大江戸科学捜査八丁堀のおゆう④ 北斎の聞いてみろ 山本巧次
現在の東京で分析をしてくれる宇田川聡史と一緒に新しくオープンする美術館の目玉・葛飾北斎の浮世絵の肉筆画の真贋の鑑定を依頼された。絵は本物ということになっているが、文書が出てきた。中野屋の所有する北斎画は贋物である。今回あなたに売る絵は本物だ。と書かれていた。美術館は中野屋から手に入れていた。宇田川はゆうに文書に書いてあることを調べてきて欲しいと頼んだ。五十万円で依頼された。
江戸で中野屋、北斎、鶴仙堂と会っていく。北斎が中野の絵は本物だと言った。どうしてあの文書が書かれたかを調べる。鶴仙堂に中野屋の絵が贋物だという文書を書いたのではないかと尋ねた。そんな文書を見たのかと尋ねられた。
鶴仙堂が殺された。鵜飼伝三郎に鶴仙堂のことを聞かれるが、ゆうは話せない。岡っ引きの源七、松次郎の視線は鋭い。
文書で贋絵を書いたとされている貞芳は亡くなっていた。娘・実乃に会いに行くと実乃は殺されていた。実乃は鶴仙堂の妾だった。実乃の家から絵の具のサンプル、櫛、湯呑み、手拭い、垢すり等を集める。隠し棚から北斎の落款印を見付けた。伝三郎が調べを頼んだのは誰か。何のためかと聞く。ゆうは答えられなかった。北斎の娘・阿栄が私が頼んだと言ってくれた。北斎に絵を頼みにきた梅屋、梅屋に頼んだ西海屋が浮かんだ。ゆうは西海屋であの文書を見た。鶴仙堂が西海屋に書いた文書だった。鶴仙堂が西海屋に渡した贋絵は西海屋が中野屋で見た絵だったために文書を書いた。西海屋に絵を頼んだのは長崎出島の阿蘭陀商館長だった。調べると来年江戸参府のとき北斎に直接発注している。
梅屋の基次郎と貞芳は絵の兄妹弟子だった。貞芳の娘だと思っていた実乃は基次郎の娘だった。鶴仙堂は贋絵のことがばれないように実乃を殺した。実乃の所から出てくる鶴仙堂を見、絵を燃やしている所を見た基次郎は鶴仙堂を殺した。
未来への伝言はこんな事件があったと滝沢馬琴に書いてもらった。事件は文政四年に起こったが、阿蘭陀商館長が北斎の絵を受け取ったのは九年なので北斎が絵を渡した時に、関係したこんな事件があったと書いてくれるように頼んだ。馬琴の日記は文政四年の物は見付かっていないから。現在の方では馬琴の日記を見るように仕向ければ良かった。
ゆうは阿栄こと応為の絵のモデルになった。北斎から肉筆画を一枚貰った。優佳は自分がモデルになった絵を見付けた。「冬日和美人図 肉筆画 葛飾応為 文政四年頃」
伝三郎は未来で北斎の贋作が見付かってその真相を調べるように頼まれたということだと思った。ゆうが江戸に来ていることを承知している人間があっちの世界にいることになる。これからの自分はどうするか・・・。
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