着物始末暦(九) 白に染まる 中島要
師走の嵐 糸は身籠もった。余一になかなか伝えられない。日吉山王大権現で出会った尼僧・松雲尼は余一の赤子の時を知っている人だった。余一に会わせたことで余一は父親が井筒屋だということを知る。余一は我一人という意味だという。余一の奨めで品にだるま屋の手伝いを頼み、つわりがひどくなった糸のために、清一に子どもが産まれるまで、余一共々だるま屋に住むことを頼む。
白に染まる 二十一日、身請けされた笑わない天女・唐橋の最後の花魁道中に着る打掛けを大隅屋が作った。余一は下絵を書いた。唐橋の身請けを喜ばない澤田屋と井筒屋は邪魔をしようとする。愁介は唐橋の打掛けと同じ下絵を使って唐橋の前に歩く紫扇の打掛けを創ろうとする。六助を脅迫し余一の下絵を手に入れたが、六助は余一に一番贅沢な打掛けの下絵を描いてくれと頼んでいた。唐橋の打掛けは白無垢に後ろに絵が描かれた打掛けだった。
紫扇の打掛けは豪華だった。紫扇には似合っていなかった。道中が始まる前見ていろと言っていた井筒屋、井筒屋のほうが大隅屋よりいいものを作ることができると示したかった。愁介は井筒屋が終わりだといった。
道中の行方 六助は愁介が何故下絵を欲しがったか分からない。花魁道中を見ていて六助は愁介の考えてたことが分かった。紫扇の豪華な打掛け道中のあと、白無垢の打掛けの唐橋、通り過ぎた後ろに唐橋の花魁道中の絵があった。
井筒屋の店は休んでいる。綾太郎は十手持ちの親分に六助を護るよう頼んだ。六助が襲われた。男は音吉が捕まえ、女は匕首で六助を狙い庇った千吉を刺して逃げた。
寿の袖 千吉は何故六助を庇ったか誰にも分からない。みつは六助が店を開けている間千吉の看病をした。六助を襲ったのは前に井筒屋に雇われ玉を勾引かそうとした二人だった。綾太郎は井筒屋が店を畳むなら余計なことは言わないという話をした。一月たち千吉は歩けるようになった。千吉はみつに帯と万寿柄の着物を送った。
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