結城半蔵事件始末〈一〉 不忠者 藤井邦夫
南町奉行所吟味方与力・結城半蔵 二百石旗本 妻・花絵二年前に死亡 息子・一之進15才 娘・佐奈子13才 下男・卯之吉
切れ者 定町廻り同心・横山総一郎と物書同心・工藤敬之助が殺された。二人が会っていた芸者・小柴も殺されて見付かった。南町奉行・池田能登守は目付時に働き目覚ましく異例の出世をした。氷室精一郎の父の代は千五百石書院番組頭だったが、妻の役者遊び、嫡男の放蕩を暴かれ、妻と嫡男を成敗し、切腹した。精一郎は二百石の家督を継いだ。精一郎は能登守を恨み、南町奉行所の門に火を着けたり、小柴を使い同心から奉行の情報を得ていた。老中・松平和泉守邸から帰る途中浪人を集めた氷室に襲われる。能登守を殺すことには失敗したが、能登守に責めは及ぶと聞き切腹した。能登守も切腹した。
不忠者 半蔵は若侍四人に襲われている老武士を助けた。上関藩江戸留守居役・遠藤頼母だった。身体の弱い嫡男と国表にいる次男との世継ぎ争いが起こっていた。若侍は殿の命で嫡男派の遠藤を殺しに来ていた。江戸家老は若侍を成敗した。藩主は隠居し、嫡子が家督を譲られた。責めを負い江戸家老は切腹した。誰が忠で誰が不忠なのか。
密告者 定町廻り同心・高村源吾は「夜烏の仁兵衛が今夜日本橋呉服屋越乃屋に押込む」という結び文を貰った。盗賊を捕らえたが、頭の仁兵衛はいなく、小頭の百足の軍事だった。また同じ越乃屋に押込むという結び文を貰う。半蔵は、昔、犯さず殺さず気付かれづに忍び込みお金を盗む土蜘蛛の五郎蔵を捕まえた時、女房子供を世間から隠し逃がしてやったことがあった。その子供が清吉、現在仁兵衛の船頭をしていた。清吉は盗賊仲間から抜けたかった。半蔵を頼り密告者となった。半蔵は仁兵衛を捕まえる寸前、刃引きの刀で清吉を斬り、川に突き落とす。卯之吉が川から引き上げそのまま品川まで行き、女と合流した清吉を逃がした。清吉は死んだことになった。盗賊はみんな捕まった。
0 件のコメント:
コメントを投稿