2018年7月3日火曜日

峠うどん物語上・下

峠うどん物語上・下 重松清
 峠のてっぺんにあった長寿庵が十四年前から峠うどんと名を変えた。峠うどんを経営する二人の孫・淑子が産まれた年。長寿庵の前に市営斎場が出来た。手打ちのうどんで繁昌していた店がお通夜や葬式に参列したひとのための店になった。中学生になった淑子は店を手伝うようになった。両親共に教師だ。
 かけ、のち月見 親戚の顔も知らない従兄が暴走族で事故で亡くなった同級生・大友がいた。どんな顔でお葬式に出るの?淑子の父親・和也の同級生のお葬式もあった。やたら騒ぐ父親。同級生はお葬式で大泣きしていた人をみて驚いた。黙って卵を入れたうどんを食べて帰る。みんなが帰ってからまいっちゃうね。たまんないよ。と言う父親。
 戦争で焼かれた町、水害に襲われた町、祖父は苦労して蕎麦打ちの修行した。母も苦労して大学を出た。母親の兄は定時制で勉強した。
 二丁目時代 母親の幼少期の想いで
 おくる言葉 三年生の十月からの臨時の先生へのおくる言葉を離任式で言うことになった二年生の淑子が、学校の良いことを月別に先生に教える。また見にきて下さいと。やんちゃな若いお坊さんがお世話になった先生の葬式でせっかく作った巻紙を読めずただ大声で泣いた。
 トクさんの花道 霊柩車の運転手・トクさんがテレビで静かな運転を披露した。
 メメモン 父親の教え子が夏休みの研究に斎場見学をした。研究課題は変わったが、彼女の祖母の亡くなった時、淑子の祖母・駒子はみんなで葬式の写真を選びなさいと諭され実行した。
 柿八年 大水害の時、修業中の祖父・修吉が柿の葉うどんを作って振る舞った。おいしいと言われたが今作ると不味かった。
 本年も又、喪中につき 近所の医院の先生、癌の奥さんを看取っている。息子は医療センターの先生で最後には入院した。先生は自分の患者さんが亡くなると喪中のハガキを出す。駒子は大きい病院で見てもらわないとという客を追い出す。
 わびすけ 修吉の幼馴染みのやくざの親分が引退した。修吉のうどんを食べにきた。約束だった。
 立春大吉 大友君が高校入試を前にうどんの修行をしたいと言い出した。駒子は首にした。逃げては駄目。柿の葉うどんを出し、大型バスを斎場に乗り入れるみやま亭のバスが、雪の日に斎場まできた。駒子は危ないとみやま亭に電話を入れる。バスは道路を塞ぎ動けなくなった。みやま亭の営業方針はマスコミに批判される。移動できなくなった人に小鉢うどんを出す。
 アメイジング・グレイス 試験の日、淑子は修吉にアメイジング・グレイスのCDを頼まれる。わびすけさんが亡くなった。修吉は葬式に行かず、予約席を作ってうどんを作る。試験の日、淑子の同級生が飛び降り自殺をした。小学校は違う学校で中学校も同じクラスになったことがない同級生。迷った末、お通夜に行く。おじいちゃんの作ったうどんを食べる。

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