2017年12月31日日曜日

六尺文治捕物控② 夫婦からくり

六尺文治捕物控② 夫婦からくり 中島要
 二年前 辰三が悪党に捕まって命を落としたといわれても、信じなかった加代と文治は、行方を追いかけた末、加代は同心・塚越に殺されかけた。辰三が姿を消したのは塚越から逃げるためだったと気付いた。首を絞められて気を失っている間に塚越は殺された。塚越が大店から強請っていた証拠が見付かるが、吟味方与力久保寺隆三に握りつぶされた。塚越殺しを探すことも止められた。
 文治28才 千手の辰三といわれた十手持のの子分
 加代20才 辰三の娘
 仙    辰三の女房 一膳飯屋たつみの女将
文治は仙に加代と所帯を持つことを急かされていた。
元戯作者・定廻り同心・栗山末次郎は手柄を挙げたがった。塚越の妻・理久に頼まれ塚越殺しを調べている。理久は医者・木村長明と再婚した。塚越殺しを探索していた栗山が殺された。犯人は文治だといわれ牢にいれられ、拷問される。文治が犯人だといった卯吉が附子を飲まされ殺された。文治は牢から出される。
 跡継ぎがいない大店で主が突然亡くなったという店が三軒見付かった。木村が行っているところだった。木村は脅され殺された主人の病名を付けていた。加代と文治が理久に詰め寄ると理久は茶を飲み死んだ。木村は話し出した。
 理久は塚越を殺した犯人を突き止めたがった。一周忌に菩提寺の和尚から壺に入った強請のネタ帳を渡された。夫は無実だと言わなくなった。夫が悪事を働いていたことより、打ち明けてもらえなかったことが許せなかった。木村に裏切らないでと一緒になった。理久は子どもが無くて理不尽な目にあっている山木屋に風邪薬と毒薬を渡していた。木村は厠風邪で亡くなったことにした。橘屋、伊藤屋と続き、鳴海屋と続いた。木村は卯吉を使い栗山を見張っていた。卯吉は栗山を殺したのは女だったといった。下手に出ていた卯吉がそうは行かなくなり木村が殺していた。木村も服毒自殺をした。木村を理久は無理心中とされた。
 栗山を殺した犯人は自首した。栗山が捕まえた大工の女房だった。大工は子どもの治療費に三両欲しかった。盗んで直ぐ捕まらなければ三両とって返したはずだ。十五両も入っていて直ぐ捕まり遠島になり牢に入っている間に死んだ大工の女房の言い分だった。何度も死のうとしたが男に助けられる。その男が自訴して出ろといったという。加代は男は父だはないかと思った。
 文治の母親は文治が子どもの頃、他の男といなくなった。父親は荒れ、文治を殴るようになった。十二才の時辰三親分に拾われ、素性をあかさなかった。分かって行った時には父親は酔って川に落ち亡くなっていた。
 仙は文治の父親の墓参りに行った。後をつけた文治の前に辰三が現れる。塚越は与力の久保寺隆三に殺された。塚越は隆三の父親久保寺隆信に強請られていた。十四年前、理久の父親・口入れ屋の野沢屋が口論の上刃物を振り回す男を殺してしまった。娘婿の塚越に助けを求め、遺体を埋めているところを隆信に見られ強請られた。辰三は塚越に頼まれ手を貸した。辰三は文治の父親が川に落ちた時、助けなかった。塚越はそれを知っていた。辰三に弱みがあった。強請をはじめて十年、二千両になる。辰三は控を持って隠れた。隆信が亡くなり、隆三が二百石の与力同心を強請っていたことを知った。塚越の強請が表沙汰になれば困る。塚越を見張っていて加代の首を絞めているのを見て今殺そうと思ったのだろう。
 理久は夫の悪行が自分のためだったと知らずに死んだ。夫に裏切られたと思い木村までまきこんだ。文治は自分も辰三を罪に巻き込んでいたと思った。
 加代と文治は祝言を挙げた。前日の夜、加代は花嫁衣装を着た。祝言が終わった翌日、仙は辰三のところに行きますの手紙を残していなくなった。

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