2018年7月4日水曜日

上野池之端 鱗や繁盛記

上野池之端 鱗や繁盛記 西條奈加
 末は十四才で池之端にある鱗やに奉公にきた。従姉の軽が嫁に行った後がまに入ったが、鱗やは料理屋と聞いていたが、連れ込み宿だった。軽もいつの間にか姿をしていた。
 養子に入った若旦那・八十八郎だけは熱心だった。主人・宗兵衛も内儀・日出も娘・鶴も使うだけで店にも出ない。
 末と甲は料亭桜楼へ女中見習いに行く。板長・軍平に昔の鱗やを思い出させ、料理を作らせる。義母・日出のお金を使う役者を利用し、鱗やの料理を広め、料理屋 鱗やを復活させる。
 鱗やは水戸に本家を持つ料理屋だった。江戸のどうしようもない若旦那・宗兵衛を預かった。宗兵衛は鱗やの娘・都与を好きになる。都与を嫁に乞うが都与は板前と結婚して江戸に店を持つ。宗兵衛は水戸の鱗やの主と都与の兄妹を殺し、火を付ける。犯人は判っていない。この時、一人助かったのが八十八郎、七才の竹之助だった。犯人の顔を覚えているが誰だか知らなかった。助けた者と菩提寺の住職は竹之助が生きていることが分かると命を狙われると思い、名前を変え、江戸の商家に養子に出した。
 宗兵衛は都与を諦めず、江戸に帰り、鱗やの主人に薬を飲ませ川に突き落とす。都与を手込めにするが、都与は自殺する。誰もいなくなった鱗やの主人に納まり、何もかもしっている女中を内儀に納めた。宗兵衛の妾は都与に似ている。軽も宗兵衛に言い寄られ逃げた為殺されそうになった。川で流されていたところを助けられていた。
 八十八郎は三年前、宗兵衛を見て思い出し、調べ、復讐しようとしていた。軍平と甲を一緒にさせ、店を建て直すことにしてみんなの働き口を決め、宗兵衛と日出と鶴を焼き殺そうとする。末が止める。が役人に捕まる。宗兵衛の旧悪が表に出、宗兵衛は斬首、二人は島流し、八十八郎も流罪になった。闕所になった。
 軍平と甲は芝居町の近所で料理屋を始める。四年目鱗やの名を使うことを許された。三年後、須江が女将になる。上野池之端の店が売りに出され須江は思い切って買う。
 あれから八年若旦那が赦免になって帰ってきた。

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