〈捕物〉時代小説傑作選 なぞとき 細谷正充編
五月菓子 和田はつ子
呉服・太物屋の京極屋の乳母として務めたいとは気に入られ、主・迪太郎の妾になった。いとのお腹に子ができた。いとの手作りの柏餅を食べ、息子・弥太郎が死んだ。いとは捕まるが季蔵が調べ、柏餅の前にカステーラを食べていた。弥太郎は小麦粉アレルギーだった。初めて口にした小麦粉だった。
煙に巻く 梶よう子
煙草屋の人気の双子の若旦那。十ヶ月違いの兄妹ということになっている。長男の見合い相手は次男の相思の相手だった。長男は煙管職人になりたがっていた。二人は入れ替わっていた。二人を取り上げた産婆・辰が殺された。犯人は産婆の茶飲み友達だった。双子の若旦那を脅してお金を取ろうとした。辰と揉めて殺してしまった。知られた若旦那たちは、長男が煙管師の元に行き、弟が祝言を挙げて家を継いだ。
六花の涼 浮穴みみ
継母が大好きな少年・兎一郎。兎一郎が毒を飲まされていることに気付いた蝶は、調べ始める。継母・蔦は蝶の昔馴染みだ。毒を飲ませていたのは、昔馴染みの女中と蔦の昔の男だった。蔦は昔のことを話すと脅され、兎一郎を育てても大きくなったら知らん顔だと言われていた。蝶は蔦が継母に育てられ苛められていたことを知っていた。蔦に自分の母親と同じことをするのかと問われる。兎一郎は三年かかって育てた変わり朝顔の花を蔦に持って行く。
人待ちの冬 澤田瞳子
薬屋・成田屋の娘・香津がいい加減な商売をする婿とその仲間に福寿草の毒を盛ることに気付いた真葛は、馴染みの薬屋で自分の考えた毒消しを作り成田屋に行く。七人が亡くなり二人が助かった。死ぬつもりだった香津と女中の雪も助かり捕まった。婿たちの仲間を装った雪のお腹に子がいた。真葛は雪を助けて欲しいと言ってきた平馬は生まれた子どもを育てるのではないかと思った。
うき世小町 中島要
一膳飯屋たつみの娘・加代が江戸錦絵小町比べに出場すると言ったことから、加代の幼友達・八重が志乃を殺し、加代が見破り自訴して出るという。容姿を武器に成り上がろうとした志乃、恵まれた境遇ながら見た目の善し悪しに囚われた八重、二人のことを知らず女であることを恨んでいた加代。
鰹千両 宮部みゆき
双子の一人を生まれて直ぐ捨てさせられた伊勢屋。伊勢屋の先代内儀が亡くなり、今の内儀の一人娘が亡くなった。伊勢屋は棒手振りの角次郎に千両で鰹を買うと言う。角次郎に相談された茂七は角次郎夫婦の娘が拾い子であることを見抜く。手放す気が無いことを確かめ、伊勢屋に行く。伊勢屋の娘は十三年前に死んだ。角次郎に払ったと思って千両くれと言い放つ。伊勢屋が怒って出したお金を伊勢屋の前に出し、「俺からの口止め料だ。二度とちょっかいを出すな。あの子が捨て子であることを誰にも口外するな。」と言う。
2018年2月28日水曜日
2018年2月26日月曜日
孫連れ侍裏稼業② 上意
孫連れ侍裏稼業② 上意 鳥羽亮
亀沢藩勘定奉行だった息子・恭之助は普請方・岸崎虎之助と徒士・小柴重次郎に惨殺された。息子夫婦を殺した敵を追い、孫・松之助と出府してきた伊丹茂兵衛は生計を立てるため口入れ屋の世話になっていた。夜盗に狙われているという両替屋の用心棒を請け負う。
国許の先手組物頭・松岡裕一郎が配下の小頭・杉本吉之助と組子・倉森東之介に殺され江戸へ逃げた二人を追って藩主の上意で討っ手が出た。討っ手の青葉と滝沢は伊丹に相談に来た。岸崎と小柴も杉本と倉森も領内の雲仙流の同じ道場の門下生だった。
杉本と倉森は両替商を狙う夜盗になっていた。岸崎も小柴も仲間だった。両替屋に押し入った夜盗を追い払った。隠れ家を見付け上意討ちは果たしたが岸崎と小柴は居なかった。
亀沢藩士は国許に帰った。茂兵衛は松之助の剣術の稽古をする。
亀沢藩勘定奉行だった息子・恭之助は普請方・岸崎虎之助と徒士・小柴重次郎に惨殺された。息子夫婦を殺した敵を追い、孫・松之助と出府してきた伊丹茂兵衛は生計を立てるため口入れ屋の世話になっていた。夜盗に狙われているという両替屋の用心棒を請け負う。
国許の先手組物頭・松岡裕一郎が配下の小頭・杉本吉之助と組子・倉森東之介に殺され江戸へ逃げた二人を追って藩主の上意で討っ手が出た。討っ手の青葉と滝沢は伊丹に相談に来た。岸崎と小柴も杉本と倉森も領内の雲仙流の同じ道場の門下生だった。
杉本と倉森は両替商を狙う夜盗になっていた。岸崎も小柴も仲間だった。両替屋に押し入った夜盗を追い払った。隠れ家を見付け上意討ちは果たしたが岸崎と小柴は居なかった。
亀沢藩士は国許に帰った。茂兵衛は松之助の剣術の稽古をする。
2018年2月25日日曜日
紅雲町ものがたり
紅雲町ものがたり 吉永南央
紅雲町のお草 杉浦草76才 「小蔵屋」という和食器とコーヒー豆を売っている店を久美と二人でやっている。離婚し連れて帰れなかった息子・良一は三才で亡くなっている。
お客さんの噂話と散歩の時に見た光景から、介護暴力とか連想し、マンションの廻りをうろつき警官に老人徘徊と思われたりした。中学生の話から暴力を受けているのは中学生の息子と知った草は助け出すつもりでマンションに行く。たまたま出会ったこの頃立て続けに起こっている空き巣に入る泥棒に虐待されている子どもを連れ出すように頼む。空き巣は少年を布団に包んで玄関から出てきた。草は警察に、散歩している途中で、泥棒に呼び止められ泥棒に入ったら虐待されて怪我して逃げられない子がいたので連れ出した。警察に連絡してくれと頼まれたと話す。
クワバラ、クワバラ 十万円近い未払いの相手は小学校の二年間を過ごした同級生だった。小蔵屋を建てる時に古民家風にするために古材を売ってくれた家・桑原家の娘・秀子だった。トミナガ電気の会長の奥様になっていた。
桑原家は裕福な材木店だったが、秀子が生まれた年に没落した。秀子は良い時を知らない。親戚に預けられたりしていた。秀子の勝ち気な表情は寂しさの裏返しだったのかもと草は思う。草が桑原家から頂いた屏風の修理の途中に出てきた下張りをきれいに剥がし、秀子に見せる。銀スプーン・置時計・ピアノ・かんざし・櫛・らでん・蒔絵・祝い着・宮参り・七五三・雛人形 七段飾り・子供用ベット・がらがら・押し絵羽子板・オルゴール・絵本・市松人形 これを秀子に用意する 父庄之介 大正十五年四月六日 秀子は父の愛を感じたのだろうか。小蔵屋は十年前開店した。
草は秀子が家出をしていることを知る。秀子の実家の後に建っているペンションに行く。秀子は恋愛相手の気持ちを確かめたくて家出していた。いい気味だと思っているでしょう。あいにく人の恋愛を笑うほど枯れてないのと話す二人。
0と1の間 草は家庭教師を付けてパソコンを習い出した。教師の白石は高校生・美月にお金を貢いでいると思われたが、親が離婚して別れた兄妹だった。美月は母親の再婚相手と新しく出来た赤ちゃんとうまくやっているように見せて、兄の所でお金を使っていた。白石は誰にも相談せず妹に金を工面し下宿の家電も売り払った。風邪を引いて何も出来なくなった時、借りを作りたくないと言う白石に草は自分で持てない荷物をちょっと友達に持って貰い、自分にゆとりがある時に、誰かの荷物に手を貸せばいいと言う。主計を抜いて、少しは人に頼り、頼られたり、するといろんな道が見えてくる。と言われ友達水野に電話を掛けた。
次の日、台風で医院がなくなり娘の家に住み、グズグズ言っていた白石の風邪を診てくれた老医者が医院のあった千葉に帰った。
悪い男 小蔵屋でお弁当を食べる運送業者・寺田は二十五年前に貸したお金を同級生・大竹に返された。大竹は二十五年前、友達からお金を借りまくり姿を消していた。大竹が頻発する泥棒の容疑で捕まった。寺田は泥棒が入った時間に別の場所で大竹を見たと名乗り出るが、大竹が否認する。会っていた相手がピアニストになって帰ってきた清瀬小夜子だった。
二十五年前、小夜子と大竹は同じ楽器店でアルバイトをしていた。小夜子の母親が楽器店から56万円盗んだとされ、小夜子の留学が白紙に戻されそうになった。大竹は友達から集めた金を盗まれたお金の穴埋めに使った。盗まれていなかったということになっていた。
小夜子は大竹と会いお金を返していた。大竹は小夜子の昔の話が公になることを気にして会ったことを言わなかった。犯人が捕まっていて大竹は釈放された。
犯人は紅雲町の独居老人の名簿を持っていて草には×が草の友達・由紀乃には○が付いていたことを教えてくれた。二人とも家の廻りで不審者を見たと届けていた。由紀乃は脳梗塞の後、半身が動きづらい。由紀乃の息子が宮崎から由紀乃をこちらに連れてきたいので説得する協力をして欲しいと電話をかけてきた。
萩を揺らす雨 由紀乃は宮崎に行った。
77才の草は、大谷清治の頼みで京都へ大谷の愛人だった鈴子の葬式に行く。大谷の息子に東京に来ないかと声を掛けるという使命を受けた。大谷は与党の国会議員だった。一度引退したが無所属で立候補した。
鈴子は大谷と付き合うことを許さなかった父母の言いつけのままに京都の染矢に嫁いだ。鈴子のお腹には大谷の子どもがいた。大谷は止めたいが連絡が付かず、草に止めてくれと託した。知っているのは二人の他に鈴子の妹・芙貴子と草だけ。鈴子の夫・染矢が亡くなったあと、息子・青史に話したようだ。
青史は東京には行かないという。草は携帯電話を拾ったことで青史の大人の事情にまきこまれてしまった。青史を追いかけていた目つきの悪い男たちが携帯の着信音がする草のバックを引ったくった。改めて袂に入れていた拾った携帯と草のバックを交換する。草が立ち去って警察の逮捕劇が始まった。
携帯はドラッグの顧客リストだった。青史の友達の物だった。友達を止めさせたくて鴨川に捨てるつもりがチャンスがなくて高瀬川になり、それが草の手に入ってしまった。友達のグループと手に入れようとしているグループと警察が追いかけていた。最後には青史は警察に話し、草の協力を得た。刑事は青史に友人を売ったなんて自分を責めるな。あいつを救ったと思えと言った。
草は大谷に会い、肝腎なことは役立たずだと言った。鈴子の骨片を渡した。大谷は骨片をかみ砕き呑み込んだ。これでずっと一緒だ。
草が密かに想う人だ。
紅雲町のお草 杉浦草76才 「小蔵屋」という和食器とコーヒー豆を売っている店を久美と二人でやっている。離婚し連れて帰れなかった息子・良一は三才で亡くなっている。
お客さんの噂話と散歩の時に見た光景から、介護暴力とか連想し、マンションの廻りをうろつき警官に老人徘徊と思われたりした。中学生の話から暴力を受けているのは中学生の息子と知った草は助け出すつもりでマンションに行く。たまたま出会ったこの頃立て続けに起こっている空き巣に入る泥棒に虐待されている子どもを連れ出すように頼む。空き巣は少年を布団に包んで玄関から出てきた。草は警察に、散歩している途中で、泥棒に呼び止められ泥棒に入ったら虐待されて怪我して逃げられない子がいたので連れ出した。警察に連絡してくれと頼まれたと話す。
クワバラ、クワバラ 十万円近い未払いの相手は小学校の二年間を過ごした同級生だった。小蔵屋を建てる時に古民家風にするために古材を売ってくれた家・桑原家の娘・秀子だった。トミナガ電気の会長の奥様になっていた。
桑原家は裕福な材木店だったが、秀子が生まれた年に没落した。秀子は良い時を知らない。親戚に預けられたりしていた。秀子の勝ち気な表情は寂しさの裏返しだったのかもと草は思う。草が桑原家から頂いた屏風の修理の途中に出てきた下張りをきれいに剥がし、秀子に見せる。銀スプーン・置時計・ピアノ・かんざし・櫛・らでん・蒔絵・祝い着・宮参り・七五三・雛人形 七段飾り・子供用ベット・がらがら・押し絵羽子板・オルゴール・絵本・市松人形 これを秀子に用意する 父庄之介 大正十五年四月六日 秀子は父の愛を感じたのだろうか。小蔵屋は十年前開店した。
草は秀子が家出をしていることを知る。秀子の実家の後に建っているペンションに行く。秀子は恋愛相手の気持ちを確かめたくて家出していた。いい気味だと思っているでしょう。あいにく人の恋愛を笑うほど枯れてないのと話す二人。
