大江戸木戸番始末 両国の神隠し 喜安幸夫
杢之助は天保七年極月の末、江戸を逃れ、小田原城下で置き引きが逃げてくるのに足をかけ店頭させ取り押さえた。置き引きをされたお店者と茶店のおやじがいた。杢之助は茶店で働くようになり、三ヶ月後、お店者の主・両国の薬種屋中島屋徳兵衛の勧めで両国の木戸番人になった。
深川で子供が神隠しにあっていた。十日も経たずに帰ってくるという事件が起こっていた。近所の留吉がいなくなった。杢之助は中島屋の手代・紀平と女物の駕籠を手がかりに探す。探り出したのは、前の北町奉行・榊原忠之の下屋敷にいる認知症の奥方が孫が亡くなったことが判らず、孫に会いたがった。そのために子供を屋敷に連れ込んでいた。杢之助は屋敷から逃げ出した下働きの茂平と女中の由利を追ってから助けた。斬られた茂平を連れ込んだ医者・村井東按と中島屋徳兵衛で榊原に話を付けてもらった。東按が奥方の医者になり茂平と由利は東按の手伝いをすることになった。
中島屋は芝浜に潮干狩りに行った。杢之助も参加していた。西国屋の船と一緒になる。西国屋の船が沈み始め、中島屋の船の面々が西国屋の船のみんなを助けた。杢之助は事故ではなく西国屋の娘の結婚に横槍を入れた口入れ屋鳴子堂の若旦那・与之市がやらせたことだと調べた。近所の岡っ引き・捨次郎の手柄になるように、実行者四人と与之市が捕まるように持って行った。
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