2019年2月3日日曜日

質屋籐十郎隠御用〈七〉 

質屋籐十郎隠御用〈七〉 大工と掏摸 小杉健治
大工の半吉は出入のお店から印半纏を貰うほど腕のたつ職人。半纏をくれた三河屋の煤払いをした夜、見知らぬ男から五十両を預かる。翌日、三河屋から五十両を盗んだ疑いを掛けられ、五十両が見付かる。謝れば許すと言われるが盗んでいない半吉は謝れない。もう一軒のでいりの店にも断られる。
 質屋の万屋に五十両を借りたい武士・真木陽一郎が現れる。藩の金を掏摸に擦られていた。籐十郎は、不審に思い調べ出す。真木の結婚を邪魔したい友人が掏摸・丹次を雇って擦らせていた。丹次は気付かれたため逃げる途中で半吉に預けた。丹次は半吉から話を聞き三河屋に、半吉が犯人でないと書いた紙を置き、十両盗む。
 籐十郎は掏摸の丹次まで辿るが丹次は何も話さない。丹次は恩人の別れたままの娘にお金を渡すつもりだった。娘が万屋に預けている母親の形見を取りにきたことで籐十郎が娘を知る。籐十郎が三河屋の事を知り、絡んだ謎が解ける。
 三河屋の五十両は、半吉を嫉んだ親方の息子・半吉の兄弟弟子・大治郎の犯行と分かった。大治郎は五十両を返す。半吉は大治郎を出入り禁止にするならこのまま自分が盗んだことにして欲しいと言う。三河屋が五十両は別の所から出てきたことにして、自分が隠居した。
 旗本・御家人の救済を目的に作られた「大和屋」だったが、「大和屋」不要の意見が広まった。反対運動をしてくれる譜代大名の次男と大和屋番頭の娘・つやとの縁組みが計画されたが、籐十郎は兄の援助もあって、つやを隠した。縁組みはなかったこととなり、大和屋は役目を止める事になった。
 籐十郎とつやは一緒になって万屋を続けていくことになった。
 

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