2017年4月23日日曜日

親鸞 完結編上下

親鸞 完結編上下 五木寛之
 親鸞は京に帰ってきた。葛山犬麻呂から西洞院の住居を提供して貰って住んでいる。犬麻呂は亡くなり申丸が後を継いでいた。
 親鸞は末娘・覚信と弟子・唯円と暮らし、「顕浄土真実教行証文類」略して「教行信証」に手を入れている。
 申丸は覚蓮坊と繋がっていた。覚蓮坊は良禅と名乗り親鸞と同時期に比叡山にいた。慈円を尊び親鸞を目の敵にした。親鸞の息子・善鸞を使い、「教行信証」を持ち出させる。覚蓮坊は親鸞を罪に問うための証拠にするつもりだった。印地党の責めにあい覚蓮坊の船岡山の屋敷が燃える。覚蓮坊は文章を火の中に投げ込む。善鸞は火傷を負いながら親鸞の文章を守った。
 宋から来たという竜夫人が寺を建てる。竜夫人は鹿野だった。斬首された安楽房遵西を偲ぶために遵念寺を建てた。鹿野から出生を聞いた申丸は覚蓮坊から離れた。店も財産を手放した。申丸の父親は飛礫の弥七だった。
 親鸞は83才で火事にあい、親鸞の弟・尋有の里坊・善法院に移る。
 善鸞は妻・涼と息子・如信と三人で東国に行った。聞こえて来るのは親鸞の意に沿わぬ事ばかりで念仏者の勢力争いに利用されていた。唯円が東国へ行く。84才の時、親鸞は善鸞を義絶した。その後、妙禅房とは手を切り常陸の北の方を廻った。如信が助けていた。
 竜夫人が宋に帰る。長次と申麻呂も同行する。常吉は遵念寺を守るために残った。嵯峨野の遵念寺が覚蓮坊の付け火のため焼けた。常吉と覚蓮坊が亡くなった。
 88才、親鸞の所に如信と唯円が東国から来る。
 90才、十一月二十八日息絶えた。

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