取次屋栄三⑭ 合縁奇縁 岡本さとる
女の意地 破落戸にいいがかりを付けられた時、救ってくれた松田新兵衛を好きになった田辺屋の娘・咲は練習場を栄三郎の道場から新兵衛が師範代をする岸裏道場に移していた。並木一刀流道場主・並木雄之助の妹・並木留以と親交があった。留以は男に負けるものか・・・とやってきた剣術だったが、咲の剣に完敗し女だから出来る剣を目指すようになった。
留以が別式女・黒木棉江と試合をするので見に行く。留以が足を痛めていた、黒木は怪我を利用し勝を納め一本を決めたあと止めを刺すように下から突き上げた。勝ち誇って帰る棉江に咲は、下から突き上げたのは何ゆえか、相手を踏みつぶして自分の強さを見せつけたいからかと質問する。棉江から咲に試合の申し込みがあった。咲は棉江に勝。町場で棉江に木刀で試合を挑まれ、棉江は咲に木刀で打たれ気を失う。咲も腕を打たれていた。
月下老人 咲は新兵衛に練習を付けてもらえるのが嬉しかった。新兵衛は剣の道を極めたい結婚は考えていないと言う。咲の兄・松太郎が咲に縁談を持ってくる。幼い頃一緒に遊び家ぐるみのつき合いだった足袋屋の廣野屋の仲太郎だった。咲も揺れた。昔、大きくなったら仲太郎さんのお嫁さんになる。と言っていたと聞いた咲は、仲太郎さんがいつまでもお嫁に望んで下さらないから他の人に想いを寄せてしまった。と言った。栄三郎は新兵衛に咲の縁談のことを話した。宗右衛門に頼まれて栄三郎が話を潰したことも。新兵衛はおれは未だ修行の身だという。
合縁奇縁 得体に知れぬ浪人が岸裏道場の門人に怪我を負わせる。気にくわない剣客を見かけると喧嘩を売って果たし合いに持ち込む。及川門十郎・黒木棉江の兄だった。咲は勾引かされた。助けに行った新兵衛は自分が負ければ咲が殺されることと棉江が棒手裏剣を隠し持っていることを知った。二人が向かい合った。新兵衛は小刀を投げ、及川に怪我をさせてから大刀で斬った。咲を護るためには神仏をも斬ると言う。
田辺屋で皆揃った時、新兵衛は恋をしたゆえこの度のようなことが起こるのを恐れて傍へ近づけられないでいた。だが、この度のようなことが起きた。この先も起こるかも知れない傍にいた方が護り易い。咲を我妻としてもらい受けたいと言った。
0 件のコメント:
コメントを投稿