上絵師 律の似面絵帖③ 雪華燃ゆ 知野みさき
春の兆し 律は幼馴染みの青陽堂の跡取り息子・涼太に好きなのはおまえだけ。店を継いだら一緒になってくれと言われた。
長屋暮らしの勢が、小間物屋の店を持つという将太に騙され虎の子を出してしまった。律似顔絵を書く。律は恋敵の綾乃と一緒に将太を尾け、将太に居所を見付ける。綾乃は義妹の料亭・尾上の嫁である自覚がなさ過ぎる。覚悟を決めて嫁に行かなければ駄目だと言う。
将太の居所を教えてもらった勢は将太と一緒に逃げようと誘う。次の日の朝早く会う場所を決め勢は帰った。将太は直ぐ逃げた。勢も姿を消した。どこに行ったか分からない。
雪永に椿の着物の柄を頼まれる。着る人、千恵を紹介される。類の妹34才だった。千恵は雪永が嫁にといい出した頃、千恵は侍に恋をした。武家の養女になる寸前、千恵は手込めに合い、池に身を投げた。九死に一生を得たが、混乱していた。破談になったが千恵は祝言を挙げたと思っている。忘れていることも多い。誰に手込めにされたかも分からない。律は椿を書き持って行くがどれも気に入らないようだ。
姉探し 弟・慶太郎が旅籠奉公をしていた姉を探しているせんを連れてくる。せんの姉の似面絵を書き、慶太郎の口利きで旅籠巽屋にも行った。巽屋に盗賊が入った。せんが巽屋を調べていた。仲間の密告があり盗賊を捕まえたが、せんと頭・三蔵を取り逃がした。慶太郎がせんの言っていたことを思い出し隠れ家がわかり、二人は捕まった。今井は慶太郎に悪い人はほんの一握りだ。困っている人を見たらやっぱり助けるのだよと言った。
消えた茶人 律と涼太は待ち合わせをして茶屋で会った。涼太は目の前を行く背負い駕籠を背負った男を捕まえる。駕籠から転がり出たの手足を縛られた、猿ぐつわを噛まされた女児だった。仲間も捕まった。両親が礼に来たために二人が会っていたことが母親・佐和にしれてしまった。
父親・清次郎が付き合いで行った吉原から帰らない。清次郎の似面絵を描いて探す。類のところで藤井屋の隠居・與八郎の話を聞き、吉原で清次郎に話しかけていた男の似面絵を書く。似面絵から男・正清が清次郎から茶を習うために軟禁していたことが判った。逃げ出せば彦二を殺すと脅されていた。助け出された清次郎は、もてなすことが茶の道、あなたは自分をもてなすことしか考えない。道具を見る目は確かです。茶道具屋になってはいかがかなと正清に言った。清次郎が無事に帰ってきたのを見て佐和は倒れた。
雪華燃ゆ 佐和が臥せって五日。佐和の大変さ店にとっての佐和の存在が大きく判る。
律は千恵に椿の絵を持って行くが気に入っては貰えない。雪の話から千恵の雪永の思い出話しになる。律は雪華の絵はどうだろうと考えた。雪永が気に入るかではなく千恵がいいと思う絵にしよう。雪華図説を貸してくれた藍井の店主・由郎が基次郎の京時代の許嫁のいたことを話した。基次郎は染物屋の娘・紫野と一緒になって職人として働くつもりだった。婿入りして店を切り盛りしてくれと言われ染め物をする暇はない。染色を辞めたくなかったと基次郎は話した。
律の書いた雪華の下書きで千恵は雪永にも類にも内緒で着物を作って欲しいと言った。出来上がった着物を千恵は喜んだ。上絵師・律のはじめての着物だった。千恵は池に落ちたことは思い出せないが祝言を挙げていないことは理解した。類の家で一緒に暮らすことになった。
律は上絵を続けて行きたい。涼太と一緒になってもできるか不安だった。涼太は、ここを借りっぱなしにすればいい。女将はいい顔しないだろな。嫁が一日中家を空けるのは。店を継げば、おふくろに文句は言わせないと言う。
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