0と1の間 草は家庭教師を付けてパソコンを習い出した。教師の白石は高校生・美月にお金を貢いでいると思われたが、親が離婚して別れた兄妹だった。美月は母親の再婚相手と新しく出来た赤ちゃんとうまくやっているように見せて、兄の所でお金を使っていた。白石は誰にも相談せず妹に金を工面し下宿の家電も売り払った。風邪を引いて何も出来なくなった時、借りを作りたくないと言う白石に草は自分で持てない荷物をちょっと友達に持って貰い、自分にゆとりがある時に、誰かの荷物に手を貸せばいいと言う。主計を抜いて、少しは人に頼り、頼られたり、するといろんな道が見えてくる。と言われ友達水野に電話を掛けた。
次の日、台風で医院がなくなり娘の家に住み、グズグズ言っていた白石の風邪を診てくれた老医者が医院のあった千葉に帰った。
悪い男 小蔵屋でお弁当を食べる運送業者・寺田は二十五年前に貸したお金を同級生・大竹に返された。大竹は二十五年前、友達からお金を借りまくり姿を消していた。大竹が頻発する泥棒の容疑で捕まった。寺田は泥棒が入った時間に別の場所で大竹を見たと名乗り出るが、大竹が否認する。会っていた相手がピアニストになって帰ってきた清瀬小夜子だった。
二十五年前、小夜子と大竹は同じ楽器店でアルバイトをしていた。小夜子の母親が楽器店から56万円盗んだとされ、小夜子の留学が白紙に戻されそうになった。大竹は友達から集めた金を盗まれたお金の穴埋めに使った。盗まれていなかったということになっていた。
小夜子は大竹と会いお金を返していた。大竹は小夜子の昔の話が公になることを気にして会ったことを言わなかった。犯人が捕まっていて大竹は釈放された。
犯人は紅雲町の独居老人の名簿を持っていて草には×が草の友達・由紀乃には○が付いていたことを教えてくれた。二人とも家の廻りで不審者を見たと届けていた。由紀乃は脳梗塞の後、半身が動きづらい。由紀乃の息子が宮崎から由紀乃をこちらに連れてきたいので説得する協力をして欲しいと電話をかけてきた。
萩を揺らす雨 由紀乃は宮崎に行った。
77才の草は、大谷清治の頼みで京都へ大谷の愛人だった鈴子の葬式に行く。大谷の息子に東京に来ないかと声を掛けるという使命を受けた。大谷は与党の国会議員だった。一度引退したが無所属で立候補した。
鈴子は大谷と付き合うことを許さなかった父母の言いつけのままに京都の染矢に嫁いだ。鈴子のお腹には大谷の子どもがいた。大谷は止めたいが連絡が付かず、草に止めてくれと託した。知っているのは二人の他に鈴子の妹・芙貴子と草だけ。鈴子の夫・染矢が亡くなったあと、息子・青史に話したようだ。
青史は東京には行かないという。草は携帯電話を拾ったことで青史の大人の事情にまきこまれてしまった。青史を追いかけていた目つきの悪い男たちが携帯の着信音がする草のバックを引ったくった。改めて袂に入れていた拾った携帯と草のバックを交換する。草が立ち去って警察の逮捕劇が始まった。
携帯はドラッグの顧客リストだった。青史の友達の物だった。友達を止めさせたくて鴨川に捨てるつもりがチャンスがなくて高瀬川になり、それが草の手に入ってしまった。友達のグループと手に入れようとしているグループと警察が追いかけていた。最後には青史は警察に話し、草の協力を得た。刑事は青史に友人を売ったなんて自分を責めるな。あいつを救ったと思えと言った。
草は大谷に会い、肝腎なことは役立たずだと言った。鈴子の骨片を渡した。大谷は骨片をかみ砕き呑み込んだ。これでずっと一緒だ。
草が密かに想う人だ。
2018年2月23日金曜日
本所見廻り同心控② 十兵衛推参
本所見廻り同心控② 十兵衛推参 稲葉稔
深川で二人の浪人が殺された。見廻り同心・深見十兵衛は、遠野彦市が犯人だと突止めるが、同時に狙われたのは遠野だったことも判った。二人は返り討ちにあったのだった。平治が見ていた。浪人は、闇の与三郎の用心棒だった。
与三郎の息子・己一郎は掛け取りに行った侍に無礼討ちになる寸前を遠野が指を切り落とすことで助かったのだが、指を切り落とされたことを根に持って遠野の命を狙った。二人を雇ったことを知っている番頭を殺していた。平治が監禁された。
十兵衛は遠野を犯人として追っているわけではないこと、証人がいること、証人が与三郎に捕まっていることを話し、与三郎の呼び出しに応じた遠野と一緒に行き与三郎を捕まえる。
遠野は八王子の剣術道場に行った。平治は死んだ浪人の懐から盗んだ金を十兵衛に返したが、十兵衛は四ヶ月の身重になった平治の女房にお祝いとして渡した。
平治は大工同士の喧嘩で相手に怪我をさせたことで人足寄場送りになって出てきたところだった。十兵衛は喧嘩の原因が相手にあることを知っていたが怪我をさせていたのでどうにも出来なかった。
深川で二人の浪人が殺された。見廻り同心・深見十兵衛は、遠野彦市が犯人だと突止めるが、同時に狙われたのは遠野だったことも判った。二人は返り討ちにあったのだった。平治が見ていた。浪人は、闇の与三郎の用心棒だった。
与三郎の息子・己一郎は掛け取りに行った侍に無礼討ちになる寸前を遠野が指を切り落とすことで助かったのだが、指を切り落とされたことを根に持って遠野の命を狙った。二人を雇ったことを知っている番頭を殺していた。平治が監禁された。
十兵衛は遠野を犯人として追っているわけではないこと、証人がいること、証人が与三郎に捕まっていることを話し、与三郎の呼び出しに応じた遠野と一緒に行き与三郎を捕まえる。
遠野は八王子の剣術道場に行った。平治は死んだ浪人の懐から盗んだ金を十兵衛に返したが、十兵衛は四ヶ月の身重になった平治の女房にお祝いとして渡した。
平治は大工同士の喧嘩で相手に怪我をさせたことで人足寄場送りになって出てきたところだった。十兵衛は喧嘩の原因が相手にあることを知っていたが怪我をさせていたのでどうにも出来なかった。
2018年2月22日木曜日
蘇る鬼平犯科帳
蘇る鬼平犯科帳 池波正太郎と七人の作家
せせりの辨介 逢坂剛
骨董品を盗む泥棒・徳三が古物商をしていることを掴んだ火盗改は徳三を探る。徳三に辨介から繋ぎがあったと思った平蔵は、徳三を火盗改に引き込む。徳三が火盗改につなぎを取ったために殺され布団に包まれて海に投げ込まれたと思われた。そのために盗みに入らないと思われた店に辨介は盗みに入る。平蔵は押し入らないと思って見張りをしないだろうと思われた店を張り込み、押し入った辨介を捕まえる寸前自殺された。辨介は殺されたと思われた徳三だった。
最後の女 諸田玲子
葵小僧を処刑され三年後、葵小僧が出た。葵小僧に入られ離縁された利緒は平蔵と関係を持、最後の女と言われたことで生きていた。利緒に縁談が起こった。見直に近付いてきた男・宗十郎がいた。葵小僧の仲間だと思った。葵小僧の被害にあった女が殺されていた。利緒を囮にして平蔵を呼び出し殺そうとしていた。利緒は平蔵に宗十郎が隠れていることを知らせるために宗十郎の前に飛び出し殺される。利緒は平蔵が利緒と呼ぶ声を聞きながら亡くなった。
隠し味 土橋章宏
利吉は盗みはするが殺しはしない盗賊・籐兵衛一味の引き込みをしていた。萩屋の板前として入り二年半になった。籐兵衛が亡くなり頭が変わり、急ぎ働きもするという。五郎蔵に籐兵衛一味の変わりようを相談する。利吉が引き込みに入っているので食事をしながら平蔵は毎日張り込みしていた。押し込みの日、引き入れた者を刺し、火事だと叫ぶつもりが、侍が現れ、殺されそうになる。籐兵衛一味は侍に殺されていた。張り込んでいた火盗改に捕まる。萩屋の主人が利吉が店を救ったと喜ぶ。平蔵は、盗賊の利吉は死んだ。今日から萩屋の利吉だという。
前夜 上田秀人
長谷川平蔵の父親は先手弓頭から京都町奉行へ栄転した。平蔵も出世していく。火盗改の増加役を命じられる。半年で終わったが半年後火盗改役の本役を命じられる。火盗改で手柄を立ててもててなくても出世はなかった。夢は潰えた。ならば火付盗賊改め方の鬼と言われてくれる。出世を捨て職務に励む。
浅草・今土橋 門井慶喜
味噌屋くいな屋の手代・茂七は二年前、火盗改の捕物に巻き込まれ木村忠吾の顔面に味噌をかけてしまった。茂七は悪者に誑かされ忠吾を酒に酔わせ、捕まえ火盗改を呼び出しその間にくいな屋を襲う話しに乗ってしまう。平蔵の機転でくいな屋を襲った者は捕らえられくいな屋の主夫婦は茂七の命を助けてくれるように嘆願する。息子のような者正道に戻らせるのでという。茂七は三十日のところ払いでくいな屋夫婦へお預けになった。
狐桜耳袋秘帖外伝 風野真知雄
根岸肥前守 一度狐憑きにあったように思っている者をもう一度狐憑きの話しで思い込ませる。茶碗を盗もうとした。
石灯籠 梶よう子
森山源五郎孝盛77才。喜寿の祝い。長谷川平蔵と同じような道をたどった水と油のような性格の違ったふたり。どちらも認めていたのだろう。平蔵の息子が、鈴木越後の羊羹を持って祝いに来る。
瓶割り小僧 池波正太郎
平蔵が捕まえた泥棒の顔をみて、泥棒が少年だったころに会っていたことを思い出す。
せせりの辨介 逢坂剛
骨董品を盗む泥棒・徳三が古物商をしていることを掴んだ火盗改は徳三を探る。徳三に辨介から繋ぎがあったと思った平蔵は、徳三を火盗改に引き込む。徳三が火盗改につなぎを取ったために殺され布団に包まれて海に投げ込まれたと思われた。そのために盗みに入らないと思われた店に辨介は盗みに入る。平蔵は押し入らないと思って見張りをしないだろうと思われた店を張り込み、押し入った辨介を捕まえる寸前自殺された。辨介は殺されたと思われた徳三だった。
最後の女 諸田玲子
葵小僧を処刑され三年後、葵小僧が出た。葵小僧に入られ離縁された利緒は平蔵と関係を持、最後の女と言われたことで生きていた。利緒に縁談が起こった。見直に近付いてきた男・宗十郎がいた。葵小僧の仲間だと思った。葵小僧の被害にあった女が殺されていた。利緒を囮にして平蔵を呼び出し殺そうとしていた。利緒は平蔵に宗十郎が隠れていることを知らせるために宗十郎の前に飛び出し殺される。利緒は平蔵が利緒と呼ぶ声を聞きながら亡くなった。
隠し味 土橋章宏
利吉は盗みはするが殺しはしない盗賊・籐兵衛一味の引き込みをしていた。萩屋の板前として入り二年半になった。籐兵衛が亡くなり頭が変わり、急ぎ働きもするという。五郎蔵に籐兵衛一味の変わりようを相談する。利吉が引き込みに入っているので食事をしながら平蔵は毎日張り込みしていた。押し込みの日、引き入れた者を刺し、火事だと叫ぶつもりが、侍が現れ、殺されそうになる。籐兵衛一味は侍に殺されていた。張り込んでいた火盗改に捕まる。萩屋の主人が利吉が店を救ったと喜ぶ。平蔵は、盗賊の利吉は死んだ。今日から萩屋の利吉だという。
前夜 上田秀人
長谷川平蔵の父親は先手弓頭から京都町奉行へ栄転した。平蔵も出世していく。火盗改の増加役を命じられる。半年で終わったが半年後火盗改役の本役を命じられる。火盗改で手柄を立ててもててなくても出世はなかった。夢は潰えた。ならば火付盗賊改め方の鬼と言われてくれる。出世を捨て職務に励む。
浅草・今土橋 門井慶喜
味噌屋くいな屋の手代・茂七は二年前、火盗改の捕物に巻き込まれ木村忠吾の顔面に味噌をかけてしまった。茂七は悪者に誑かされ忠吾を酒に酔わせ、捕まえ火盗改を呼び出しその間にくいな屋を襲う話しに乗ってしまう。平蔵の機転でくいな屋を襲った者は捕らえられくいな屋の主夫婦は茂七の命を助けてくれるように嘆願する。息子のような者正道に戻らせるのでという。茂七は三十日のところ払いでくいな屋夫婦へお預けになった。
狐桜耳袋秘帖外伝 風野真知雄
根岸肥前守 一度狐憑きにあったように思っている者をもう一度狐憑きの話しで思い込ませる。茶碗を盗もうとした。
石灯籠 梶よう子
森山源五郎孝盛77才。喜寿の祝い。長谷川平蔵と同じような道をたどった水と油のような性格の違ったふたり。どちらも認めていたのだろう。平蔵の息子が、鈴木越後の羊羹を持って祝いに来る。
瓶割り小僧 池波正太郎
平蔵が捕まえた泥棒の顔をみて、泥棒が少年だったころに会っていたことを思い出す。
2018年2月19日月曜日
江戸の御庭番
江戸の御庭番 藤井邦夫
