったが、父親が国許に帰ったため、結論を出さず、武士も辞めず、戯作者も辞めずにいる。
池袋の女 怪異の顛末 書肆藤田屋故山堂では雨戸ががたがた鳴ったり、家鳴りがしたり怪異が起こり又兵衛は眠れない。金魚は又兵衛の不眠を見破り、無念と解決に乗り出す。本棚が揺れ、本が飛ぶ。人の通り道を見付ける。犯人・貞吉を捕まえる。怪異が起これば池袋から来た女中・みつの所為だと言って奉公にあがったみつを取り返せると思ったという。みつと駆け落ちしろと言う又兵衛に、貞吉はやり方を間違えた、許してもらえるなら親に話し正面から申し込みに来ると言い許された。納得出来ない金魚は、貫兵衛に頼む。池袋に貞吉もみつもいなかった。みつが言っていた巣鴨で、貞吉がみつを追いかけ回したのでみつの親が心配して藤田屋に奉公に出したことが判った。みつが父親の病気を理由に家から呼び出されていた。貞吉がみつを呼び止め殺そうとしたところで阻止した。
もう少し書き込めと言われるのを無視して、金魚の処女作「春爛漫 桜下の捕り物」二が出版された。一巻は読み込まれた貸本に擬装され貸本屋が貸し歩く。
師走の吉原 天狗の悪戯 吉原の妓楼松本屋で花魁・梶丿鞠の絵を描いた、絵師・東雲夕月が居なくなった。北町同心・本多が話を持ってくる。生きたがらない金魚を連れて吉原に行くと、金魚が元・梶丿葉大夫・附廻だったことが分かった。大松屋に落籍されたが五年で亡くなり、お金を貰って家を取り上げられていた。
夕月の行方不明には梶丿鞠も関係していた。松田屋からこっそり出て揚屋町の裏茶屋に居た。金魚は夕月が書いた版下絵を見て謎を解いた。夕月は風景画を描きたくなった。書かせてもらえないために隠れた。白澤屋は夕月の仕事を減らすことにした。出来た時間で風景をかけば良いということになった。夕月は仕事に生き詰まり逃げたが吉原を出られず篭って居たことになった。
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