口中医桂助事件帖⑮ 毒花伝 和田はつ子
藤屋桂助は虫歯になり歯無しになった人々が生きる希望を失うことに心を痛めていた。
品川で見付かった遺体は、千住品三郎という、桂助が歯を抜いた患者だった。
品川では同じ頃、破傷風で死んだ男が見付かり、その遺体を焼いた男も不審な死を遂げていた。続いて投げ込み寺で見付かった八つの普請な遺体も、全員歯がなかった。
美鈴といっしょになり佳という娘を持った剛次も遺体の身元調べをしていた。花簪売りの娘・蝶を調べ出し、剛次は勾引かされる。蝶が出入した料理屋の主・新吉が河豚毒で死亡した。新吉はフグ毒の研究日誌を残した。口を封じられるついでに研究の犠牲になった。
勾引かされた剛次は地下牢にいた。彩と名乗る志保に逃げ道を教わり、逃げる時志保を背負って逃げた。志保を背の温もりで剛次を思い出し、桂助を思い出し、自分が志保であることを思い出した。剛次が目を離した隙に志保はいなくなった。剛次は家に帰った。
南町奉行所同心・友田達之助が書いた覚書を持って、元御側用人・岸田正二郎を頼る。
長州藩の支藩が異国に毒薬を売ろうとした。旗本・千住家は朝廷の医者を育成する役職・博士の古い医書を伝えている家だった。古医書の中に毒花伝がありその中にフグ毒があった。千住家を知った長州藩から話しがあり、速効性と特異性は認められたが、解毒剤が必要だった。その為に長州藩中屋敷で生きる望を失っていた歯無しの人々が試しに使われた。千住市左衛門と市之介は岸田と桂助に話し、医書を焼き、切腹した。
市之介から志保が襲われて斬り殺されようとしていたところを助け、記憶が無いので綾乃と呼び試しの手伝いをさせた。医術の知識と手伝う技があった。失った記憶の中で「いしゃ・は・くち」の口中医桂助さんという言葉がでたことを知らせる手紙が届いた。
志保が姿を消したのは自らの意志だと思っていたが、違っていたことがわかり、桂助は志保を探そうと思った。
0 件のコメント:
コメントを投稿