牛頭馬頭 江戸の隠密仕事専任のお庭番・倉沢家に婿入りした喬四郎。着任早々将軍吉宗から盗賊牛頭馬頭の始末を命じられる。佐奈と仮祝言をあげ、探索に向かう。隠れ家の武家屋敷を突止めた。茶道具屋一茶堂に押し込む直前に阻止する。頭の義十をわざと逃がし、背後に潜むものを暴こうとしたが義十は武士に斬られてしまう。
喬四郎を助ける才蔵は義十を斬った榊原という武士をつける。義十が死ぬ前に榊原兵衛という名前と妾のつたの口利きだったことを言い残す。初めての役目・牛頭馬頭の義十一味は片づけた。屋敷に帰る。
才蔵は榊原兵衛が芝の正徳寺の家作に住んでいることを突止めた。
赤馬奔る 吉宗に牛頭馬頭の義十は武士に雇われ江戸を荒らし廻っていたことを報告する。武士の素性を割り、江戸を荒らした理由を突止めるよう命じられる。
つたが隠れ家だった武家屋敷に行き、屋敷の持ち主に殺され掛け、義十の隠し金で吊った。屋敷の主・青山右近は榊原に脅迫され盗賊に屋敷を貸していた。
榊原を見張っていた才蔵は榊原がお頭と呼ぶ嗄れ声の者と会う声を聞いた。榊原は家作から姿を消した。
牛頭馬頭 江戸の隠密仕事専任のお庭番・倉沢家に婿入りした喬四郎。着任早々将軍吉宗から盗賊牛頭馬頭の始末を命じられる。佐奈と仮祝言をあげ、探索に向かう。隠れ家の武家屋敷を突止めた。茶道具屋一茶堂に押し込む直前に阻止する。頭の義十をわざと逃がし、背後に潜むものを暴こうとしたが義十は武士に斬られてしまう。
喬四郎を助ける才蔵は義十を斬った榊原という武士をつける。義十が死ぬ前に榊原兵衛という名前と妾のつたの口利きだったことを言い残す。初めての役目・牛頭馬頭の義十一味は片づけた。屋敷に帰る。
才蔵は榊原兵衛が芝の正徳寺の家作に住んでいることを突止めた。
赤馬奔る 吉宗に牛頭馬頭の義十は武士に雇われ江戸を荒らし廻っていたことを報告する。武士の素性を割り、江戸を荒らした理由を突止めるよう命じられる。
つたが隠れ家だった武家屋敷に行き、屋敷の持ち主に殺され掛け、義十の隠し金で吊った。屋敷の主・青山右近は榊原に脅迫され盗賊に屋敷を貸していた。
榊原を見張っていた才蔵は榊原がお頭と呼ぶ嗄れ声の者と会う声を聞いた。榊原は家作から姿を消した。
つたと青山は締め切った茶店で義十の隠し金を探しているところを榊原の手の者に襲われる。喬四郎が助ける。右近とつたは逃げた。空き屋が付け火をされる。青山の屋敷も付け火をされた。
つたの住んでいた仕舞屋を見張っていた喬四郎は付け火を阻止し、付け火をしようとした男をつけ、尾張藩の蔵屋敷に入るのを見届けた。榊原の存在を確認し、ご隠居と呼ばれる年寄がいることを確認する。
付け火の左平は死んだ。榊原は次ぎに何が起こるか楽しみにしていろと言い放ち消えた。
土居下衆 榊原は土居下衆の頭だった。隠れ家・端久寺に来た青山右近は榊原に斬られる。喬四郎は助けるが右近はつたに看取られ亡くなる。尾張が江戸を荒し公儀の威光を貶め、吉宗を将軍の座から引き摺り降ろすために企んだことを突止めた。
庭番成敗 喬四郎は、つけて来た黒崎蔵人をつけ、尾張藩中屋敷で榊原が家老・成瀬隼人正と繋がっていることを突止める。二日後、尾張藩藩主・宗勝が上様に拝謁する。宗勝の近習として榊原が供をすることを知った。
つたは青山の供養代が欲しくて義十の隠し金を探した。下働きの婆・ときが見付けていた。つたを助けに飛び込んだ喬四郎はときを殺した。ときは土居下衆の隠居だった。喬四郎は金・二十五両の他に金の閻魔像を見付けた。つたは二十五両を持って行く。
喬四郎は四阿で成瀬の企みを報告する。土居下衆の頭の庭番成敗を命じられる。吉宗は宗勝に泰平の世を乱そうとの企て喜ぶ者などいないと言い渡す。喬四郎は一人別行動の榊原を御座之間の天井裏で殺した。
喬四郎は初めて門をくぐり式台から帰った。
土居下衆 榊原は土居下衆の頭だった。隠れ家・端久寺に来た青山右近は榊原に斬られる。喬四郎は助けるが右近はつたに看取られ亡くなる。尾張が江戸を荒し公儀の威光を貶め、吉宗を将軍の座から引き摺り降ろすために企んだことを突止めた。
庭番成敗 喬四郎は、つけて来た黒崎蔵人をつけ、尾張藩中屋敷で榊原が家老・成瀬隼人正と繋がっていることを突止める。二日後、尾張藩藩主・宗勝が上様に拝謁する。宗勝の近習として榊原が供をすることを知った。
つたは青山の供養代が欲しくて義十の隠し金を探した。下働きの婆・ときが見付けていた。つたを助けに飛び込んだ喬四郎はときを殺した。ときは土居下衆の隠居だった。喬四郎は金・二十五両の他に金の閻魔像を見付けた。つたは二十五両を持って行く。
喬四郎は四阿で成瀬の企みを報告する。土居下衆の頭の庭番成敗を命じられる。吉宗は宗勝に泰平の世を乱そうとの企て喜ぶ者などいないと言い渡す。喬四郎は一人別行動の榊原を御座之間の天井裏で殺した。
喬四郎は初めて門をくぐり式台から帰った。
2018年2月18日日曜日
摺師安次郎人情暦② 父子ゆえ
摺師安次郎人情暦② 父子ゆえ 梶よう子
あとずり 安次郎の兄弟子・伊蔵は色が違って見えるようになったため渡摺師になっていた。脅され有英堂を陥れるために利用されようとしていた。安次郎たちに助けを求めるために後摺を請け居場所を知らせる。伊蔵の息子・喜八を摺長で小僧として預かることになる。
色落ち 安次郎が生きていることを知っても兄の後を継いで兄の子・安次郎を死んだものとして無視した叔父と連絡は絶えていた。安次郎の幼馴染み・大橋新吾郎の御膳立てで花見を予定されたが安次郎は行けなかった。叔父は跡取りに安次郎の息子・信太を養子にしようと思っているにかもしれない。
摺長に渡摺師・新吉がきた。新吉は軽口美味い。渡摺師でうまくやるための手なのだが、女に手が早い等と言われてしまう。摺長の主・長五郎の娘・ちかと幼馴染みの彫師・彫源の娘・徳が許嫁がいるにも関わらず、他の男の子を身籠もり行方知れずになっていた。彫源を束ねている権蔵に主・源次が押し切られ徳と権蔵の縁組みが決まった。徳は嫌がって、身籠もっているいることを告げ、祝言を反古にしたいと言っていた。権蔵は婿入り駄目になり怒っている。前に彫源に出入していた新吉に違いないと新吉は襤褸布のようにされた。新吉は権蔵が徳を諦め、彫源を出て行くなら許すということで権蔵はお咎めなしになった。新吉のために徳は出てきた。相手は版木の板屋の息子だった。新吉は足りないものを数えるより新しいものを見付けると言う。
見当違い 信太が怪我をした。右手の親指の骨を折り、黙って我慢していて熱が出た。初めて骨が折れていることが判ったがどんな風にくっつくか判らない。安次郎は仕事を休み信太と過ごす。
絵師と描かれた役者とが出来上がった錦絵を見て喧嘩になった。役者は出来上がった錦絵に文句を付ける。絵師は彫師と摺師が言う通にしていないと文句を言う。国貞師匠が絵を描き伊之助26才が彫り、安次郎が摺ることになった。伊之助と安次郎はわざと見当をずらし、見当違いな絵を仕上げた。同じ絵の版ずれがないものも仕上げている。国貞は役者も絵師も彫る者も摺る者も揃わなければ錦の絵にならないと言う。
責任を取るのは親だと、安次郎は信太を長屋に連れ帰った。信太は彫師になりたいらしい。伊之助にも話しをしておく。
独楽回し 信太の右手の親指は元通りにはつながらず、内側に曲がったままになった。近所の子どもたちと遊ばなくなった。
大橋新吾郎の妹・友恵は離縁され、家に帰ってから・新吾郎の妻・きくと争いになり実家を出て、直助と同じ長屋に住み、子どもたちに読み書きを教えながら生計を立てている。信太そ時々預ける。友恵には縁談があるようだ。家からも迎えが来る。
信太は伊之助が左効きなのを知った。彫師になりたいのでお願いしますと言う。伊之助の仕事場を見に行った時、信太は伊之助に独楽回しを左手でするところを見せて欲しいと頼む。数日で回せるようになった。信太は長屋の子供たちに見せた。
友恵が縁談を断りたい。今の暮らしを続け、大橋家と縁を切ってもいいと思っている。兄に安次郎から伝えて欲しいと言ってきた。
安次郎はおまんまの安という。弟子の直吉はこまんまの直、通り名だ。
ちょっと格の違う摺り物を扱うという摺惣の若旦那・清八が父親・惣右衛門と、摺の試合をしようと言ってきた。安次郎は断る。仕事は旗本の孫の五才の祝いの摺り物だった。友恵の縁談相手の家のようだ。
腕比べ 絵師は広重師匠、彫りは伊之助、その日に初めて絵を見て色を摺る。腕比べを摺ることにした。注文主の旗本がどちらを使うか決める。安次郎は新吉と直助と三人で組む。
客が入り見せ物になった。絵は鯉の滝登りだった。版元と旗本ははなから清八の勝ちとしていた。広重は安次郎に滝の厚みをどうやって出したかを尋ねる。安次郎は両面摺りをして奥深い滝を描いていた。安次郎が勝った。
友恵は下々の者と交わるような女子は大橋家にはふさわしくないと兄に勘当されたと言ってきた。新吾郎は友恵にとって一番良い選択をしたのだと安次郎は思った。義姉上と話し義姉上も友恵の身を案じてくれていたことが分かった。安次郎は信太の母親でなく、ともに歩んでくれる女が傍にいたら・・・と友恵に言う。
あとずり 安次郎の兄弟子・伊蔵は色が違って見えるようになったため渡摺師になっていた。脅され有英堂を陥れるために利用されようとしていた。安次郎たちに助けを求めるために後摺を請け居場所を知らせる。伊蔵の息子・喜八を摺長で小僧として預かることになる。
色落ち 安次郎が生きていることを知っても兄の後を継いで兄の子・安次郎を死んだものとして無視した叔父と連絡は絶えていた。安次郎の幼馴染み・大橋新吾郎の御膳立てで花見を予定されたが安次郎は行けなかった。叔父は跡取りに安次郎の息子・信太を養子にしようと思っているにかもしれない。
摺長に渡摺師・新吉がきた。新吉は軽口美味い。渡摺師でうまくやるための手なのだが、女に手が早い等と言われてしまう。摺長の主・長五郎の娘・ちかと幼馴染みの彫師・彫源の娘・徳が許嫁がいるにも関わらず、他の男の子を身籠もり行方知れずになっていた。彫源を束ねている権蔵に主・源次が押し切られ徳と権蔵の縁組みが決まった。徳は嫌がって、身籠もっているいることを告げ、祝言を反古にしたいと言っていた。権蔵は婿入り駄目になり怒っている。前に彫源に出入していた新吉に違いないと新吉は襤褸布のようにされた。新吉は権蔵が徳を諦め、彫源を出て行くなら許すということで権蔵はお咎めなしになった。新吉のために徳は出てきた。相手は版木の板屋の息子だった。新吉は足りないものを数えるより新しいものを見付けると言う。
見当違い 信太が怪我をした。右手の親指の骨を折り、黙って我慢していて熱が出た。初めて骨が折れていることが判ったがどんな風にくっつくか判らない。安次郎は仕事を休み信太と過ごす。
絵師と描かれた役者とが出来上がった錦絵を見て喧嘩になった。役者は出来上がった錦絵に文句を付ける。絵師は彫師と摺師が言う通にしていないと文句を言う。国貞師匠が絵を描き伊之助26才が彫り、安次郎が摺ることになった。伊之助と安次郎はわざと見当をずらし、見当違いな絵を仕上げた。同じ絵の版ずれがないものも仕上げている。国貞は役者も絵師も彫る者も摺る者も揃わなければ錦の絵にならないと言う。
責任を取るのは親だと、安次郎は信太を長屋に連れ帰った。信太は彫師になりたいらしい。伊之助にも話しをしておく。
独楽回し 信太の右手の親指は元通りにはつながらず、内側に曲がったままになった。近所の子どもたちと遊ばなくなった。
大橋新吾郎の妹・友恵は離縁され、家に帰ってから・新吾郎の妻・きくと争いになり実家を出て、直助と同じ長屋に住み、子どもたちに読み書きを教えながら生計を立てている。信太そ時々預ける。友恵には縁談があるようだ。家からも迎えが来る。
信太は伊之助が左効きなのを知った。彫師になりたいのでお願いしますと言う。伊之助の仕事場を見に行った時、信太は伊之助に独楽回しを左手でするところを見せて欲しいと頼む。数日で回せるようになった。信太は長屋の子供たちに見せた。
友恵が縁談を断りたい。今の暮らしを続け、大橋家と縁を切ってもいいと思っている。兄に安次郎から伝えて欲しいと言ってきた。
