法医昆虫学捜査官 紅のアンデッド 川瀬七緒
捜査分析支援センターに技術開発者とプロファイルと法医昆虫学の三人・還暦間近の波多野光晴、広澤晴美43才、赤堀涼子36才が配属された。
死体無き殺人事件が起った。三人・遠山夫妻とその客の手の指が残された。
虫の湧き具合から三人の指の裁断時間を割り出す。昆虫学者の赤堀が出した答えと解剖医の出した答えとでは十日も違った。また赤堀は一本だけ虫の量が少ないことに疑問をもっていた。
広澤は過去にも殺人を犯している。同じような犯行現場があり未解決の事件があったはずだ都分析する。
岩楯祐也と鰐川宗吾は二十三年前の事件、血まみれの現場に残された足の指、見付からない死体の事件のあった家・橋爪家に行く。同じような間取り同じような家だった。
赤堀は虫の少ない一本の指の持ち主は偏った菜食主義かもしれない。栄養の偏りのために虫が余り寄り付かず繁殖も少ないのだと割り出した。この指は犯人だとも言う。
一ヶ月以上経ち、毒虫・やけど虫が発生した。二十三年前の事件現場もおなじだった。何も調べないで駆除されていた。赤堀は発生源を調べて行くうちに床下の隠れ井戸に気がつき遺体が出た。遺体を調べるのはやけど虫を駆除してから。二十三年前の現場の家に行く。錯乱した今回の犯人がいた。
菜食主義の料理教室を開いている宗方君江の息子・大和27才。被害者・遠山は動物に関係するものを全て寄せ付けない大和のことを思って治そうとしていた。ケーキに動物性の物が入っていたと言われた大和は反射的に遠山を殺してしまった。殺したことを相談された君江は現場に行き、血だらけの現場で三人の指を切り残した。井戸の存在を知っていた遠山の妻によって遺体をビニール袋に包まれ遺棄されたのだった。
君江が何故そんな工作をしたか。二十三年前に橋爪家の奥さんを殺したのは君江だったから。橋爪と不倫の関係にあった君江は妻に離婚を迫り殺してしまった。反撃に遭って指を切り落とされていた。妻の足の指も切り落としていた。帰った橋爪は妻の遺体を古井戸に隠した。君江の息子・大和は橋爪の子供だった。大和は母親の用意するものしか食べられなかった。橋爪の家の床下から骨が見付かった。
遠山の妻は夫の支配から逃げたかった。通報出来なかった。大和への感情移入。大和を見捨てることができなかった。
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