特命見廻り西郷隆盛 和田はつ子
牛鍋屋異聞 西郷隆盛は川路利良に秘かに事件を調べさせていたが、吉之助の取締組を作る。熊吉に犬の世話係の中から若者を選ばせる。田中作二郎・農民と言っていたが御家人の嫡男・深田真之助だった。府中特別見廻りを名乗る。
六軒の牛鍋屋に五臓六腑が投げ込まれる事件を調べる。一軒だけ人気のある牛鍋屋はま屋への嫌がらせで豚の内蔵放りこんだ。自分たちも被害があったように見せた事件だった。はま屋だけが人気なのは、はま屋が彦根で牛を飼う修行をしたことと、料理に適した牛肉の部分の勉強をしていたからだった。
高級料理店の飲食代を三月分を払わないで一年になる大蔵省の役人。急ぎ注文が聞き入れられなかった鬱憤晴らしに人を使って大暴れさせての器物損壊の貿易商。富裕な商家から強請をした元取締組。元大身旗本家から骨董を買い叩いてただ同然で買っていた振興の骨董屋。西郷の印籠を出して仕事をしてきた。
西郷の印籠 府中にこそ泥がはびこる。
元大奥御中臈になりかけていたことを売にし、「麗し白百合流礼法塾」を開き嫁入り前の娘に礼儀作法を教えている鳥井美津がいた。被害届けが出ていた。大奥の宝物が飾られている。田中は調べ始めた。西郷に手助けするものを増やすように言われ、幼馴染みの肥沼丸太郎を仲間にした。肥沼は女にもてる。西郷の飼うゴン助は雌だった懐かない犬が肥沼には従った。二人で鳥井塾を見張る。鳥井は御末だった。骨董屋の主の後押しで塾を開き、元大奥御年寄、御中臈、等形見分けを持っている人から借りていた。鳥井に話しを聞き、盗まれた品物等を聞き、隠し階段を見付け、骨董屋と仲間・加代を捕まえる。骨董屋は役人に賄賂を請求され仕方がなくやったという。その役人は田中が高級料理店のツケを払わせた役人だった。罷免された。塾は本物の元御年寄と御客応答だった二人が継いだが人気はなくなったようだ。
鳥井美津の母親が二人名乗り出た。農婦姿の女と小商いの女主風。農婦姿の女が肥桶から菊の根元に肥えを掛ける。女主風は糞尿は何日も置いておかないと下肥にはならない。草木が枯れるという。娘に恥をかかせないため有り金を叩いて装っていた。美津は母に会えた。
人力車夫 吉之助 西郷は人力車を引きながら見廻をすることにした。二人乗りと一人用を用意した。二人乗りを肥沼とゴン助が引き、田中の人力車に西郷が乗っている時に西郷が弓で狙われた。ゴン助が西郷に飛び掛かり、田中が向きを変えたことで西郷は助かった。
腹を抱えて蹲っている女を助けようとしている女医のイネが、自分の医院でゴン助の治療をし、田中と肥沼が運んだ女を治療した。女・美保は流産した後だった。美保が姿を消す。イネは西郷に美保探しを頼んだ。田中は美保の相手を探し、美保を見付けた。美保は御家人の嫁だったが、夫は会津から帰らなかった。妊娠した嫁に、姑は美保の幸せを願った。しかし、美保は御用商人・疋田に騙されていた。見付かった美保は医院で養生した。美保の夫が帰ってきた。記憶喪失になり会津で弓職人の修行をしていた。母と嫁を迎えにきた。姑は美保のことを聞き、一緒に会津へ行こうという。美保は会津に行った。
田中は西郷の襲われた現場を見、手掛かりを探し、元土佐藩士を捕まえる。元土佐藩主都の関係は否定した。
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