安次郎はおまんまの安という。弟子の直吉はこまんまの直、通り名だ。
ちょっと格の違う摺り物を扱うという摺惣の若旦那・清八が父親・惣右衛門と、摺の試合をしようと言ってきた。安次郎は断る。仕事は旗本の孫の五才の祝いの摺り物だった。友恵の縁談相手の家のようだ。
腕比べ 絵師は広重師匠、彫りは伊之助、その日に初めて絵を見て色を摺る。腕比べを摺ることにした。注文主の旗本がどちらを使うか決める。安次郎は新吉と直助と三人で組む。
客が入り見せ物になった。絵は鯉の滝登りだった。版元と旗本ははなから清八の勝ちとしていた。広重は安次郎に滝の厚みをどうやって出したかを尋ねる。安次郎は両面摺りをして奥深い滝を描いていた。安次郎が勝った。
友恵は下々の者と交わるような女子は大橋家にはふさわしくないと兄に勘当されたと言ってきた。新吾郎は友恵にとって一番良い選択をしたのだと安次郎は思った。義姉上と話し義姉上も友恵の身を案じてくれていたことが分かった。安次郎は信太の母親でなく、ともに歩んでくれる女が傍にいたら・・・と友恵に言う。
2018年2月17日土曜日
風烈廻り与力・青柳剣一郎㊵
風烈廻り与力・青柳剣一郎㊵ 夜叉の涙 小杉健治
青柳剣一郎の機転のために、木綿問屋戸倉屋の床下に潜む引き込みが見付かり、残忍な押し込みを働く「鬼夜叉」一味の犯行が阻止された。
他の店を見張る火盗改に対して、戸倉屋をもう一度狙うだろうと考える剣一郎は注意を怠らない。
勘当寸前の戸倉屋の長男・浪太郎は鬼夜叉に取り込まれようとしていた。浪太郎に戸倉屋の引き込みをさせようとした。浪太郎を助けようとした鬼夜叉に育てられたつやと剣一郎の助けをしている太助の繋ぎのお陰で戸倉屋に押込む前に集まった隠れ家で鬼夜叉を捕まえた。浪太郎はつやと戸倉屋に帰った。
剣一郎の妻・多恵の実家・西の丸御納戸役湯浅家の当主・多恵の弟・高四郎が病気の為他界した。剣一郎と多恵を結びつけた高四郎だった。高四郎は死ぬ前に剣一郎の助けをしていた異腹の文七を屋敷にいれ、湯浅家を継ぐように託した。四十九日も終わった。
青柳剣一郎の機転のために、木綿問屋戸倉屋の床下に潜む引き込みが見付かり、残忍な押し込みを働く「鬼夜叉」一味の犯行が阻止された。
他の店を見張る火盗改に対して、戸倉屋をもう一度狙うだろうと考える剣一郎は注意を怠らない。
勘当寸前の戸倉屋の長男・浪太郎は鬼夜叉に取り込まれようとしていた。浪太郎に戸倉屋の引き込みをさせようとした。浪太郎を助けようとした鬼夜叉に育てられたつやと剣一郎の助けをしている太助の繋ぎのお陰で戸倉屋に押込む前に集まった隠れ家で鬼夜叉を捕まえた。浪太郎はつやと戸倉屋に帰った。
剣一郎の妻・多恵の実家・西の丸御納戸役湯浅家の当主・多恵の弟・高四郎が病気の為他界した。剣一郎と多恵を結びつけた高四郎だった。高四郎は死ぬ前に剣一郎の助けをしていた異腹の文七を屋敷にいれ、湯浅家を継ぐように託した。四十九日も終わった。
2018年2月16日金曜日
舟を編む
舟を編む 三浦しをん
玄武書房に勤める変人扱いされている馬締光也は、辞書編集部に迎えられる。元大学教授国語学者・松本と定年間近な荒木、社員の西岡、契約社員の佐々木とで辞書「大渡海」を編纂しようとしていた。社員・西岡が宣伝部に移動させられる。西岡は移動するに当たって馬締の苦手な外交のための手引書を作る。後に来る人に見せるために、馬締のラブレターを隠していたりする。
十三年後。荒木は退職し、嘱託として顔を出す。馬締はラブレターの相手、下宿のおばさんの孫娘・香具矢と結婚していた。香具矢は自分の店で板前をしている。新しく若い女子社員・岸辺も参加する。
松本は辞書が出来上がるのを見ずに亡くなる。三ヶ月後辞書は完成する。
玄武書房に勤める変人扱いされている馬締光也は、辞書編集部に迎えられる。元大学教授国語学者・松本と定年間近な荒木、社員の西岡、契約社員の佐々木とで辞書「大渡海」を編纂しようとしていた。社員・西岡が宣伝部に移動させられる。西岡は移動するに当たって馬締の苦手な外交のための手引書を作る。後に来る人に見せるために、馬締のラブレターを隠していたりする。
十三年後。荒木は退職し、嘱託として顔を出す。馬締はラブレターの相手、下宿のおばさんの孫娘・香具矢と結婚していた。香具矢は自分の店で板前をしている。新しく若い女子社員・岸辺も参加する。
松本は辞書が出来上がるのを見ずに亡くなる。三ヶ月後辞書は完成する。
2018年2月15日木曜日
あやかし恋手紙
あやかし恋手紙 不思議な社務所の代筆屋さん 蒼井紬希
小林碧梨は亡くなった祖母の手紙に釣られて、古い社務所にたどり着く。
そこには、威張った琥珀という青年とポン吉と呼ばれる紫苑という少年がいた。琥珀は妖狐で紫苑は狸だった。碧梨には見えた。社務所に住み、祖母が始めたあやかしと人間を繋ぐ代筆屋を手伝うことになった。
一緒に駆け落ちしようとした相手が来ず、自殺した紅緋は成仏せずあやかしになっていた。相手の男・木崎一郎が現れた。紅緋の手紙を木崎に会いに行き手渡す。木崎は紅緋に送った櫛を返され「私のことは忘れて欲しい」と言う伝言を聞かされていた。木崎は櫛を碧梨に預ける。
古い神社の白蛇が神木に語りかける少女・美琴と少女が好きな少年・一樹とを結ぶ。美琴は九州に引っ越すことになった。昔埋めたタイムカプセルを見付ける。
温泉宿の若女将からの依頼があった。誰かが女将を助けてくれる。その誰かに御礼を言いたいということだった。三十年前、雪女・由紀乃は遭難仕掛けた男を助けた。男は神の仕業と思ったのか礼を言った。雨を雪に変えかまくらを作り一晩見守った。度々男は来た。男は来なくなった。会いに行った。男は結婚していた。由紀乃は荒れ狂い猛吹雪が続いた。春になっても止まない雪のために夫婦は山の神に願いをきいてもらうために山に行き、遭難した。残された赤ちゃんが今女将になっている香織だった。自分のせいで亡くなったと思った由紀乃は香織を見守った。全てを知った香織は結婚式で名前も知らない見守ってくれたあなたへと手紙を読んだ。聞いていた由紀乃は香織に、あたのの幸せを・・・誰よりも願っています。 由紀乃 手紙を託した。
古い取り壊されることになったアイススケート場のシンボル女神の像・撫子。撫子と名付けてくれた朝霧柊哉に手紙を渡したい。取り壊される前に柊哉が来た。最後に柊哉が滑る。
琥珀は暴れ人を傷つけたため罰として人間の中にいた。許されここにいなくてもいいのだが、社務所にいることにした。碧梨は琥珀といることにした。
小林碧梨は亡くなった祖母の手紙に釣られて、古い社務所にたどり着く。
そこには、威張った琥珀という青年とポン吉と呼ばれる紫苑という少年がいた。琥珀は妖狐で紫苑は狸だった。碧梨には見えた。社務所に住み、祖母が始めたあやかしと人間を繋ぐ代筆屋を手伝うことになった。
一緒に駆け落ちしようとした相手が来ず、自殺した紅緋は成仏せずあやかしになっていた。相手の男・木崎一郎が現れた。紅緋の手紙を木崎に会いに行き手渡す。木崎は紅緋に送った櫛を返され「私のことは忘れて欲しい」と言う伝言を聞かされていた。木崎は櫛を碧梨に預ける。
古い神社の白蛇が神木に語りかける少女・美琴と少女が好きな少年・一樹とを結ぶ。美琴は九州に引っ越すことになった。昔埋めたタイムカプセルを見付ける。
温泉宿の若女将からの依頼があった。誰かが女将を助けてくれる。その誰かに御礼を言いたいということだった。三十年前、雪女・由紀乃は遭難仕掛けた男を助けた。男は神の仕業と思ったのか礼を言った。雨を雪に変えかまくらを作り一晩見守った。度々男は来た。男は来なくなった。会いに行った。男は結婚していた。由紀乃は荒れ狂い猛吹雪が続いた。春になっても止まない雪のために夫婦は山の神に願いをきいてもらうために山に行き、遭難した。残された赤ちゃんが今女将になっている香織だった。自分のせいで亡くなったと思った由紀乃は香織を見守った。全てを知った香織は結婚式で名前も知らない見守ってくれたあなたへと手紙を読んだ。聞いていた由紀乃は香織に、あたのの幸せを・・・誰よりも願っています。 由紀乃 手紙を託した。
古い取り壊されることになったアイススケート場のシンボル女神の像・撫子。撫子と名付けてくれた朝霧柊哉に手紙を渡したい。取り壊される前に柊哉が来た。最後に柊哉が滑る。
琥珀は暴れ人を傷つけたため罰として人間の中にいた。許されここにいなくてもいいのだが、社務所にいることにした。碧梨は琥珀といることにした。
2018年2月14日水曜日
拵屋銀次郎半畳記〈三〉 俠客
拵屋銀次郎半畳記〈三〉 俠客 門田泰明
銀次郎は床滑七四郎の下、老中、若年寄が集まり大坂に親幕府創設が秘かに準備されていることを、銀次郎の道場仲間・松平辰三郎を救い出すという密命と共に、松平報徳会の越前福井藩の密使によって知らされる。
松平辰三郎の母親は越前松平四代当主・光通の娘だった。
松平辰三郎を救い出した銀次郎は床滑率いる論理正風会が反対勢力に対して粛正に動くことを懸念する。事件の発端になった京野屋の男衆が皆殺しにされ火を付けられ地下金蔵から四万三千両が盗まれた。御用船で大坂に運ばれたようだ。
三人の大目付の総意で、将軍の血を受け継いできた床滑は御手打流宗家という脇役だったが、天下の頂点に立つ者という意識を持った七四郎を、神君家康の永久不滅感状を持つ桜伊銀次郎に討ち果たして欲しいと頼んできた。
銀次郎は妖刀村雨の雄花を持つ床滑七四郎を討ちに、和泉家に伝わる正伝村雨を持って行く。床滑邸では銀次郎の暗殺の命を拒んだため、暗殺団の元締め・近江屋の女主季代が殺されていた。銀次郎は床滑七四郎を討つ。銀次郎も倒れ込んだ。
⓸巻へつづく
銀次郎は床滑七四郎の下、老中、若年寄が集まり大坂に親幕府創設が秘かに準備されていることを、銀次郎の道場仲間・松平辰三郎を救い出すという密命と共に、松平報徳会の越前福井藩の密使によって知らされる。
松平辰三郎の母親は越前松平四代当主・光通の娘だった。
松平辰三郎を救い出した銀次郎は床滑率いる論理正風会が反対勢力に対して粛正に動くことを懸念する。事件の発端になった京野屋の男衆が皆殺しにされ火を付けられ地下金蔵から四万三千両が盗まれた。御用船で大坂に運ばれたようだ。
三人の大目付の総意で、将軍の血を受け継いできた床滑は御手打流宗家という脇役だったが、天下の頂点に立つ者という意識を持った七四郎を、神君家康の永久不滅感状を持つ桜伊銀次郎に討ち果たして欲しいと頼んできた。
銀次郎は妖刀村雨の雄花を持つ床滑七四郎を討ちに、和泉家に伝わる正伝村雨を持って行く。床滑邸では銀次郎の暗殺の命を拒んだため、暗殺団の元締め・近江屋の女主季代が殺されていた。銀次郎は床滑七四郎を討つ。銀次郎も倒れ込んだ。
⓸巻へつづく
2018年2月13日火曜日
特命見廻り西郷隆盛
特命見廻り西郷隆盛 和田はつ子
牛鍋屋異聞 西郷隆盛は川路利良に秘かに事件を調べさせていたが、吉之助の取締組を作る。熊吉に犬の世話係の中から若者を選ばせる。田中作二郎・農民と言っていたが御家人の嫡男・深田真之助だった。府中特別見廻りを名乗る。
六軒の牛鍋屋に五臓六腑が投げ込まれる事件を調べる。一軒だけ人気のある牛鍋屋はま屋への嫌がらせで豚の内蔵放りこんだ。自分たちも被害があったように見せた事件だった。はま屋だけが人気なのは、はま屋が彦根で牛を飼う修行をしたことと、料理に適した牛肉の部分の勉強をしていたからだった。
高級料理店の飲食代を三月分を払わないで一年になる大蔵省の役人。急ぎ注文が聞き入れられなかった鬱憤晴らしに人を使って大暴れさせての器物損壊の貿易商。富裕な商家から強請をした元取締組。元大身旗本家から骨董を買い叩いてただ同然で買っていた振興の骨董屋。西郷の印籠を出して仕事をしてきた。
西郷の印籠 府中にこそ泥がはびこる。
