風の市兵衛17 うつけ者の値打ち 辻堂魁
十一年前、戸倉主馬27才は陸奥岩海領南條家の家臣だった。蔵方助役だった。蔵奉行配下組頭・登茂田治郎右衛門と組下・猪川十郎左と勝田亮之介と富松屋に命令され出納台帳と勘定目録の数字を改ざんする。三年続け七百三十両を手にしていた。露顕した。主馬は三十両を貰っていた。四人は主馬を欠落させた。主馬一人がやったこととされた。約束は家族の面倒を見ることだった。十年国許に帰っていない。家族の消息も知らない。
戸倉主馬は名を薮下三十郎と名乗り、妻を得、子供ができた。子供が病気のため金に困り、南條家江戸屋敷に三人を訪ね、十両を借りる。三人の藩取り引きの商家との不正を感づいた村上景助を殺すことを頼む。主馬は殺せなかったが、三人に雇われた浪人に殺された。村上景助の死の真相を探りに目付・志布木時右衛門がやって来た。志布木は主馬の幼な友逹であり道場仲間だった。志布木に父の死、母と妹の自死したことを聞き、約束が果たされなかった事を知る。
遊女屋の用心棒の仕事で知り合った唐木市兵衛に、妻と子を託し、全てを書いた手紙を残す。三人に、志布木に全てを話すことを言い、志布木に会いに行こうとするが、浪人に斬られる。欠落者を見付けたので斬った。で片づけられる。
幕府十人目付筆頭格・片岡信正に南條家江戸家老・遠山十左衛門に唐木市兵衛に会ってくれるよう言って貰う。遠山と志布木に手紙を見せ手紙を百両で買って貰う。
市兵衛は三人が雇った浪人を証人として捕まえようとする。が志布木は殺してしまう。
登茂田は役を解かれ国許に戻って病でなくなった。猪川も勝田も国許で病で亡くなった。家は残った。富松屋は断絶、家と財産は没収になった。江戸の楢崎屋と松前屋は十万両を越える借財が返済され主人は隠居し、倅が身代を継いだ。
主馬の妻・津奈は三十郎という小料理屋を出した。
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