寺社役同心事件帖2 富くじ狂瀾 千野隆司
竹寶寺で富くじが行なわれることになった。竹寶寺の住職・龍達は江戸城留守居役五千石の旗本荒尾伯耆守基義の実弟であり、基義の娘は大奥の御年寄に次ぐ権力者だった。祠堂金事件では龍達まで手が届かなかった。
鳥越明神で板細工職人・貞吉が二人の侍に殺された。鳥越明神は雲野八十助の持ち場ではないが、土屋家の漆原があまりにやる気が無いようで、紗枝と八十助は調べる。
竹寶寺の檀家総代阿久津左京の家臣・宇佐美治三郎が貞吉に富くじに使う木札を五十枚作らせ殺したということだった。
不正が行なわれることは予想出来るが方法は分からなかった。
富くじ当たり札の発表のあと、和讃箱から大箱に移される時に阿久津の妻が箱を落とし阿久津が拾い入れた事が分かりその時に五十枚の木札を入れたと予想された。お焚き上げ前に残り札を改め同じ札が四十九枚あることが確かめられ不正が発覚した。
阿久津は切腹、家は断絶、僧・有照は斬首になった。
八十助は宇佐美と寺侍・川崎太左衛門に襲われ、二人を捕まえた。二人の証言で僧・龍達は死罪になるだろう。
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