元大奥御中臈になりかけていたことを売にし、「麗し白百合流礼法塾」を開き嫁入り前の娘に礼儀作法を教えている鳥井美津がいた。被害届けが出ていた。大奥の宝物が飾られている。田中は調べ始めた。西郷に手助けするものを増やすように言われ、幼馴染みの肥沼丸太郎を仲間にした。肥沼は女にもてる。西郷の飼うゴン助は雌だった懐かない犬が肥沼には従った。二人で鳥井塾を見張る。鳥井は御末だった。骨董屋の主の後押しで塾を開き、元大奥御年寄、御中臈、等形見分けを持っている人から借りていた。鳥井に話しを聞き、盗まれた品物等を聞き、隠し階段を見付け、骨董屋と仲間・加代を捕まえる。骨董屋は役人に賄賂を請求され仕方がなくやったという。その役人は田中が高級料理店のツケを払わせた役人だった。罷免された。塾は本物の元御年寄と御客応答だった二人が継いだが人気はなくなったようだ。
鳥井美津の母親が二人名乗り出た。農婦姿の女と小商いの女主風。農婦姿の女が肥桶から菊の根元に肥えを掛ける。女主風は糞尿は何日も置いておかないと下肥にはならない。草木が枯れるという。娘に恥をかかせないため有り金を叩いて装っていた。美津は母に会えた。
人力車夫 吉之助 西郷は人力車を引きながら見廻をすることにした。二人乗りと一人用を用意した。二人乗りを肥沼とゴン助が引き、田中の人力車に西郷が乗っている時に西郷が弓で狙われた。ゴン助が西郷に飛び掛かり、田中が向きを変えたことで西郷は助かった。
腹を抱えて蹲っている女を助けようとしている女医のイネが、自分の医院でゴン助の治療をし、田中と肥沼が運んだ女を治療した。女・美保は流産した後だった。美保が姿を消す。イネは西郷に美保探しを頼んだ。田中は美保の相手を探し、美保を見付けた。美保は御家人の嫁だったが、夫は会津から帰らなかった。妊娠した嫁に、姑は美保の幸せを願った。しかし、美保は御用商人・疋田に騙されていた。見付かった美保は医院で養生した。美保の夫が帰ってきた。記憶喪失になり会津で弓職人の修行をしていた。母と嫁を迎えにきた。姑は美保のことを聞き、一緒に会津へ行こうという。美保は会津に行った。
田中は西郷の襲われた現場を見、手掛かりを探し、元土佐藩士を捕まえる。元土佐藩主都の関係は否定した。
牛鍋屋異聞 西郷隆盛は川路利良に秘かに事件を調べさせていたが、吉之助の取締組を作る。熊吉に犬の世話係の中から若者を選ばせる。田中作二郎・農民と言っていたが御家人の嫡男・深田真之助だった。府中特別見廻りを名乗る。
六軒の牛鍋屋に五臓六腑が投げ込まれる事件を調べる。一軒だけ人気のある牛鍋屋はま屋への嫌がらせで豚の内蔵放りこんだ。自分たちも被害があったように見せた事件だった。はま屋だけが人気なのは、はま屋が彦根で牛を飼う修行をしたことと、料理に適した牛肉の部分の勉強をしていたからだった。
高級料理店の飲食代を三月分を払わないで一年になる大蔵省の役人。急ぎ注文が聞き入れられなかった鬱憤晴らしに人を使って大暴れさせての器物損壊の貿易商。富裕な商家から強請をした元取締組。元大身旗本家から骨董を買い叩いてただ同然で買っていた振興の骨董屋。西郷の印籠を出して仕事をしてきた。
西郷の印籠 府中にこそ泥がはびこる。
元大奥御中臈になりかけていたことを売にし、「麗し白百合流礼法塾」を開き嫁入り前の娘に礼儀作法を教えている鳥井美津がいた。被害届けが出ていた。大奥の宝物が飾られている。田中は調べ始めた。西郷に手助けするものを増やすように言われ、幼馴染みの肥沼丸太郎を仲間にした。肥沼は女にもてる。西郷の飼うゴン助は雌だった懐かない犬が肥沼には従った。二人で鳥井塾を見張る。鳥井は御末だった。骨董屋の主の後押しで塾を開き、元大奥御年寄、御中臈、等形見分けを持っている人から借りていた。鳥井に話しを聞き、盗まれた品物等を聞き、隠し階段を見付け、骨董屋と仲間・加代を捕まえる。骨董屋は役人に賄賂を請求され仕方がなくやったという。その役人は田中が高級料理店のツケを払わせた役人だった。罷免された。塾は本物の元御年寄と御客応答だった二人が継いだが人気はなくなったようだ。
鳥井美津の母親が二人名乗り出た。農婦姿の女と小商いの女主風。農婦姿の女が肥桶から菊の根元に肥えを掛ける。女主風は糞尿は何日も置いておかないと下肥にはならない。草木が枯れるという。娘に恥をかかせないため有り金を叩いて装っていた。美津は母に会えた。
人力車夫 吉之助 西郷は人力車を引きながら見廻をすることにした。二人乗りと一人用を用意した。二人乗りを肥沼とゴン助が引き、田中の人力車に西郷が乗っている時に西郷が弓で狙われた。ゴン助が西郷に飛び掛かり、田中が向きを変えたことで西郷は助かった。
腹を抱えて蹲っている女を助けようとしている女医のイネが、自分の医院でゴン助の治療をし、田中と肥沼が運んだ女を治療した。女・美保は流産した後だった。美保が姿を消す。イネは西郷に美保探しを頼んだ。田中は美保の相手を探し、美保を見付けた。美保は御家人の嫁だったが、夫は会津から帰らなかった。妊娠した嫁に、姑は美保の幸せを願った。しかし、美保は御用商人・疋田に騙されていた。見付かった美保は医院で養生した。美保の夫が帰ってきた。記憶喪失になり会津で弓職人の修行をしていた。母と嫁を迎えにきた。姑は美保のことを聞き、一緒に会津へ行こうという。美保は会津に行った。
田中は西郷の襲われた現場を見、手掛かりを探し、元土佐藩士を捕まえる。元土佐藩主都の関係は否定した。
2018年2月12日月曜日
天帝のみはるかす桜火
天帝のみはるかす桜火 古野まほろ
古野まほろ、実香と出会う 詩律ひびきは勁草館高校一年生、吹奏楽部。ひびきのトランペットを引ったくられる。相談した峰葉実香に穴井戸栄子が古野まほろを紹介する。古野まほろは話しを聞き、犯人の条件を絞り犯人を割り出す。
修野子爵令嬢襲撃事件 修野まりと峰葉実香は警察でテロに巻き込まれる。テロのリーダーは一番に殺されたはずの副所長だった。
猫と栄子とニンジンと 古野まほろの近辺から奥平靖昌がいなくなった。穴井戸栄子の仕業と考えたまほろは栄子の家に行く。危機を感じた栄子は奥平を留守のため猫を預かっている稀音イズミの家に連れていっていた。奥平はニンジン嫌いが直った。
「あとは両替にでも入るしかないか」 愛知県警察部に移動になり愛知に帰ろうとしている二条実房警視正と就学旅行でディズニーランドに行く途中の古野みずきが出会い、一人の男性を見ての論理を展開する。男性は子どもが産まれそうな奥さんを置いて修学旅行の付添をしている男性教師。携帯を忘れ、産院の電話番号を書いたメモも忘れてきた先生がテンパっていた。
少年と少女 修野まりは青い血をした人外、九尾の狐?勁草館高校で出会った者に起こった事件。古野まほろが二年の冬に出会った事件の後のこと。まほろ三年生。もう一人青い血をした者がいる。後輩。・・・・・・。
古野まほろ、実香と出会う 詩律ひびきは勁草館高校一年生、吹奏楽部。ひびきのトランペットを引ったくられる。相談した峰葉実香に穴井戸栄子が古野まほろを紹介する。古野まほろは話しを聞き、犯人の条件を絞り犯人を割り出す。
修野子爵令嬢襲撃事件 修野まりと峰葉実香は警察でテロに巻き込まれる。テロのリーダーは一番に殺されたはずの副所長だった。
猫と栄子とニンジンと 古野まほろの近辺から奥平靖昌がいなくなった。穴井戸栄子の仕業と考えたまほろは栄子の家に行く。危機を感じた栄子は奥平を留守のため猫を預かっている稀音イズミの家に連れていっていた。奥平はニンジン嫌いが直った。
「あとは両替にでも入るしかないか」 愛知県警察部に移動になり愛知に帰ろうとしている二条実房警視正と就学旅行でディズニーランドに行く途中の古野みずきが出会い、一人の男性を見ての論理を展開する。男性は子どもが産まれそうな奥さんを置いて修学旅行の付添をしている男性教師。携帯を忘れ、産院の電話番号を書いたメモも忘れてきた先生がテンパっていた。
少年と少女 修野まりは青い血をした人外、九尾の狐?勁草館高校で出会った者に起こった事件。古野まほろが二年の冬に出会った事件の後のこと。まほろ三年生。もう一人青い血をした者がいる。後輩。・・・・・・。
2018年2月11日日曜日
江戸家老塩屋隼人〈二〉
江戸家老塩屋隼人〈二〉 対決、示現流 牧秀彦
尼崎藩江戸家老・塩屋隼人は農学者・大蔵永常に農政改革の協力を求めるため永常の命を狙っている薩摩藩と対峙する。薩摩藩の隠居・嶋津重豪は砂糖の製造方法を他藩に広めようとする永常を許せなかった。隼人は重豪と剣術を交えて相談し、砂糖の製法を他所に漏らさぬことにして薩摩と尼崎藩に農政改革に力を貸すこととなった。
尼崎藩を憎く思っている老中・土井大炊頭利厚は、十軒問屋を束ねる大坂屋茂十郎に、永常を農具と農法を研究するという名目で各地の諸藩に赴かせ内情を探る隠密にするよう頼む。永常は砂糖の苗と百両を渡され、公儀の御用を務めれば入り用な金子を渡すと言われる。永常は断り、諸国のために働くつもりだと断る。
大坂屋は重豪に反発している薩摩を出された者を集め、重豪も隼人も永常も殺すつもりになった。
重豪の乗る駕籠が奪われた。永常と重豪が斬り結んで死亡したことにするため永常のところに運ばれた重豪は隼人らに助け出された。大坂屋が浪人を匿い逃がそうとしている所を突き止め内藤新宿で討ち取る。
尼崎藩江戸家老・塩屋隼人は農学者・大蔵永常に農政改革の協力を求めるため永常の命を狙っている薩摩藩と対峙する。薩摩藩の隠居・嶋津重豪は砂糖の製造方法を他藩に広めようとする永常を許せなかった。隼人は重豪と剣術を交えて相談し、砂糖の製法を他所に漏らさぬことにして薩摩と尼崎藩に農政改革に力を貸すこととなった。
尼崎藩を憎く思っている老中・土井大炊頭利厚は、十軒問屋を束ねる大坂屋茂十郎に、永常を農具と農法を研究するという名目で各地の諸藩に赴かせ内情を探る隠密にするよう頼む。永常は砂糖の苗と百両を渡され、公儀の御用を務めれば入り用な金子を渡すと言われる。永常は断り、諸国のために働くつもりだと断る。
大坂屋は重豪に反発している薩摩を出された者を集め、重豪も隼人も永常も殺すつもりになった。
重豪の乗る駕籠が奪われた。永常と重豪が斬り結んで死亡したことにするため永常のところに運ばれた重豪は隼人らに助け出された。大坂屋が浪人を匿い逃がそうとしている所を突き止め内藤新宿で討ち取る。
2018年2月10日土曜日
百万石の留守居役〈十〉 忖度
百万石の留守居役〈十〉 忖度 上田秀人
本田政長は、高岡の瑞龍寺で綱紀を襲った富山藩家老・近藤主計は老中・大久保加賀守に唆されたのだと考えている。加賀守は奪われた小田原の領地に帰りたいがために綱吉の機嫌を取りたかった。
瀬能数馬は仮祝言後福井に旅立った。城内で綱紀を襲おうとしたのは福井藩の者だった。福井の藩主から出た命なのか一部の者の仕業なのか見極めに行った。福井に加賀への手出しは危ないと教えたい。誰が加賀を敵視し、誰が反対しているのか見極めるために、軒猿の元締め・佐奈の父・刑部一木と石動庫之介と三人で出かけた。
数馬は母・須磨の実家・藤森家に一泊する。
数馬が福井藩主・松平左近衛権少将綱昌に会うために城に向かっている時に先手組に襲われた。城内でも筆頭組頭・本田大全に襲われる。福井の役目を判っている次席家老・結城外記が現れる。大全は争う様子を見せる。
数馬が訪れる前に、越前大野藩六万石松平若狭守直明の国家老津田修理亮と会っていた。大野藩預かりになっている松平備中守直堅を養子にするようにと言う。
城内での刃傷の現場へやってきた綱昌は、上様が喜ばれるという大全の言葉を聞き、加賀の使者・数馬を殺そうとする大全に付いてしまう。どうにか城からは出た三人は、結城外記の屋敷に逃げ込むことにする。
数馬が窮地に追い込まれたことを知った琴は京の四辻家に挨拶に行くことにする。途中で数馬を助け出そうと考える。政敵の前田孝貞に相談する。綱紀も交え、江戸への連絡、堀田家への連絡、福井への詰問使を送ることを決める。
武田法玄一味、二十四将が加賀藩江戸上屋敷に押し入ろうとする。表門は破られず、脇門から侵入した四郎は佐奈に傷を負わされ、退き鉦を鳴らし撤退する。表門に火を付けようとする者から門を開け死守する。逃げた武田党の頭領法玄は復讐すると言うが四郎は法玄を佐奈の手裏剣で殺した。全滅して名が残ってどうする。我らは闇だ。世間に知られず密かに行う。
