2019年2月26日火曜日

藍千堂菓子噺② 晴れの日には

藍千堂菓子噺② 晴れの日には 田牧大和
 羊羹比べー人日 茂市の元の店の常連客・足袋職人九助が、死んだ長男・寛太の法要の菓子を頼みに来る。九助は茂市の羊羹が好きだ。晴太郎は寛太が好きだった甘い羊羹を作る。寛太の好きだった羊羹を法要の引きに使う。
 母と似た人 端午の節句に松沢家の台所で生まれた長男・小十郎の節句の御菓子を作る。去年の初節句だけ思っていた雪だが、実家の父親の願いで数が増え晴太郎の手を借りる事にした。晴太郎は佐菜という何となく母を思わす人と出会う。佐菜には五才の娘がいた。
 青の星川 七月七日 藍千堂では黄色の金平糖を作る。百瀬屋の娘・糸が同心の岡丈五郎が上役・奉行所を牛耳る年番方与力・鎧坂竜之介に睨まれていると伝えに来る。鎧坂は刃向かわれる事邪魔される事が嫌いな、配下も上役も奉行でも思い通りに物事を運ぶ道具として見ている。子供も自分の都合の良いように育てた。そんな鎧塚に、手懐けられず、脅しも効かない、思い通りにならない配下の岡だった。大店の息子が口喧嘩の弾みの刃傷沙汰だった。千葉屋の放蕩息子の代わりに病気の母を持つ手代が名乗り出た。岡は調べを止めず、息子・証拠固めをしたために出仕禁止になっている。晴太郎は紫陽花を連想させる金平糖の折り詰めを作り、岡が鎧坂の手で奉行に届けてもらった。奉行が岡から話を聞き、岡は仕事に戻り放蕩息子を捕まえた。佐菜が鎧坂の元嫁で、娘・さちの父親は鎧坂だった。
 思い出話ー重陽 晴太郎の廻りの人たちは佐菜との付き合いを反対した。佐菜と娘は鎧坂に見つからないよう隠れてくらしていた。晴太郎も一時は会わないようにしていたが、無理だった。今、あの二人を見捨てたら俺の菓子の味はきっと濁ってしまう。
 伊勢屋の総左衛門が、昔話をする。総左衛門と二人の母親・しのと二人の父親・清右衛門のはなしだった。清右衛門も言った。今ここでおしのさんを見捨てたらきっと自分の菓子の味が濁る。総左衛門は清太郎の恋を止めない。
 ひいなの祝いー上巳 同心の岡が、鎧坂の動きがおかしいと伝えに来る。鎧坂が娘が出来たのでと、雛の祝いの菓子を頼みに来た。さちの事が知れた。晴太郎はさちは自分の子だと言う。佐菜は迷惑になるからと鎧坂のところに行こうとする。しのを育てた医者・久利庵が佐菜親子を預かっていた。晴太郎もいる時に鎧坂が訪れる。久利庵はさちが五才だと言い張る。
 鎧坂の旧悪が暴露される。鎧坂の行状の証拠を山ほど付けて訴えられ鎧坂が捕らえられた。訴えたのは二人の息子だった。母を守るために父の言いなりになっていた。だが母は亡くなった。母の仇をとると思って証拠の在処を確かめていた。義母・佐菜を守るために、子が出来た佐菜のために、医者に佐菜には子が出来ないと言わさせた。そして離縁になっていた。妹の存在を父親が気付いたことを知った兄弟は、訴えた。鎧坂は自刃、表向きは病死になった。
 晴太郎は佐菜に私の嫁に・・・と申し込む
 

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