2017年4月28日金曜日

希望荘

希望荘 宮部みゆき
 聖域 杉村三郎38才 東京都北区尾上町に杉村探偵事務所を開設。近所の主婦から、亡くなったと聞いていた三雲勝枝さんとそっくりな人を見た。調べて欲しいということだった。勝枝さんは貯めていたお金を娘に取られ、娘から逃げていたが、宝くじが当たり娘と二人で暮らしていた。宝くじに当たったことを人に言いたくなくて、亡くなったことにして姿を消していた。
 希望荘 老人ホームで亡くなった武藤寛二の息子・相沢幸司が、父親が亡くなる前に人を殺したというような事を言っていたので調べて欲しいと依頼してきた。告白を聞いたのはホーム主事・柿沼と担当介護士・見山、ちょうど掃除をしていたクリーニングスタッフ・羽崎だった。テレビで最近起こった婦女暴行目的の殺人事件を放送している時だった。武藤が言う殺人事件は昭和五十年の若い娘の殺人事件だった。犯人は知人に連れられ自首している。付き添っていたのが武藤だった。希望荘で六人の独身男性が住んでいた。殺人を犯し様子のおかしい同居人を見ていた。今回起こった殺人事件の犯人は羽崎だった。殺人を犯して様子が変なのがわかったから、羽崎に自首を勧めるつもりでしゃべっていたのだった。杉村は殺人現場にスポーツタオルがきれいに三つ折りにされて残っていたことで気がついた。ホームの
クリーニングスタッフはタオルを三つ折りにして膝置きに使う。相沢氏への報告書に全てを書いた。相沢氏は知り合いの警察関係者に報告書を見せた。羽崎は捕まった。
 武藤は四十年前、離婚して消息不明だった。十年前、息子がレストランをオープンしたことを知り近所をうろついていて会った。
 砂男 杉村が離婚して実家に帰り、父親を看取ってから探偵事務所を始めたきっかけ。
 杉村がアルバイトしていた〈なつめ市場〉のお得意さんの店の主人・巻田広樹が不倫相手の女性と駆け落ちをした。不倫相手と思われる女性の母親が、納得できないから探して欲しいと蛎殻調査事務所に依頼した。所長の蛎殻昴と行動を共にした。
 巻田広樹・香川広樹は12才の時、自宅に火を付け母親と妹・10才を殺した疑いがあった。妹への虐待があったようだ。広樹の妻・典子に子供が出来たことを知り、人を殺した自分が子供の父親になれないと言い、自分が悪者になるよう駆け落ちを騙り家を出ていた。不倫相手と思われた子・典子の友達は広樹のアドバイスで医療事務の勉強をしていた。彼は広樹ではなかった。病気の母親の入院費が欲しいため自分の戸籍を広樹に売っていた。広樹が妹に近づいたため広樹を殺していたのでろう。それは突き放した広樹の父親が知っていた。
 蛎殻昴に誘われて探偵事務所を開いた。蛎殻調査事務所の調査をしながら。
 二重身(ドッペルゲンガー) 2011年東日本大震災が発生、杉浦の事務所は傾き取り壊すことになり、大家・竹中家の西端に間借りすることになった。
 相沢氏の次男・幹生の友達・伊知明日菜が母親の交際相手が東北へ行ったまま消息不明なので探してほしいと依頼してくる。
カジュアルアンティークショップのオーナー・昭見豊はアルバイト店員・松永に殺されていた。松永が、昭見が明日菜の母親に贈るつもりで買ったピアズリのダイヤの指輪を持っていることで明らかになった。殺してしまった次の日におきた地震を利用していた。

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