綱紀の詰問使が八人、騎乗で金沢を出た。次の日、琴が出発する。瀬能には京の公家を見させるつもりだ。二十年先に江戸家老にする。村井を人持組頭にし、対幕府にし、対江戸の世間を瀬能にする考えだと綱紀は言った。己一人腹を切ってすむなど認めない。自己を犠牲にしてことを収めるようなまねをするな。と釘を刺した。
本田政長は、高岡の瑞龍寺で綱紀を襲った富山藩家老・近藤主計は老中・大久保加賀守に唆されたのだと考えている。加賀守は奪われた小田原の領地に帰りたいがために綱吉の機嫌を取りたかった。
瀬能数馬は仮祝言後福井に旅立った。城内で綱紀を襲おうとしたのは福井藩の者だった。福井の藩主から出た命なのか一部の者の仕業なのか見極めに行った。福井に加賀への手出しは危ないと教えたい。誰が加賀を敵視し、誰が反対しているのか見極めるために、軒猿の元締め・佐奈の父・刑部一木と石動庫之介と三人で出かけた。
数馬は母・須磨の実家・藤森家に一泊する。
数馬が福井藩主・松平左近衛権少将綱昌に会うために城に向かっている時に先手組に襲われた。城内でも筆頭組頭・本田大全に襲われる。福井の役目を判っている次席家老・結城外記が現れる。大全は争う様子を見せる。
数馬が訪れる前に、越前大野藩六万石松平若狭守直明の国家老津田修理亮と会っていた。大野藩預かりになっている松平備中守直堅を養子にするようにと言う。
城内での刃傷の現場へやってきた綱昌は、上様が喜ばれるという大全の言葉を聞き、加賀の使者・数馬を殺そうとする大全に付いてしまう。どうにか城からは出た三人は、結城外記の屋敷に逃げ込むことにする。
数馬が窮地に追い込まれたことを知った琴は京の四辻家に挨拶に行くことにする。途中で数馬を助け出そうと考える。政敵の前田孝貞に相談する。綱紀も交え、江戸への連絡、堀田家への連絡、福井への詰問使を送ることを決める。
武田法玄一味、二十四将が加賀藩江戸上屋敷に押し入ろうとする。表門は破られず、脇門から侵入した四郎は佐奈に傷を負わされ、退き鉦を鳴らし撤退する。表門に火を付けようとする者から門を開け死守する。逃げた武田党の頭領法玄は復讐すると言うが四郎は法玄を佐奈の手裏剣で殺した。全滅して名が残ってどうする。我らは闇だ。世間に知られず密かに行う。
綱紀の詰問使が八人、騎乗で金沢を出た。次の日、琴が出発する。瀬能には京の公家を見させるつもりだ。二十年先に江戸家老にする。村井を人持組頭にし、対幕府にし、対江戸の世間を瀬能にする考えだと綱紀は言った。己一人腹を切ってすむなど認めない。自己を犠牲にしてことを収めるようなまねをするな。と釘を刺した。
2018年2月9日金曜日
無茶の勘兵衛日月録18 風花の露
無茶の勘兵衛日月録18 風花の露 浅黄斑
待ちました。
延宝六年 1678年 四月 越前大野藩藩主・松平但馬守直良75才鎌倉安楽院にて亡くなる。
直明襲封の許しが出た。
日高四郎右衛門信義 姫路に生まれる。二十三才で大阪蔵屋敷留守居役。政朝死去後、竜野城主・本田政勝26才を番代にして十九万石大和郡山へ、日高は大阪勤番になる。
混乱に乗じて秘密の掛屋口座を開き着服。ひろを妾宅に、小夜が生まれ五年後次女、かよが生まれる。1653年、二十五年前横領の罪で目付けに捕縛される。勘定吟味役・清瀬平蔵の吟味を受けた。御家改易お役御免。都築家老に命を助けられ家臣になった。現在側用人
大和郡山は政朝の長男・政長と政勝の息子・政利に分けられている。
十九年後 日高は大阪へ会いに行く。ひろは死亡していた。小夜は江戸で和田平を開き、かよは大阪で鶉寿司を開けるようにした。小夜が勘兵衛の子を身ごもり江戸から消えた。三年前大阪で勘兵衛の子を産んでいた。小夜が清水の茶屋を始めるようにした。江戸の和田平はかよが継いだ。
待ちました。
延宝六年 1678年 四月 越前大野藩藩主・松平但馬守直良75才鎌倉安楽院にて亡くなる。
直明襲封の許しが出た。
日高四郎右衛門信義 姫路に生まれる。二十三才で大阪蔵屋敷留守居役。政朝死去後、竜野城主・本田政勝26才を番代にして十九万石大和郡山へ、日高は大阪勤番になる。
混乱に乗じて秘密の掛屋口座を開き着服。ひろを妾宅に、小夜が生まれ五年後次女、かよが生まれる。1653年、二十五年前横領の罪で目付けに捕縛される。勘定吟味役・清瀬平蔵の吟味を受けた。御家改易お役御免。都築家老に命を助けられ家臣になった。現在側用人
大和郡山は政朝の長男・政長と政勝の息子・政利に分けられている。
十九年後 日高は大阪へ会いに行く。ひろは死亡していた。小夜は江戸で和田平を開き、かよは大阪で鶉寿司を開けるようにした。小夜が勘兵衛の子を身ごもり江戸から消えた。三年前大阪で勘兵衛の子を産んでいた。小夜が清水の茶屋を始めるようにした。江戸の和田平はかよが継いだ。
2018年2月8日木曜日
出世侍〈五〉 雨垂れ石を穿つ
出世侍〈五〉 雨垂れ石を穿つ 完 千野隆司
藤吉は、八月に将軍御目見の家禄二百五十俵の旗本・香坂家に婿入りし、十月から新御番衆として江戸城へ出仕した。
家斉の増上寺参拝の帰路に、二頭の暴れ馬が将軍の駕籠に近付いた。駕籠を止められない。一頭は数人で斬り殺し、一頭は藤吉が一矢で仕留めた。馬を放った者を捕まえる探索からは外れたが、同僚の瀬尾と南町奉行所与力・平田と市次と共に探索をする。
馬を隠していたところ、馬を買い付けた者を探しだし、証人も見付け、新御番頭・安西に届ける。御書院番組頭・三枝重大の家来だった。家来は三枝の関与を否定し、三枝も家来が勝手にしたことと関与を認めなかった。家斉の直々のお褒めの言葉を賜る。
旧主の御鉄砲箪笥奉行の永穂忠左衛門から友人の富士見御宝蔵番頭・布施直左衛門を調べるよう頼まれる。この頃贅沢になっている。富士見御宝蔵番士・下島も贅沢をしているようだ。二人で組み修理品を運び出す時に別の物も持ち出し、贋物を作り蔵に戻していた。仏像を作り終わる日を待ち、踏み込み、贋物と本物の両方を押さえる。平田は古物商・初雁屋四郎兵衛と職人を取り押さえる。布施と下島は捕まった。
十二月、藤吉は空いた富士見御宝蔵番頭役高四百石に就いた。
藤吉の探していた妹・うらは太物商和田屋の養女になっていた。和田屋の借金のために売られようとしていた。和田屋の息子が博打場に通っていることを知った平田は、息子の奉公先に知らせるか、うらの離縁状を書くかと迫り、離縁状を貰った。うらは香坂家の養女になった。
小笠原家用人の三男・天谷17才を香坂家用人にするため雇う。
藤吉は徒士衆三人が浪人と押し込みをしようとしていることを知る。小笠原将監の弟で加藤家千石に養子に入っている御徒士頭・加藤元真に連絡する。押し入る商家、日を突き止め徒士と平田と協力し、押し入る寸前に捕らえる。
将監と元真の父の兄、西の丸御書院御番頭・板垣甲斐守康信の長男が亡くなり、跡取りがいなくなった。康信は藤吉に好感を持っていた。加藤元真の仲立ちで将監の娘・千寿と夫婦養子の話しがきた。藤吉は千寿に夫婦になりませぬかと問いかけ、宜しくお願いいたしますの返事を貰う。
端午の節句、富士見御宝蔵番頭の身分で将軍から、香坂藤吉、板垣家に入るそうじゃな。励めよとお言葉を賜る。
藤吉は、八月に将軍御目見の家禄二百五十俵の旗本・香坂家に婿入りし、十月から新御番衆として江戸城へ出仕した。
家斉の増上寺参拝の帰路に、二頭の暴れ馬が将軍の駕籠に近付いた。駕籠を止められない。一頭は数人で斬り殺し、一頭は藤吉が一矢で仕留めた。馬を放った者を捕まえる探索からは外れたが、同僚の瀬尾と南町奉行所与力・平田と市次と共に探索をする。
馬を隠していたところ、馬を買い付けた者を探しだし、証人も見付け、新御番頭・安西に届ける。御書院番組頭・三枝重大の家来だった。家来は三枝の関与を否定し、三枝も家来が勝手にしたことと関与を認めなかった。家斉の直々のお褒めの言葉を賜る。
旧主の御鉄砲箪笥奉行の永穂忠左衛門から友人の富士見御宝蔵番頭・布施直左衛門を調べるよう頼まれる。この頃贅沢になっている。富士見御宝蔵番士・下島も贅沢をしているようだ。二人で組み修理品を運び出す時に別の物も持ち出し、贋物を作り蔵に戻していた。仏像を作り終わる日を待ち、踏み込み、贋物と本物の両方を押さえる。平田は古物商・初雁屋四郎兵衛と職人を取り押さえる。布施と下島は捕まった。
十二月、藤吉は空いた富士見御宝蔵番頭役高四百石に就いた。
藤吉の探していた妹・うらは太物商和田屋の養女になっていた。和田屋の借金のために売られようとしていた。和田屋の息子が博打場に通っていることを知った平田は、息子の奉公先に知らせるか、うらの離縁状を書くかと迫り、離縁状を貰った。うらは香坂家の養女になった。
小笠原家用人の三男・天谷17才を香坂家用人にするため雇う。
藤吉は徒士衆三人が浪人と押し込みをしようとしていることを知る。小笠原将監の弟で加藤家千石に養子に入っている御徒士頭・加藤元真に連絡する。押し入る商家、日を突き止め徒士と平田と協力し、押し入る寸前に捕らえる。
将監と元真の父の兄、西の丸御書院御番頭・板垣甲斐守康信の長男が亡くなり、跡取りがいなくなった。康信は藤吉に好感を持っていた。加藤元真の仲立ちで将監の娘・千寿と夫婦養子の話しがきた。藤吉は千寿に夫婦になりませぬかと問いかけ、宜しくお願いいたしますの返事を貰う。
端午の節句、富士見御宝蔵番頭の身分で将軍から、香坂藤吉、板垣家に入るそうじゃな。励めよとお言葉を賜る。
2018年2月7日水曜日
料理人季蔵捕物控㉞ 南蛮菓子
料理人季蔵捕物控 南蛮菓子 和田はつ子
今年の師走飯は鰯の照り焼き汁かけ飯になった。
春菊尽くしと続く。
豪助の兄貴分・尚吉が江戸に戻り鰯を安く仕入れることが出来、鰯尽くしができた。
十年前、一番の網元だった孫右衛門が抜荷の罪で捕まり処刑されていた。尚吉は孫右衛門の言いつけで十年大阪で漁法の修行した。江戸に帰り、孫右衛門の濡れ衣をはらそうとしていた。今の網元・史郎右衛門の動向を探っていた。
尚吉の許嫁だった理恵・孫右衛門の、娘が殺される。理恵の前にも二人が同じように切り傷だらけで殺されていた。き玖も狙われた。豪助の女房・しんが狙われた。
寒鰆尽くし、尚吉が持ってきた密漁の寒鰆で。
尚吉が、金の仏像の中に孫右衛門を陥れた抜荷の財宝を隠していることを掴み、暴き出す。史郎右衛門が捕まる。
史郎右衛門の後ろで糸を引いていた者がいそうだが判らなかった。
季蔵の許嫁だった瑠璃が連れ去られる。臘梅の木を頼りに鷲尾家の近所の臘梅の林に行く。平屋に瑠璃は捕まっていた。瑠璃の病気の元になった鷲尾影守の双子の妹・幸乃が犯人だった。京の公家の養女になった幸乃は江戸に帰り、江戸の影の元締め・虎翁に育てられていた。虎翁の変わりを務めていた。十年前の孫右衛門の事件も幸乃が黒幕だった。幸乃は飴屋をしていた。薬飴が評判だった。
幸乃は少女の時に見た堀田季之助に心を奪われ、季之助の廻にいる女を殺していた。瑠璃を助け出す。幸乃は家に火を付け焼け死ぬ。
今年の師走飯は鰯の照り焼き汁かけ飯になった。
春菊尽くしと続く。
豪助の兄貴分・尚吉が江戸に戻り鰯を安く仕入れることが出来、鰯尽くしができた。
十年前、一番の網元だった孫右衛門が抜荷の罪で捕まり処刑されていた。尚吉は孫右衛門の言いつけで十年大阪で漁法の修行した。江戸に帰り、孫右衛門の濡れ衣をはらそうとしていた。今の網元・史郎右衛門の動向を探っていた。
尚吉の許嫁だった理恵・孫右衛門の、娘が殺される。理恵の前にも二人が同じように切り傷だらけで殺されていた。き玖も狙われた。豪助の女房・しんが狙われた。
寒鰆尽くし、尚吉が持ってきた密漁の寒鰆で。
尚吉が、金の仏像の中に孫右衛門を陥れた抜荷の財宝を隠していることを掴み、暴き出す。史郎右衛門が捕まる。
史郎右衛門の後ろで糸を引いていた者がいそうだが判らなかった。
季蔵の許嫁だった瑠璃が連れ去られる。臘梅の木を頼りに鷲尾家の近所の臘梅の林に行く。平屋に瑠璃は捕まっていた。瑠璃の病気の元になった鷲尾影守の双子の妹・幸乃が犯人だった。京の公家の養女になった幸乃は江戸に帰り、江戸の影の元締め・虎翁に育てられていた。虎翁の変わりを務めていた。十年前の孫右衛門の事件も幸乃が黒幕だった。幸乃は飴屋をしていた。薬飴が評判だった。
