それでも空は青い 荻原浩
スピードキング 藤島が死んだ。脳腫瘍
父の影響で野球を始めた。ボーイズリーグで広島カープに入ることを目指して野球をする。五年生でレギュラーになった。父親が死んだ。ボーイズリーグに行けなくなり野球をやめた。中学で野球部に入り、ピッチャーを目指した。県立高校に入り野球部に入った。同じ一年に藤島がいた。投げる藤島を見て三年生の顔が引きつった。自分は野手になった。
三年の夏、甲子園に行った。自分は、スタンドにいた。一戦一負。藤沢はドラフト四位でプロに行った。自分は、軟式野球部がある住宅設備会社に入った。
藤島は四年め一軍に出場した。3回3分の2、被安打5 死球1 5失点
五年目の大晦日、藤島に会った。休校になった中学校で三日間藤島の相手をする。
六年目、ローテーション入した。11勝3敗防御率2.82 スピードキング藤島
正月の練習を頼まれたが、断った。ずーと後悔している。
翌年14勝、翌々年13勝
九年目に故障した。翌年トレード。二年後、金銭トレード
三十才で中継ぎ、三十五才でアメリカ。三十七才、中南米で、百マイルの球速を記録。日本の独立リーグでプレーするために帰ってきた。
別れて暮す子どもに会いに行き、藤島が死んだ。キャッチボールしようと誘った。娘とキャチボール。
妖精たちの時間
卒業して二十周年の同窓会が案内がきた。十年前、羽振りのいい商社マンだった。3か月後に結婚式を控、絶好調だった。今、会社も変わり、離婚もした。桜井が来ると聞いて出席。
桜井はオーストラリアからの転校生だった。始め、桜井に憧れの目を向けていた女子が、輪の外に放り出した。桜井は二人の時に妖精をみたことがあると言った。話さない間に帰った。二次会に行く途中、桜井に会って二人で別の店に行った。
現代の自分を話す。桜井は輪の外に放り出したバスケのキャプテン江嶋優菜のことを話した。二人で暮していた。桜井の留守にお風呂場で酸性の洗剤と次亜塩素の漂白剤を混ぜて事故で亡くなった。誰もゆうの話しをしなかったと嘆く。
悪酔いした彼女を介抱し、飛んでいってしまいたくなったら、電話してくれと電話番号を教えた。
あなたによく似た機械 無口で何も話さない夫・拓人。いつも同じ物を食べる。
結婚式が迫ったある日、家具を買いに行って交通事故にあった。3週間入院し、その後後遺症に悩んでいる、拓人はロボットかと思い始める美純。ロボットは美純だった。
僕と彼女と牛男のレシピ 上林康祐は、バイク事故で入院した時の担当の看護婦さんと付き合っている。康祐はバーテンダー。彼女はバツイチで七才年上。徐々に間を詰めてきた。彼女の小学二年生の息子・牛男と動物園に行こうと誘う。野球が好きだと聞き、グローブを買う。牛男は潮だった。野球に誘う。
もし新カクテルでグランプリ取ったら式を挙げようという僕に、彼女は、だめでもいいよと言ってくれた。
君を守るために 田辺奈緒は、犬・ムクゾーを飼い始め、犬を見ているために見守りカメラを買った。映ったのはベットで寝ている男だった。家に帰る怖さのために後輩の杉原に一緒に部屋まで来てもらった。鍵を替えた。置き土産のDVDを見つけた。そして見つけたのは、同級生の本村だった。が、彼は先月、失恋して自殺していた。
本村を呼び出し話す。ベットに寝ていたのは本村ではない。二人でDVDを見直し男が杉原だと断定した。杉原が来るだろう今日、本村に化粧を施し、杉原が見た瞬間消えるように頼んできた。昼、杉原が震えながら帰ってきた。
本村の話を聞く。すきな子のつきまといをして、彼氏に橋から突き落とされた。ATM
でお金をひき出した時、隣にいた。奈緒は少女の名前で本村が殺された日付、状況、ATM
こと、本村の血が付いた指の跡が付いたパンツも同封した懺悔をしている文章を送った。
男は逮捕された。本村は現れなかった。抱き上げたムクゾーが、本村と同じ笑い方をした。
ダブルトラブルギャンブル 十九年前、双子で生まれた。礼と仁。そっくりな二人。
はじめて気が付いた。四年生の夏休み、ラジオ体操の皆勤賞を狙っていた仁は、最後の日、熱を出した。礼が仁の出席カードを持って体操に行った。皆勤賞は遊園地の招待券だった。
ピーナッツパーク。
九月、礼のクラスで分数のテストがあった。50点以上取れないと昼休みのサッカーが禁止される。仁がテストを受けた。礼は国語が得意、仁は数学が得意。
中学校に入った。仁が入ったサッカー部はマラソン大会で三十位までに入らないとサッカー部に入れなかった。礼は前日から学校を休み、五キロの途中で交代した。ぎりぎり二十九位だった。
大学を諦めていたが、母親が三年生の時、行きたいのなら行きなさいと言った。仁は理系の国立大。礼は奨学金制度が充実している私立大。同じ大学に二人とも願書を出し、二人ですり替わって試験を受けた。二人とも大学に合格した。
私大に入った礼は、最高。理系に入った仁はレポートに追われ最悪。
礼はコンビニの女子に声を掛け、ライブに誘う。バイトで行けなくなった礼は仁に代わりを頼む。ライブの後、翌日も会う約束をする。行く用意をする仁に代わり礼が行く。礼は話しがかみ合わない。礼は気付いた。礼とデートしているが、彼女は仁が好きなのだ。
礼と仁は殴り合った。カードでも決まらなかった。
今度、地元で三人で会って、今までのことを正直に話すことにした。場所はピーナッツパーク。
人生はパイナップル 人生はパイナップルと言ったじいちゃんとキャッチボールをする。じいちゃんの人生を聞く。台湾でパイナップルの缶詰めを作っていたじいちゃんの父親。じいちゃんは中学生の時、甲子園に出場した。控のピッチャーだった。エースとして出場しようと思った年、突然中止になった。軍事教練で手榴弾を投げさせられ肩を壊した。「自分の頭で考えない馬鹿になるなよ」と言った。じいちゃんトスバッテングしながら、三年先、十年先の練習をしろと言った。自分のことは自分で決めろ。そしたら後悔しない。野球の強い商業高校か普通の県立か迷って、普通の県立高校に進んだ。三年生四回戦で負けた。父親がじいちゃんの遺景を持ちスタンドにいた。
大学四年、先発ではじめて勝ったウイニングボール。就職は食品加工会社。