喜連川の風 明星の巻〈二〉 稲葉稔
喜連川藩で御前試合が開催された。勝者は名家の剣術指南役に推挙されるため子弟は目の色を変えていた。練達者が闇討ちにあい、「御前試合に計策あり」との拾文があった。天野一角は探索した。中老の内田正右衛門が助教の一人と門弟一人を唆し、闇討ちを仕掛、判定にも手を加えた。勝ったのは内田家の次男だった。御前試合は遣り直された。闇討ちにあった者が勝った。
天野清助は鼻緒を切って雨の中困っていた娘・佐和を助け、家まで送った。内田中老の娘だった。佐和の誘いで時々会い、樺山に登り、荒川の水辺で遊んだ。約束してもすっぽかされた事もあった。佐和が死んだという手紙を貰った。佐和が自分が死んだらと頼んでいた手紙が届いた。佐和は病気だった。正右衛門は佐和が亡くなり、発作で亡くなった。
0 件のコメント:
コメントを投稿