幸乃は少女の時に見た堀田季之助に心を奪われ、季之助の廻にいる女を殺していた。瑠璃を助け出す。幸乃は家に火を付け焼け死ぬ。
2018年2月6日火曜日
若鷹武芸帖
若鷹武芸帖 岡本さとる
文政元年
新宮鷹之介25才は三百俵の直参旗本で小姓組番衆を務めている。剣の師・桃井春蔵直一には武芸を追い求めれば、古今稀に見る名人になるだろうと言われている。本人は出世を望んでいた。
若年寄・京極周防守高備62才・丹後峰山藩一万一千百石の大名に呼び出された。上様のお達しで、近々立ち上げる武芸帖編纂所を鷹之介に任される。武芸帖編纂所頭取という役を拝命する。屋敷の隣の空き地に編纂所を建てる。武芸者・水軒三右衛門が一人付く。編纂所に長屋を併設する。月の用度が十両、五人扶持。事細かに決まっていた。出世の機会が無くなったような気がした。
水軒三右衛門は先代柳生但馬守俊則が目をかけた弟子だった。家斉の剣術指南をしたこともあった。五日も遅れてきた水軒はいい加減なおっさんだった。桃井を貶す三右衛門と一手指南をと剣を構える。三右衛門は強かった。三殿と呼ぶことになった。三右衛門は紋服一揃えと月三両を貰う。
三殿がもう一人雇いたいと言う。円明流の使い手・松岡大八。長屋に住んでいた。誘いを断られる。松岡が世話になっているこうとちよ親子のために、付きまとっている元亭主をやり込め離縁状を書かせた。こうは長屋の卯之助と所帯を持つことが出来た。松岡は長屋を出、鷹之介のところにきた。京極周防守から許可が出た。紋服一揃えと三両が出た。
各藩からの書類が届く。角野流という手裏剣の流派について調べることにする。上様はどんな流派が出てくるか楽しみにしているということだった。
角野流の最後の師範は亡くなっていた。「角野源兵衛より富沢秋之助が相伝を受け、秋之助が死に際し 一女・春に相伝し今にいたる」。
調べている最中に五千石の旗本望月家の良からぬ行いが明るみにで、隠居させられるようだ。家斉は鷹が暴れているようだ。若鷹がどこまで飛び立つか楽しみだと上機嫌だ。
火盗改の与力の助け・儀兵衛と戯作者・中田軍幹が助ける。
武芸帖を編纂するには己が武芸に通じていなければならないと思い鷹之介は、編纂所開きで周防守を始め、番方の旗本たちの前で柳生新陰流、円明流の演舞を披露した。
赤坂丹後坂
文政元年
新宮鷹之介25才は三百俵の直参旗本で小姓組番衆を務めている。剣の師・桃井春蔵直一には武芸を追い求めれば、古今稀に見る名人になるだろうと言われている。本人は出世を望んでいた。
若年寄・京極周防守高備62才・丹後峰山藩一万一千百石の大名に呼び出された。上様のお達しで、近々立ち上げる武芸帖編纂所を鷹之介に任される。武芸帖編纂所頭取という役を拝命する。屋敷の隣の空き地に編纂所を建てる。武芸者・水軒三右衛門が一人付く。編纂所に長屋を併設する。月の用度が十両、五人扶持。事細かに決まっていた。出世の機会が無くなったような気がした。
水軒三右衛門は先代柳生但馬守俊則が目をかけた弟子だった。家斉の剣術指南をしたこともあった。五日も遅れてきた水軒はいい加減なおっさんだった。桃井を貶す三右衛門と一手指南をと剣を構える。三右衛門は強かった。三殿と呼ぶことになった。三右衛門は紋服一揃えと月三両を貰う。
三殿がもう一人雇いたいと言う。円明流の使い手・松岡大八。長屋に住んでいた。誘いを断られる。松岡が世話になっているこうとちよ親子のために、付きまとっている元亭主をやり込め離縁状を書かせた。こうは長屋の卯之助と所帯を持つことが出来た。松岡は長屋を出、鷹之介のところにきた。京極周防守から許可が出た。紋服一揃えと三両が出た。
各藩からの書類が届く。角野流という手裏剣の流派について調べることにする。上様はどんな流派が出てくるか楽しみにしているということだった。
角野流の最後の師範は亡くなっていた。「角野源兵衛より富沢秋之助が相伝を受け、秋之助が死に際し 一女・春に相伝し今にいたる」。
調べている最中に五千石の旗本望月家の良からぬ行いが明るみにで、隠居させられるようだ。家斉は鷹が暴れているようだ。若鷹がどこまで飛び立つか楽しみだと上機嫌だ。
火盗改の与力の助け・儀兵衛と戯作者・中田軍幹が助ける。
武芸帖を編纂するには己が武芸に通じていなければならないと思い鷹之介は、編纂所開きで周防守を始め、番方の旗本たちの前で柳生新陰流、円明流の演舞を披露した。
赤坂丹後坂
2018年2月5日月曜日
鬼役〈二十三〉 寵臣
鬼役〈二十三〉 寵臣 坂岡真
切り札 川越藩は家斉の実子を養子にし、水野忠邦の力も借りて荘内への領地替えが決まった。川越藩が荘内へ移りたいがために武蔵川越藩十五万石を出羽荘内藩十四万石へ、庄内藩を越後長岡藩七万四千石への三方領地替え、水野忠邦の無理押しだった。家斉が亡くなり、養子に入った子も亡くなり、庄内藩の百姓の大反対もあり三方領地替えは無くなった。
矢背蔵人介も証言者を護り、庄内藩の百姓の血判状運びに手を貸す。
無念流水返し 次々に八か所会に属する小役人が殺されていく。三年前に勘定方組頭・湯原誠四郎が不正を見付け、勘定吟味役に上申書を出し殺されたことを知った兄・香月左太夫が殺しに関わった者に復讐していた。逆縁の仇討は許されず闇討ちしていたのだった。
蔵人介は、香月左太夫の奸臣の始末を見届け、大願成就のあと武士として己のやったことへの報いを受けさせるよう密命を受けた。香月左太夫に手を貸し、左太夫に武士を捨てることを奨める。
花一輪 重陽の節句、御小姓頭取・森園が乱心し白刃を振り回した。蔵人介が刀を抜かず取り押さえようとした時、御刀番・長谷川桂馬が白刃を抜いて森園を成敗した。桂馬は切腹した。小姓を束ねる橘右近は長谷川家の存続を家慶に直訴した。橘は無理筋な訴えをしたと、逼塞三十日の沙汰を受けた。蔵人介は森園の乱心は曼荼羅華によるものと判断した。橘を陥れるために仕組まれたものだった。
橘は忠邦に疎んじられるようになっていた。橘に何かを訴えようとしていた勘定吟味役が殺された。森園に薬を渡した医者が殺された。橘も命を狙われる。
勘定奉行・久留島主馬が忠邦んい気に入られたいがため、陰謀を巡らせていた。忠邦は橘の持っているお墨付きを奪いたがった。橘がお墨付きを持っているため誰も手が出せなかった。
橘はお墨付きをもって内桜田御門前で水野忠邦に訴えた。家慶の耳に入るように。久留島の不正、天保小判鋳造の停止、橘の失脚に利用された長谷川家の安堵を訴える。橘は切腹した。蔵人介は介錯した。忠邦は橘のお墨付きを贋物と破り捨てた。
長谷川家は安堵された。小判の鋳造は停止されず、久留島は五千石を加増された。
蔵人介は橘の最後の密命・久留島を暗殺した。
蔵人介は橘亡き後密命を下す者がないはずなのに、御用之間に呼び出される。死を覚悟し行く。壁がひっくり返った部屋に花入れに橘一輪、家慶の筆跡で「季節外れの橘一輪、千紫万紅を償いて余れり」と書かれた色紙があった。隣の楓之間にも人の気配はない。
橘のお墨付き 家康の「何人もかの家を侵すべからず」他家と結ばず、嫁取りをせず、市井から養子を探せ。橘家は策を持って仕えよ。剣を持って仕える家と、間を持って仕える家を配下に置け。間を持って仕えたのは公人朝夕人・土田家。剣で仕えたのは吉良家だった。秋元但馬守喬知の推挙で矢背家になった。八瀬衆と延暦寺の土地争いに決着を付けた秋元は八瀬の長老と取引し、矢背家の者を江戸に入れ将軍家毒味役に就いた。
暗殺時に出くわす、怪しげな寿詞を謡う痩せ男も矢背家と関わりがあるようだ。
切り札 川越藩は家斉の実子を養子にし、水野忠邦の力も借りて荘内への領地替えが決まった。川越藩が荘内へ移りたいがために武蔵川越藩十五万石を出羽荘内藩十四万石へ、庄内藩を越後長岡藩七万四千石への三方領地替え、水野忠邦の無理押しだった。家斉が亡くなり、養子に入った子も亡くなり、庄内藩の百姓の大反対もあり三方領地替えは無くなった。
矢背蔵人介も証言者を護り、庄内藩の百姓の血判状運びに手を貸す。
無念流水返し 次々に八か所会に属する小役人が殺されていく。三年前に勘定方組頭・湯原誠四郎が不正を見付け、勘定吟味役に上申書を出し殺されたことを知った兄・香月左太夫が殺しに関わった者に復讐していた。逆縁の仇討は許されず闇討ちしていたのだった。
蔵人介は、香月左太夫の奸臣の始末を見届け、大願成就のあと武士として己のやったことへの報いを受けさせるよう密命を受けた。香月左太夫に手を貸し、左太夫に武士を捨てることを奨める。
花一輪 重陽の節句、御小姓頭取・森園が乱心し白刃を振り回した。蔵人介が刀を抜かず取り押さえようとした時、御刀番・長谷川桂馬が白刃を抜いて森園を成敗した。桂馬は切腹した。小姓を束ねる橘右近は長谷川家の存続を家慶に直訴した。橘は無理筋な訴えをしたと、逼塞三十日の沙汰を受けた。蔵人介は森園の乱心は曼荼羅華によるものと判断した。橘を陥れるために仕組まれたものだった。
橘は忠邦に疎んじられるようになっていた。橘に何かを訴えようとしていた勘定吟味役が殺された。森園に薬を渡した医者が殺された。橘も命を狙われる。
勘定奉行・久留島主馬が忠邦んい気に入られたいがため、陰謀を巡らせていた。忠邦は橘の持っているお墨付きを奪いたがった。橘がお墨付きを持っているため誰も手が出せなかった。
橘はお墨付きをもって内桜田御門前で水野忠邦に訴えた。家慶の耳に入るように。久留島の不正、天保小判鋳造の停止、橘の失脚に利用された長谷川家の安堵を訴える。橘は切腹した。蔵人介は介錯した。忠邦は橘のお墨付きを贋物と破り捨てた。
長谷川家は安堵された。小判の鋳造は停止されず、久留島は五千石を加増された。
蔵人介は橘の最後の密命・久留島を暗殺した。
蔵人介は橘亡き後密命を下す者がないはずなのに、御用之間に呼び出される。死を覚悟し行く。壁がひっくり返った部屋に花入れに橘一輪、家慶の筆跡で「季節外れの橘一輪、千紫万紅を償いて余れり」と書かれた色紙があった。隣の楓之間にも人の気配はない。
橘のお墨付き 家康の「何人もかの家を侵すべからず」他家と結ばず、嫁取りをせず、市井から養子を探せ。橘家は策を持って仕えよ。剣を持って仕える家と、間を持って仕える家を配下に置け。間を持って仕えたのは公人朝夕人・土田家。剣で仕えたのは吉良家だった。秋元但馬守喬知の推挙で矢背家になった。八瀬衆と延暦寺の土地争いに決着を付けた秋元は八瀬の長老と取引し、矢背家の者を江戸に入れ将軍家毒味役に就いた。
暗殺時に出くわす、怪しげな寿詞を謡う痩せ男も矢背家と関わりがあるようだ。
2018年2月4日日曜日
歌声喫茶「灯」の青春
歌声喫茶「灯」の青春 丸山明日果
母親の古い写真を見付けた。母・里矢は歌声喫茶「灯」の創立時のメンバーだった。
初めて知る母の昔に、歌声喫茶に興味を持ち、関係者に当時のことを聞く。
母親の古い写真を見付けた。母・里矢は歌声喫茶「灯」の創立時のメンバーだった。
初めて知る母の昔に、歌声喫茶に興味を持ち、関係者に当時のことを聞く。
2018年2月3日土曜日
まるまるの毬
まるまるの毬 西條奈加
麹町に南星屋という菓子屋がある。一日二、三品毎日商うものが変わり、昼近くに開き、売り切れれば終わる。日本中の御菓子を作る。
主は治兵衛60才、治兵衛の娘・永33才、永の娘・君16才の三人で商っていた。
治兵衛は五百石の旗本・岡本家の次男・小平治として育った。十才の時、自分が将軍・家斉の子であることを知り、菓子職人に弟子入りした。岡本家は長男が継いだ。三男・五郎は相典寺の大住職・石海となっている。家斉の子ということを知っているのは、岡本家の当主と本人と弟・五郎だけである。菓子屋で十年修行した後、二年の奉公をし、十六年を諸国廻りに費やした。遠江で結婚し、九州で妻を亡くし、八才の永を連れて三年かけて江戸に戻った。永が十一才の時、南星屋を持った。永は左官と所帯を持ったが、別の女と懇ろになったので君を連れて店に戻った。
治兵衛が、肥前平戸藩のお留め菓子を作ったと訴えられ南町奉行所に捕まった。岡本家には、治兵衛が子ども頃、将軍からのおかし(お下賜)が御菓子だった。珍しいものを賜った。その中にカスドースがあり、治兵衛が作った。治兵衛はもう一度作るから同じものか判断して欲しいと申し入れ、同じような菓子を違った物で作り、御留め菓子でなかったことが認められた。
平戸藩の河路金吾が南星屋に出入するようになる。
六年ぶりに君の父親・修蔵が江戸に帰って来ていた。永は時々修蔵のところに行っている。君は父を許せないと言う。六年前、帰って来た修蔵を拒んだのは永だった。許せなかった。永は告白する。
金吾の父親が倒れ、金吾は国許に帰ることになった。金吾は君に一緒に来て欲しいと頼み、君は岡本家で見習い奉公を一年することになった。
岡本家御用達の菓子屋・柑子屋が潰れた。南星屋を憎く思っている主は、岡本家の当主が治兵衛が将軍の子だと言うのを聞き、御上に告げ口をしたようだ。主は治兵衛に、ー上様のご落胤が、腹に一物抱えているとなれば、ただでは済みますまい。ーと言った。
徒士目付け組頭が来る。先の上様のご落胤だと吹聴している。外様大名と良からぬ企てをしていると責められる。
大目付から金吾と君の婚姻を止められた。岡本家当主・慶栄は小普請組に配された。屋敷をでなければならない。慶栄は隠居し、息子・志隆に家督を譲る。石海は相典寺の住職を辞めることになった。治兵衛は自分の所為でみんなが厄介なことになっていたたまれない。
平戸藩の家老から、紀州の殿様が病気で何も食べない。昔、食べた御菓子が食べたいそうだが誰も作れないそうだと言う話しを聞く。治兵衛と五郎は昔食べた御菓子を話しながら思い出す。治兵衛は家老を通じて文旦の砂糖漬けを使うことを伝える。紀州の殿様は家斉の子・治兵衛の弟だった。
紀州家が喜び御礼として岡本家は五百石に復す。元の拝領屋敷に住むことを許された。石海も相典寺と同等の大刹にというはなしを石海は断った。君の縁段は覆せなかった。
治兵衛と君は初めて新しいお菓子・南天月を作った。季節によって中の餡に混ぜるものを変える。君は職人になるつもりのようだ。
柑子屋の主が、私はあんたに詫びるつもりはない。あんたは何一つ無くしていないのだから。と言う。
麹町に南星屋という菓子屋がある。一日二、三品毎日商うものが変わり、昼近くに開き、売り切れれば終わる。日本中の御菓子を作る。
主は治兵衛60才、治兵衛の娘・永33才、永の娘・君16才の三人で商っていた。
治兵衛は五百石の旗本・岡本家の次男・小平治として育った。十才の時、自分が将軍・家斉の子であることを知り、菓子職人に弟子入りした。岡本家は長男が継いだ。三男・五郎は相典寺の大住職・石海となっている。家斉の子ということを知っているのは、岡本家の当主と本人と弟・五郎だけである。菓子屋で十年修行した後、二年の奉公をし、十六年を諸国廻りに費やした。遠江で結婚し、九州で妻を亡くし、八才の永を連れて三年かけて江戸に戻った。永が十一才の時、南星屋を持った。永は左官と所帯を持ったが、別の女と懇ろになったので君を連れて店に戻った。
治兵衛が、肥前平戸藩のお留め菓子を作ったと訴えられ南町奉行所に捕まった。岡本家には、治兵衛が子ども頃、将軍からのおかし(お下賜)が御菓子だった。珍しいものを賜った。その中にカスドースがあり、治兵衛が作った。治兵衛はもう一度作るから同じものか判断して欲しいと申し入れ、同じような菓子を違った物で作り、御留め菓子でなかったことが認められた。
平戸藩の河路金吾が南星屋に出入するようになる。
六年ぶりに君の父親・修蔵が江戸に帰って来ていた。永は時々修蔵のところに行っている。君は父を許せないと言う。六年前、帰って来た修蔵を拒んだのは永だった。許せなかった。永は告白する。
金吾の父親が倒れ、金吾は国許に帰ることになった。金吾は君に一緒に来て欲しいと頼み、君は岡本家で見習い奉公を一年することになった。
岡本家御用達の菓子屋・柑子屋が潰れた。南星屋を憎く思っている主は、岡本家の当主が治兵衛が将軍の子だと言うのを聞き、御上に告げ口をしたようだ。主は治兵衛に、ー上様のご落胤が、腹に一物抱えているとなれば、ただでは済みますまい。ーと言った。
徒士目付け組頭が来る。先の上様のご落胤だと吹聴している。外様大名と良からぬ企てをしていると責められる。
大目付から金吾と君の婚姻を止められた。岡本家当主・慶栄は小普請組に配された。屋敷をでなければならない。慶栄は隠居し、息子・志隆に家督を譲る。石海は相典寺の住職を辞めることになった。治兵衛は自分の所為でみんなが厄介なことになっていたたまれない。
平戸藩の家老から、紀州の殿様が病気で何も食べない。昔、食べた御菓子が食べたいそうだが誰も作れないそうだと言う話しを聞く。治兵衛と五郎は昔食べた御菓子を話しながら思い出す。治兵衛は家老を通じて文旦の砂糖漬けを使うことを伝える。紀州の殿様は家斉の子・治兵衛の弟だった。
紀州家が喜び御礼として岡本家は五百石に復す。元の拝領屋敷に住むことを許された。石海も相典寺と同等の大刹にというはなしを石海は断った。君の縁段は覆せなかった。
治兵衛と君は初めて新しいお菓子・南天月を作った。季節によって中の餡に混ぜるものを変える。君は職人になるつもりのようだ。
柑子屋の主が、私はあんたに詫びるつもりはない。あんたは何一つ無くしていないのだから。と言う。
2018年2月1日木曜日
新聞売りコタツ 横浜特ダネ帖
新聞売りコタツ 横浜特ダネ帖 橘沙羅
明治十六年
藤野辰吉23才 横浜で新聞売をしている。通称コタツ
藤野絹19才 辰吉の妹 五年前に暴れ馬に蹴られ足が不自由。
小見山祐 元旗本の次男、栗毛東海の名で戯作者をしている。
植木屋をだった父親が旗本・小見山家に出入していたので辰吉は幼いころから祐を知っていた。
按摩の亡霊騒ぎで辰吉は新聞記者・富田を知る。六年前に按摩が殺された場所で誰かが按摩笛で合図を送り会っていた。会っていたのは姉弟。弟は按摩を殺し、すぐ西南戦争に出兵した。戦争で亡くなったはずの弟が横浜に帰ってきた。弟が見付かると捕まると思いこっそり会っていた。
絹の友達・咲が働いている家の主・ジェームズが殺された。咲が疑われていた。咲は聖書の一ページが破られている事に気付く。辰吉はカーター商会のカーターがジェームズを殺した事を暴いた。昔の香港での悪仲間だった。輸入した壊れたピアノの中に血の付いた聖書の一ページが入っていた。
競馬場から一頭の暴れ馬が逃げ出した。暴れ馬にされ方が五年前と同じ方法だと気付いた辰吉は、今回の仕掛け人を探す。馬の世話係から麦酒屋の伊左次に行き着く。伊左次は八幡屋に務めていた。絹は八幡屋の主夫妻と一緒の所で暴れ馬の被害に遭っていた。伊左次をたき付けた者がいた。誰だか判らないが、瓦斯局事件に関わりが有る者だとわかった。八幡屋は民権側で訴えた側だった。この期八幡屋は黙ってしまった。伊左次は自分の裁量で世間がひっくり返るのが面白いと、敵にも味方にも変わる感じだったと話す。
瓦斯局事件 豪商・高島嘉右衛門が経営難を理由に瓦斯事業を町会所へ譲った。大蔵省から借金しても経営は火の車。しかし、功労金ということで瓦斯局から高島嘉右衛門に一万三千五百円が流れた。官僚と瓦斯局と一商人の専断を、八幡屋は新聞社と一緒に糾弾しようとした。
新聞配りの丑松が泥棒していることが分かる。丑松の家で妙な手紙を見付ける。輸入商・墨坂屋の若旦那が埋め立て土地大尽・粕谷に送った手紙だった。三井から取った水を横浜まで流し、毛野に貯める。という内容だ。県官水野から若旦那に渡り粕谷に渡った証拠だった。新聞記者・富田が、小見山が欲しがった。丑松が取り返そうとした若旦那に殺された。
絹がいないため、粕谷に捕まったと思った辰吉は小見山と粕谷のところに行く。叩きのめされていた富田を助け出した。
若旦那の丑松殺しは新聞に出たが、告発記事は出ていない。
辰吉は絹に何故、小見山の世話をするのか尋ねた。五年前の事故の後、海で死のうとした絹を助けて、何も悪くない君が死ぬ必要は無い。いっぱい悪い事をしている自分こそ海にはいらなければならない。生きてもらわないと困る。辛くてまた海に入りたくなったら僕に言いなさい。悪者の僕が代わりに入るから。といいながら負ぶって家に運んでくれたのが小見山だった。絹にとって命の恩人だった。
暴れ馬を嗾けたのは小見山だった。絹を絶望のどん底に突き落としたのが小見山なら、その淵から引き戻したのも小見山だった。小見山は姿を消した。辰吉は馬の事は絹には伝えていない。小見山がひどい過ちを犯した事、絹を救った事、辰吉に金平糖をくれた優しいお武家さまだったこと分かちがたい事実として層になって結びついている。
小見山のいなくなった長屋に残された新聞に篤姫の葬儀の記事が出ていた。
明治十六年
藤野辰吉23才 横浜で新聞売をしている。通称コタツ
藤野絹19才 辰吉の妹 五年前に暴れ馬に蹴られ足が不自由。
小見山祐 元旗本の次男、栗毛東海の名で戯作者をしている。
植木屋をだった父親が旗本・小見山家に出入していたので辰吉は幼いころから祐を知っていた。
按摩の亡霊騒ぎで辰吉は新聞記者・富田を知る。六年前に按摩が殺された場所で誰かが按摩笛で合図を送り会っていた。会っていたのは姉弟。弟は按摩を殺し、すぐ西南戦争に出兵した。戦争で亡くなったはずの弟が横浜に帰ってきた。弟が見付かると捕まると思いこっそり会っていた。
絹の友達・咲が働いている家の主・ジェームズが殺された。咲が疑われていた。咲は聖書の一ページが破られている事に気付く。辰吉はカーター商会のカーターがジェームズを殺した事を暴いた。昔の香港での悪仲間だった。輸入した壊れたピアノの中に血の付いた聖書の一ページが入っていた。
競馬場から一頭の暴れ馬が逃げ出した。暴れ馬にされ方が五年前と同じ方法だと気付いた辰吉は、今回の仕掛け人を探す。馬の世話係から麦酒屋の伊左次に行き着く。伊左次は八幡屋に務めていた。絹は八幡屋の主夫妻と一緒の所で暴れ馬の被害に遭っていた。伊左次をたき付けた者がいた。誰だか判らないが、瓦斯局事件に関わりが有る者だとわかった。八幡屋は民権側で訴えた側だった。この期八幡屋は黙ってしまった。伊左次は自分の裁量で世間がひっくり返るのが面白いと、敵にも味方にも変わる感じだったと話す。
瓦斯局事件 豪商・高島嘉右衛門が経営難を理由に瓦斯事業を町会所へ譲った。大蔵省から借金しても経営は火の車。しかし、功労金ということで瓦斯局から高島嘉右衛門に一万三千五百円が流れた。官僚と瓦斯局と一商人の専断を、八幡屋は新聞社と一緒に糾弾しようとした。
新聞配りの丑松が泥棒していることが分かる。丑松の家で妙な手紙を見付ける。輸入商・墨坂屋の若旦那が埋め立て土地大尽・粕谷に送った手紙だった。三井から取った水を横浜まで流し、毛野に貯める。という内容だ。県官水野から若旦那に渡り粕谷に渡った証拠だった。新聞記者・富田が、小見山が欲しがった。丑松が取り返そうとした若旦那に殺された。
絹がいないため、粕谷に捕まったと思った辰吉は小見山と粕谷のところに行く。叩きのめされていた富田を助け出した。
若旦那の丑松殺しは新聞に出たが、告発記事は出ていない。
辰吉は絹に何故、小見山の世話をするのか尋ねた。五年前の事故の後、海で死のうとした絹を助けて、何も悪くない君が死ぬ必要は無い。いっぱい悪い事をしている自分こそ海にはいらなければならない。生きてもらわないと困る。辛くてまた海に入りたくなったら僕に言いなさい。悪者の僕が代わりに入るから。といいながら負ぶって家に運んでくれたのが小見山だった。絹にとって命の恩人だった。
暴れ馬を嗾けたのは小見山だった。絹を絶望のどん底に突き落としたのが小見山なら、その淵から引き戻したのも小見山だった。小見山は姿を消した。辰吉は馬の事は絹には伝えていない。小見山がひどい過ちを犯した事、絹を救った事、辰吉に金平糖をくれた優しいお武家さまだったこと分かちがたい事実として層になって結びついている。
小見山のいなくなった長屋に残された新聞に篤姫の葬儀の記事が出ていた。
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